タラゴン
Artemisia dracunculus Tarragon
タラゴンは、フランス料理に欠かせない「四大ハーブ(フィーヌゼルブ)」のひとつに数えられる、上品で繊細な香りをもつキク科のハーブです。アニスを...
かんたんに言うと
タラゴンはフランス料理に欠かせない香り高いキク科の多年草ハーブ。香りのよいフレンチタラゴンは苗・挿し芽でふやし、日当たりと水はけを好み、梅雨の蒸れと夏越しが栽培のポイントです。
Profile
基本情報
タラゴンは、フランス料理に欠かせない「四大ハーブ(フィーヌゼルブ)」のひとつに数えられる、上品で繊細な香りをもつキク科のハーブです。アニスを思わせる甘くスパイシーな独特の香りが特徴で、鶏肉や魚料理、卵料理、ビネガーやマスタードの風味づけ、そして名高い「ベアルネーズソース」に欠かせない存在です。
料理に使われるのは香り高い「フレンチタラゴン」で、これは種ができにくいため、苗や挿し芽、株分けでふやして育てるのが基本です。一方、種から育つ「ロシアンタラゴン」もありますが、香りは劣ります。細長い葉をもつ多年草で、草丈は60〜100cmほどに育ちます。
日当たりと水はけのよい場所を好み、乾燥には比較的強い反面、高温多湿の蒸れと過湿を嫌うため、日本の梅雨と夏越しが栽培の山場になります。寒さには強く、冬は地上部が枯れても根は生きており、春にまた芽吹く宿根性。一度根づけば毎年収穫を楽しめます。鉢でもプランターでも育てられ、香り高い葉を生でも乾燥でも使える、料理好きにはたまらない実用的なハーブです。
やや栽培にコツがいるため、ハーブに少し慣れてきた人におすすめです。一度根づけば毎年収穫でき、フランス料理の味を家庭で楽しめる、育てる価値の高いハーブです。
💡豆知識
タラゴンの学名「Artemisia dracunculus」のうち、種名の「dracunculus」はラテン語で「小さな竜」を意味します。これは、根が竜のとぐろのように曲がりくねって伸びる様子や、細長い葉の形を竜の舌や蛇に見立てたことに由来するといわれ、英名の別称や和名「ヘビヨモギ」にもその名残があります。
中世ヨーロッパでは、この姿から蛇や毒虫に噛まれた傷に効くと信じられていた逸話も残ります。フランス料理では、パセリ・チャービル・チャイブとともに「フィーヌゼルブ」と呼ばれる定番ミックスハーブの一員で、繊細な香りが料理に上品な深みを与えます。料理用に珍重されるフレンチタラゴンはほとんど種をつけないため、ふやすには挿し芽や株分けに頼るしかなく、これがやや希少で高価な理由にもなっています。
Calendar
育成カレンダー
| 作業 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 植え付け | 4月は植え付け | |||||||||||
| 収穫 | 5月は収穫 | 6月は収穫 | 9月は収穫 | |||||||||
| 剪定 | 6月は剪定 | |||||||||||
| 病害虫注意 | 7月は病害虫注意 |
| 作業 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 植え付け | 4月は植え付け | |||||||||||
| 収穫 | 5月は収穫 | 9月は収穫 | ||||||||||
| 剪定 | 6月は剪定 | |||||||||||
| 追肥 | 4月は追肥 | |||||||||||
| 病害虫注意 | 7月は病害虫注意 |
| 作業 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 植え付け | 4月は植え付け | |||||||||||
| 収穫 | 5月は収穫 | 9月は収穫 | ||||||||||
| 剪定 | 6月は剪定 | |||||||||||
| 追肥 | 4月は追肥 | |||||||||||
| 病害虫注意 | 7月は病害虫注意 |
数字は月を表します。色帯のある月がその作業の適期です。上のタブで地域を切り替えられます。
At a glance
ひと目でわかる特徴
