パクチー
Coriandrum sativum Coriander / Cilantro
パクチーは、エスニック料理ブームですっかり定番になった、独特の強い香りが特徴のセリ科のハーブです。タイ料理やベトナム料理、中華、メキシコ料理...
かんたんに言うと
パクチーは直根性で直まきし、乾燥を避けて涼しい時期に育てると、種まきから1〜2か月で香り高い葉が収穫できるハーブです。
Profile
基本情報
パクチーは、エスニック料理ブームですっかり定番になった、独特の強い香りが特徴のセリ科のハーブです。タイ料理やベトナム料理、中華、メキシコ料理などに欠かせず、葉を「パクチー(タイ語)」「香菜・シャンツァイ(中国語)」「シラントロ(スペイン語)」、完熟した種子をスパイスの「コリアンダー」と呼びます。
じつは葉と種では香りがまったく異なり、葉は好き嫌いの分かれる強い香り、種は柑橘系の甘くさわやかな香りで、別物のように使われます。家庭でもプランターで手軽に育てられ、生育が早いので、種まきから1〜2か月で若い葉を収穫できます。育て方のポイントは、第一に、直根性で植え替えを嫌うので、種を育てる場所に直まきすること(苗を買う場合も根を崩さない)。
第二に、高温と日が長くなる時期に花茎が伸びる「とう立ち」をしやすく、こうなると葉が硬くなるため、葉を長く収穫したいなら涼しい春か秋に育て、夏は半日陰にすること。第三に、乾燥を嫌うので水を切らさないこと。とう立ちして花が咲いたら、それはそれで完熟した種(コリアンダーシード)をスパイスとして収穫できるので、最後まで楽しめます。香りの好みは分かれますが、好きな人にはたまらない、育てて使えるハーブです。
💡豆知識
パクチーの香りには、独特の「カメムシのような」と表現される好き嫌いの分かれる香りがあります。じつはこの香りの感じ方には遺伝的な個人差があることが研究で分かっており、特定の嗅覚遺伝子を持つ人は、パクチーの香りを石けんやカメムシのように感じやすいとされます。
一方で、完熟した種子「コリアンダー」は、葉とはまったく異なる柑橘系の甘くスパイシーな香りで、カレー粉の主要原料のひとつにもなっています。パクチーは人類最古級の栽培ハーブのひとつともいわれ、古代エジプトの遺跡からも種子が見つかっており、薬用・香辛料として数千年にわたり利用されてきた歴史を持ちます。
Calendar
育成カレンダー
| 作業 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 種まき | 3月は種まき | 4月は種まき | 9月は種まき | 10月は種まき | ||||||||
| 収穫 | 5月は収穫 | 6月は収穫 | 10月は収穫 | 11月は収穫 | ||||||||
| 病害虫注意 | 5月は病害虫注意 |
| 作業 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 種まき | 4月は種まき | 9月は種まき | ||||||||||
| 収穫 | 5月は収穫 | 6月は収穫 | 10月は収穫 | 11月は収穫 | ||||||||
| 病害虫注意 | 5月は病害虫注意 |
| 作業 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 種まき | 3月は種まき | 4月は種まき | 9月は種まき | 10月は種まき | ||||||||
| 収穫 | 5月は収穫 | 11月は収穫 | ||||||||||
| 病害虫注意 | 5月は病害虫注意 |
数字は月を表します。色帯のある月がその作業の適期です。上のタブで地域を切り替えられます。
At a glance
ひと目でわかる特徴
Specs
形態と環境条件
形態
- 草丈
- 20〜60cm
- 株張り
- 15〜25cm
- 花のサイズ
- 小さな白い散形花
環境条件
- 日照
- 半日陰
- 耐寒温度
- -5℃
- 耐暑温度
- 30℃
- 土壌pH
- 6.0〜7.0
- 水やり
- 乾燥を嫌う。土の表面が乾いたらたっぷり。
- 肥料
- 液体肥料・化成肥料
How to grow
育て方ステップ
-
1
種まき
約10日パクチーは太い直根を下ろす「直根性」で植え替えを嫌うため、育てる場所に直接まく「直まき」が基本です。種まきの適期は、とう立ちしにくい春(3〜5月)と秋(9〜10月)。パクチーの種は2粒がくっついた丸い殻に入っているので、まく前に手で軽く割って2つに分け、一晩水に浸けると発芽がそろいやすくなります。
深さ1cmほどのまき溝にすじまきし、薄く覆土します。発芽までは10日前後かかり、その間は土を乾かさないようにします。プランターは深さ20cm以上のものを使い、半日陰にも置ける場所が理想です。
💡種は殻を割って一晩吸水。直根性なので直まきにします。
-
2
間引き
約14日発芽してきたら、生育に合わせて間引き、最終的に株間10〜15cmを確保します。込み合ったまま育てると、ひょろひょろと徒長して風通しが悪くなり、株も充実しません。生育の良い元気な株を残します。ただし、パクチーは直根性で根を傷つけると生育が止まったり、とう立ちが早まったりするので、間引きは「抜く」よりハサミで地ぎわを切るほうが、残す株の根を傷めず安心です。
間引いた若い芽(ベビーパクチー)も、やわらかく香りが良いので、サラダや薬味として無駄なく食べられます。間引き後は株元に軽く土を寄せます。
