ディル
Anethum graveolens Dill
ディルは、糸のように細かく繊細な葉と、爽やかでほのかに甘い香りが特徴のハーブです。とくに魚料理との相性が抜群で、サーモンのマリネやピクルス、...
かんたんに言うと
ディルは魚料理に合う爽やかなハーブ。移植を嫌うので種を直まきし、日当たりよく過湿を避けて育て、とう立ち前の葉をこまめに収穫するのがコツです。
Profile
基本情報
ディルは、糸のように細かく繊細な葉と、爽やかでほのかに甘い香りが特徴のハーブです。とくに魚料理との相性が抜群で、サーモンのマリネやピクルス、サワークリームを使った料理に欠かせない存在として、北欧料理や地中海料理で広く愛されています。羽毛のようにふんわりと茂る葉姿は、ハーブガーデンや寄せ植えに、やわらかな表情を添えてくれます。
一年草で、種からよく育ち、生育も早いので、初心者でも気軽に楽しめるハーブです。栽培のポイントは、第一に、ディルは直根性で移植を嫌うため、植え替えの必要がないよう、種を育てたい場所に直接まく「直まき」にすること。第二に、日当たりと風通しのよい場所を好み、過湿を嫌うので、水のやりすぎに注意すること。
第三に、高温と乾燥が続くと、花茎が伸びる「とう立ち」をして葉が硬くなるので、葉を長く楽しみたいなら、涼しい時期に育て、こまめに収穫することです。花を咲かせると、香りのよい種(ディルシード)が採れ、これもピクルスやパンの風味づけに使えます。葉・花・種と、まるごと楽しめる、料理好きにうれしい万能ハーブです。
羽毛のようにふんわりと茂る軽やかな葉姿は、収穫の合間も観賞用として目を楽しませてくれ、サーモンやピクルスに自家製ディルを添えれば、食卓がぐっと本格的な風味に仕上がります。
💡豆知識
ディルは地中海沿岸から西アジアが原産で、古代エジプトやギリシャ・ローマの時代から、料理や薬草として利用されてきた古いハーブです。名前の「ディル(Dill)」は、古ノルド語で「なだめる・落ち着かせる」を意味する言葉に由来するといわれ、古くから心を落ち着かせる効果があると信じられてきました。
和名は「イノンド」で、これはスペイン語の「eneldo(エネルド)」が江戸時代に伝わってなまったものとされます。見た目も香りもよく似た「フェンネル(ウイキョウ)」と同じセリ科の仲間で混同されがちですが、別の植物です(近くに植えると交雑することがあるため、種を採るなら離して植えます)。
セリ科の植物は、キアゲハの幼虫の食草でもあり、葉に縞模様の幼虫がつくことがありますが、やがて美しいアゲハチョウになります。葉だけでなく、花後にできる種「ディルシード」も香り高い香辛料として使われます。
Calendar
育成カレンダー
| 作業 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 種まき | 4月は種まき | 5月は種まき | 9月は種まき | |||||||||
| 開花 | 6月は開花 | |||||||||||
| 収穫 | 6月は収穫 | 7月は収穫 |
| 作業 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
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| 種まき | 4月は種まき | 9月は種まき | ||||||||||
| 開花 | 6月は開花 | |||||||||||
| 収穫 | 6月は収穫 | 7月は収穫 |
| 作業 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
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| 種まき | 4月は種まき | 9月は種まき | ||||||||||
| 開花 | 6月は開花 | |||||||||||
| 収穫 | 6月は収穫 | 7月は収穫 |