Specs
形態と環境条件
形態
- 草丈
- 50〜100cm
- 株張り
- 30〜50cm
- 花のサイズ
- 目立たない小花
環境条件
- 日照
- 日なた
- 耐寒温度
- -10℃
- 耐暑温度
- 33℃
- 土壌pH
- 6.0〜7.5
- 水やり
- 乾燥気味に。表面が乾いたら与える。過湿を避ける。
- 肥料
- 緩効性化成肥料・液体肥料
How to grow
育て方ステップ
-
1
香りのよい苗を選んで植え付ける
約7日タラゴンを育てるうえでまず重要なのが品種選びです。料理に使う香り高いものは「フレンチタラゴン」で、これはほとんど種をつけないため、種ではなく苗を購入して育てるのが基本です。種で売られているものは香りの劣る「ロシアンタラゴン」のことが多いので、料理目的なら必ず苗で「フレンチタラゴン」を選びましょう。
買うときは葉を軽くこすって、アニスのような甘くスパイシーな香りがするか確かめると確実です。植え付け適期は春(4〜5月)。日当たりと風通し、水はけのよい場所を選びます。過湿を嫌うので、ハーブ用培養土に軽石や砂を混ぜて水はけを高めると安心です。鉢植えなら、梅雨に雨を避けやすく、夏越し・冬越しの移動もしやすいのでおすすめです。
💡料理用は必ず苗で「フレンチタラゴン」を。香りを確かめて選びます。
-
2
日当たり・水やり・施肥
約60日タラゴンは日光を好み、日当たりのよい場所でよく育って香りも高まります。半日陰でも育ちますが、香りをしっかり出すには十分な日照が必要です。水やりは、乾燥には比較的強い一方、過湿に弱いので控えめにします。土の表面が乾いてから与えるのが基本で、常に湿った状態は根を傷めます。
鉢植えは受け皿の水をためないようにします。肥料は、芽が動き出す春と生育期に、緩効性肥料を控えめに置くか液体肥料を時々与える程度で十分です。多肥にすると茎葉ばかり茂って香りが薄れたり、軟弱に育って病気が出やすくなったりするので注意します。草丈が高くなると倒れやすいので、必要に応じて支柱を添えるとよいでしょう。
💡日当たりよく、水と肥料は控えめに。倒れやすいので支柱を添えても。
-
3
摘心・収穫と切り戻し
約90日草丈が20〜30cmほどに育ったら、茎の先端を摘んで収穫を兼ねた摘心を始めます。先端を摘むとわき芽が伸びて枝数が増え、収穫量が多くこんもりした株になります。収穫は、やわらかい若い茎葉を必要なときに随時行えます。香りが最も高まるのは、花が咲く前の初夏。
この時期にまとめて収穫し、乾燥や冷凍で保存するのもおすすめです。タラゴンの花は香りに乏しく、咲かせると株の風味が落ちるため、つぼみは早めに摘み取り、葉の収穫を優先します。生育期に何度か切り戻すと、新しいやわらかい葉が次々と出て長く収穫できます。混み合った部分は間引いて風通しをよくし、後述する梅雨の蒸れ対策につなげます。
💡花は香りを落とすので早めに摘む。花前の初夏が最も香り高いです。
-
4
梅雨・夏越し対策
約90日タラゴン栽培の最大の関門が、日本の高温多湿です。蒸れと過湿に弱いため、梅雨から真夏は特に注意が必要です。梅雨前に、茂りすぎた茎葉を半分ほど刈り込んで風通しをよくしておくと、株の内部の蒸れを防げます。刈り取った茎葉は収穫物として活用できます。
鉢植えは雨の当たらない軒下に移し、過湿を避けます。地植えの場合も、水はけを改善し、株元をすっきりさせておきます。真夏は半日陰になる場所のほうが、強すぎる西日や高温による消耗を抑えられます。水やりは乾いてからにとどめ、過湿にしないことが何より大切です。この時期をうまく乗り切れば、涼しくなる秋に再び元気を取り戻し、秋の収穫も楽しめます。
💡梅雨前に刈り込んで風通しを確保。鉢は雨を避け、夏は半日陰でも可。
-
5
冬越しと株の更新・ふやし方
約7日タラゴンは寒さに強い宿根性の多年草です。冬になると地上部は枯れますが、根は生きており、春になればまた芽吹きます。冬に地上部が枯れても抜いてしまわないよう注意しましょう。地植えはそのまま、鉢植えは凍結を避けて管理すれば冬を越せます。冬前に枯れた茎を整理しておくと、春の芽吹きがすっきりします。