💡間引きはハサミで。直根を傷めると生育不良やとう立ちの原因になります。
-
3
水やり・置き場所
約40日パクチーは乾燥を嫌うので、土を乾かさないことが大切です。土の表面が乾いたら、株元にたっぷりと水を与えます。水切れすると葉が硬くなり、生育のストレスでとう立ち(花芽分化)が早まってしまいます。置き場所は、春や秋の涼しい時期は日なたで構いませんが、気温が上がる初夏以降は、強い直射日光と高温がとう立ちを促すので、午後に日陰になる半日陰に置くと、葉を長く収穫できます。
パクチーは半日陰でもよく育つので、夏は涼しい場所で管理するのが、長く楽しむコツです。プランターは乾きやすいので水やりはこまめに行います。
💡乾燥と高温はとう立ちを早めます。夏は半日陰で水を切らさないように。
-
4
収穫
約60日草丈が15〜20cmほどに育ったら収穫できます。収穫の方法は二通り。株ごと根から引き抜く方法と、外側の大きな葉から必要な分だけ摘み取り、中心の若い葉を残して長く収穫し続ける方法です。家庭では後者の「かきとり収穫」が便利で、一株から繰り返し収穫できます。
香りが最も良いのは、とう立ち前のやわらかい若い葉のうち。気温が上がる前の朝に収穫すると、香りがよく保たれます。とり遅れて葉が硬くなったり、花茎が伸びてとう立ちが始まったりすると葉の収穫は終わりに近づくので、若いうちにどんどん使うのがおいしく食べるコツです。
💡外葉からのかきとり収穫で長く楽しめます。若い葉ほど香りが良いです。
-
5
とう立ち・採種
約30日気温が上がり日が長くなると、パクチーは花茎を伸ばして白い小花を咲かせる「とう立ち」をします。こうなると葉は硬くなり、葉としての収穫は終わりですが、ここからは種(コリアンダーシード)の収穫が楽しめます。花が終わると緑色の丸い実ができ、これが茶色く熟して乾いたら摘み取ります。
完熟した種は、葉とは別物の柑橘系の甘い香りを持つスパイス「コリアンダー」として、カレーやピクルス、肉料理に使えます。また、採れた種をまけば次の栽培に使えますし、こぼれ種から自然に芽生えることもあります。葉から種まで、最後まで余さず楽しめるハーブです。
💡とう立ち後の種は完熟・乾燥させればスパイス「コリアンダー」になります。
Checklist
育てる前のチェックリスト
-
✓200〜400円
パクチーの種
コリアンダーとして種も使える。
-
✓400〜800円
野菜・ハーブ用培養土(14L)
プランター栽培用。
-
✓500〜1,500円
プランター(深さ20cm以上)
直根が下りるため深め。
-
○400〜900円
液体肥料 (任意)
収穫期の追肥に。
Pests & Diseases
かかりやすい病害虫
アブラムシ
よく発生症状: 新芽が縮れる、葉がべたつく、すす病を誘発。
予防: 風通しを良くし、窒素過多を避ける。シルバーマルチで忌避。
対処: 見つけ次第捕殺、牛乳スプレーや薬剤で防除。
うどんこ病
まれ症状: 葉表が白い粉をまぶしたようになる。
予防: 風通しと日当たりを確保、過湿を避ける。
対処: 罹病部を除去し、重曹スプレーや殺菌剤を散布する。
ヨトウムシ
時々症状: 葉に大きな食害痕、株元の地中に潜む。
予防: 防虫ネットで産卵を防ぐ。
対処: 夜間または株元を掘って捕殺、薬剤を使用。
Nutrition
栄養と食べ方
- エネルギー
- 23kcal
- ビタミンC
- 40mg
- ビタミンA
- 340μg
- ビタミンK
- 310μg
- 葉酸
- 69μg
- 鉄
- 1.4mg
- カルシウム
- 84mg
- カリウム
- 590mg
- 食物繊維
- 4.0g
旬・味: 春と秋が旬。独特の強い香りが料理を引き立てる。
保存: 軸を水に挿すか湿らせた紙で包んで冷蔵。刻んで冷凍も可。
Common mistakes
失敗あるある TOP3
⚠ とう立ちで葉が硬くなる
花茎が伸びて葉が硬く香りも落ちます。
原因: 高温・長日・水切れによる花芽分化。
対策: 涼しい時期に育て、夏は半日陰、水を切らさず管理します。
⚠ 移植による生育不良
植え替え後に育たず枯れます。
原因: 直根性で根を傷めた。
対策: 直まきにするか、苗は根鉢を崩さずそっと植えます。
⚠ 発芽不良
まいた種がそろって発芽しません。
原因: 殻を割っていない、まき後の乾燥。
対策: 殻を割って一晩吸水させ、発芽まで土を乾かさないようにします。
FAQ
よくある質問
種は2粒が殻に包まれているので、まく前に手で軽く割り、一晩水に浸けると発芽がそろいます。発芽まで10日前後かかるので、土を乾かさず気長に待ちましょう。
高温と長日、そして水切れがとう立ちを早めます。涼しい春か秋に育て、夏は半日陰に置き、水を切らさないことで葉の収穫期間を延ばせます。
育てられますが、直根性で植え替えを嫌うので、根鉢を崩さずそっと植えます。手軽さでは直まきのほうが失敗が少なくおすすめです。
まったく違います。葉(パクチー)は好き嫌いの分かれる強い香り、完熟した種(コリアンダー)は柑橘系の甘い香りで、別のスパイスとして使われます。
外側の葉から摘み取り中心の若い葉を残す「かきとり収穫」にすること、涼しい環境で水を切らさずとう立ちを遅らせることです。時期をずらして数回まくのも有効です。
とう立ち後にできた実が茶色く乾いたら摘み取ります。完熟・乾燥させると柑橘系の甘い香りのスパイスになり、まけば次の栽培にも使えます。
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