数字は月を表します。色帯のある月がその作業の適期です。上のタブで地域を切り替えられます。
At a glance
ひと目でわかる特徴
Specs
形態と環境条件
形態
- 草丈
- 40〜100cm
- 株張り
- 20〜30cm
- 花のサイズ
- 黄色い小花が傘状に集まる
環境条件
- 日照
- 日なた
- 耐寒温度
- -5℃
- 耐暑温度
- 30℃
- 土壌pH
- 6.0〜7.0
- 水やり
- やや乾かし気味に。表面が乾いたらたっぷり。過湿に注意。
- 肥料
- 緩効性化成肥料(控えめ)
How to grow
育て方ステップ
-
1
種まき(直まき)
約10日ディルは直根性で太い根をまっすぐ下に伸ばし、移植を嫌うため、苗の植え替えで根を傷めると弱ってしまいます。そのため、育てたい場所に直接種をまく「直まき」が基本です。種まき適期は、春(4〜5月)と秋(9〜10月)。涼しい気候を好むので、暑さを避けた時期がよく育ちます。
日当たりと風通し、水はけのよい場所を選びます。種は、好光性なので覆土はごく薄く、ばらまきか、数粒ずつ点まきにします。プランターや鉢に直接まいてもよく、その場合は深さのある容器を選んで根が伸びるスペースを確保します。発芽適温は15〜20℃。乾かさないように発芽までは水を切らさないようにします。どうしても苗から育てる場合は、根鉢を崩さないようそっと植え付けます。
💡移植を嫌うので種を直まき。春か秋の涼しい時期に、好光性なので薄くまきます。
-
2
間引きと水やり
約21日発芽して混み合ってきたら、生育を見ながら間引き、最終的に株間20〜30cmを確保します。込み合ったままだと風通しが悪く、ひょろひょろと徒長したり、病気やアブラムシが出やすくなったりします。元気な株を残して間引きます。間引いた若い葉も、もちろん料理に使えます。
水やりは、やや乾かし気味が基本。過湿を嫌うので、土の表面が乾いてからたっぷりと与えます。常に湿った状態は根腐れのもとです。日当たりと風通しのよい場所で育てると、香りのよい丈夫な株に育ちます。肥料は控えめでよく、与えすぎると葉が茂りすぎて香りが薄くなることがあります。葉を多く収穫したい場合は、薄めた液肥を時々与える程度にします。
💡株間20〜30cmに間引き、やや乾かし気味に育てます。肥料は控えめでよいです。
-
3
収穫(葉摘み)
約40日草丈が20〜30cmほどに育ったら、葉の収穫が始められます。必要なときに、外側のよく茂った葉や枝先を、こまめに摘み取って使います。摘み取ると、わき芽が伸びて株がこんもりと茂り、長く収穫を楽しめます。やわらかい葉は香りがよく、サーモンなどの魚料理、マリネ、ピクルス、サラダ、スープの香りづけに、生のまま使うのが基本。
加熱すると香りが飛びやすいので、料理の仕上げに加えるのがおすすめです。たくさん収穫できたら、冷凍したり、オイルやビネガーに漬けたりして保存できます(乾燥させると香りはやや落ちます)。とう立ちして花が咲くと、葉が硬くなって香りも変わってくるので、やわらかい葉を楽しみたいうちに、こまめに収穫するのがおいしさのコツです。
💡草丈20〜30cmから外葉や枝先をこまめに収穫。生のまま料理の仕上げに使うと香り高いです。
-
4
とう立ちと花・種(ディルシード)の収穫
約30日ディルは高温や乾燥、日が長くなる時期に、花茎を伸ばして黄色い小花を傘状に咲かせる「とう立ち」をします。とう立ちすると葉が硬くなり、株は花と種に養分を回すようになります。葉を長く楽しみたい場合は、花茎を早めに摘むととう立ちを少し遅らせられますが、一年草なので、いずれは花を咲かせて一生を終えます。
花を咲かせれば、香りのよい黄色い花も料理やピクルスの飾りに使え、花後には種「ディルシード」ができます。種が茶色く熟したら、花茎ごと切って乾燥させ、種を採取します。ディルシードは、ピクルスやパン、料理の香辛料として葉とはまた違った爽やかな香りを楽しめます。種を採らずにこぼれ種に任せれば、翌年また自然に芽が出てくることもあります。