フレンチタラゴンは種でふやせないため、株をふやしたいときや、数年育てて株が弱ってきたときは、春か秋に「株分け」をするか、生育期に元気な茎を使って「挿し芽」をします。挿し芽は、若い茎を切って水はけのよい土に挿し、乾かさないように管理すると発根します。こうして数年ごとに株を更新すると、香りのよい葉を長く収穫し続けられます。
💡冬は地上部が枯れても根は生きています。ふやすのは株分けか挿し芽で。
Checklist
育てる前のチェックリスト
-
✓400〜800円
フレンチタラゴンの苗
香りを確かめて選ぶ。種ではなく苗で。
-
✓400〜1,000円
ハーブ用培養土
水はけのよい土。軽石・砂を混ぜると安心。
-
○400〜1,500円
鉢・プランター (任意)
雨除けや夏越しの移動がしやすい。
-
○400〜1,000円
緩効性肥料・液体肥料 (任意)
春と生育期に控えめに。
Pests & Diseases
かかりやすい病害虫
アブラムシ
時々症状: 新芽が縮れる、葉がべたつく、すす病を誘発。
予防: 風通しを良くし、窒素過多を避ける。シルバーマルチで忌避。
対処: 見つけ次第捕殺、牛乳スプレーや薬剤で防除。
うどんこ病
時々症状: 葉表が白い粉をまぶしたようになる。
予防: 風通しと日当たりを確保、過湿を避ける。
対処: 罹病部を除去し、重曹スプレーや殺菌剤を散布する。
Nutrition
栄養と食べ方
- エネルギー
- 295kcal
- ビタミンC
- 50mg
- ビタミンA
- 67μg
- ビタミンK
- 0μg
- 葉酸
- 274μg
- 鉄
- 32mg
- カルシウム
- 1139mg
- カリウム
- 3020mg
- 食物繊維
- 7g
旬・味: 初夏が最も香り高い。アニスを思わせる甘くスパイシーな香り。加熱で香りがやわらぐ。
保存: 生は湿らせた紙に包み冷蔵で数日。刻んで冷凍、またはビネガーに漬けて風味を保存できる。
Common mistakes
失敗あるある TOP3
⚠ 梅雨・夏に蒸れて枯れる
梅雨から夏に株が傷み、枯れ込みます。
原因: 高温多湿による蒸れ、過湿。
対策: 梅雨前に刈り込んで風通しを確保し、鉢は雨を避け、水やりを控えます。
⚠ 香りが弱い
葉の香りが薄く料理に使えません。
原因: 香りの劣るロシアンタラゴンを育てている、または日照・肥料過多。
対策: 苗でフレンチタラゴンを選び、日当たりよく肥料控えめで育てます。
⚠ 冬に枯れたと勘違いして抜く
冬に地上部が枯れたため抜いてしまった。
原因: 宿根性で冬に地上部が枯れる性質を知らなかった。
対策: 冬は地上部が枯れても根は生きています。抜かずに春の芽吹きを待ちます。
FAQ
よくある質問
フレンチタラゴンは香りが高く料理に使われる品種で、種ができにくく苗や挿し芽でふやします。ロシアンタラゴンは種で育ちますが香りが劣ります。料理目的なら必ずフレンチタラゴンの苗を選びましょう。
香りのよいフレンチタラゴンはほとんど種をつけないため、種からは育てられません。苗を購入するか、挿し芽・株分けでふやします。種で売られているのは香りの劣るロシアンタラゴンであることが多いです。
高温多湿の蒸れに弱いので、梅雨前に半分ほど刈り込んで風通しをよくし、鉢は雨を避けます。真夏は半日陰でも育ち、水やりは乾いてからにとどめて過湿を避けると、秋に再び元気を取り戻します。
寒さに強い多年草で、冬は地上部が枯れますが根は生きており春に芽吹きます。枯れても抜かないでください。地植えはそのまま、鉢は凍結を避ければ冬を越します。
アニスのような甘くスパイシーな香りで、鶏肉・魚・卵料理、ビネガーやマスタードの風味づけ、ベアルネーズソースに欠かせません。フランス料理の「フィーヌゼルブ」の一員でもあります。
春か秋の株分け、または生育期の挿し芽でふやします。挿し芽は若い茎を切って水はけのよい土に挿し、乾かさないよう管理すると発根します。数年ごとの更新で香りを保てます。
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