💡とう立ちすると葉が硬くなります。花も食用に。種(ディルシード)は熟したら採取できます。
-
5
夏越し・株の更新とアゲハ対策
約7日ディルは一年草で、春まきのものは夏の暑さでとう立ちして枯れ、秋まきのものは冬を越して春に花を咲かせて一生を終えます。長く葉を収穫したい場合は、春と秋に分けて種をまく「ずらしまき」をすると、収穫期間を延ばせます。涼しい時期のほうがとう立ちしにくく、葉を長く楽しめます。
また、ディルなどセリ科の植物には、キアゲハの幼虫(黒・黄・緑の縞模様)がついて葉を食べることがあります。数が少なければ捕殺しますが、やがて美しいアゲハチョウになるので、株に余裕があれば見守るのも一興です。なお、よく似たフェンネルと近くに植えると交雑して種の質が変わることがあるので、種を採りたい場合は離して植えます。こぼれ種でふえることもある、息の長いハーブです。
💡一年草。春秋のずらしまきで長く収穫できます。セリ科でキアゲハ幼虫がつくことがあります。
Checklist
育てる前のチェックリスト
-
✓200〜400円
ディルの種
直まき用に。葉も種も利用できる。
-
✓400〜800円
ハーブ・草花用培養土
水はけのよい土を使う。
-
○500〜1,200円
深めの鉢・プランター (任意)
直根が伸びる深さのある容器。
-
○400〜900円
液体肥料 (任意)
葉を多く採るときの追肥に。
Pests & Diseases
かかりやすい病害虫
アブラムシ
時々症状: 新芽が縮れる、葉がべたつく、すす病を誘発。
予防: 風通しを良くし、窒素過多を避ける。シルバーマルチで忌避。
対処: 見つけ次第捕殺、牛乳スプレーや薬剤で防除。
ヨトウムシ
時々症状: 葉に大きな食害痕、株元の地中に潜む。
予防: 防虫ネットで産卵を防ぐ。
対処: 夜間または株元を掘って捕殺、薬剤を使用。
Nutrition
栄養と食べ方
旬・味: 初夏が葉の旬。爽やかでほのかに甘い香りが魚料理に合う。
保存: 生は冷蔵で早めに。冷凍やオイル・ビネガー漬けで保存できる。種は乾燥保存。
Common mistakes
失敗あるある TOP3
⚠ 移植で枯れる・弱る
植え替えた株が育たず枯れます。
原因: 直根性で移植を嫌うのに根を傷めた。
対策: 種を育てたい場所に直まきします。苗は根鉢を崩さずそっと植えます。
⚠ とう立ちで葉が硬くなる
花茎が伸びて葉が硬く香りも変わります。
原因: 高温・乾燥・日長によるとう立ち。
対策: 涼しい時期に育て、こまめに収穫し、花茎を早めに摘みます。
⚠ 過湿による根腐れ・徒長
株が弱ったり、ひょろ長くなったりします。
原因: 水のやりすぎ、密植による風通しの悪さ。
対策: やや乾かし気味に管理し、間引いて風通しを確保します。
FAQ
よくある質問
ディルは移植を嫌う直根性なので、種を育てたい場所に直接まく「直まき」が基本でおすすめです。苗から育てる場合は、根鉢を崩さないようそっと植え付けます。
春(4〜5月)と秋(9〜10月)が適期です。涼しい気候を好むので、暑さを避けた時期がよく育ちます。種は光を好む好光性なので、覆土はごく薄くします。
高温や乾燥で「とう立ち」して花茎が伸びると、葉が硬くなります。やわらかい葉を長く楽しむには、涼しい時期に育て、こまめに収穫し、花茎を早めに摘むととう立ちを遅らせられます。
キアゲハの幼虫です。ディルなどセリ科を食草にします。数が少なければ捕殺しますが、やがてアゲハチョウになるので、株に余裕があれば見守るのもよいでしょう。
使えます。花後にできる種が茶色く熟したら、花茎ごと切って乾燥させて採取します。ディルシードは、ピクルスやパン、料理の香辛料として、葉とは違った爽やかな香りを楽しめます。
春と秋に分けて種をまく「ずらしまき」をすると収穫期間が延びます。外葉や枝先をこまめに摘むとわき芽が増えて長く採れます。涼しい時期のほうがとう立ちしにくく長持ちします。
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