モモ
Prunus persica Peach
モモは、春にはピンクの愛らしい花で目を楽しませ、夏には甘くみずみずしい果実を実らせる、花も実も楽しめる落葉果樹です。完熟したモモの、とろける...
かんたんに言うと
モモは花も実も楽しめる落葉果樹。多くは1本で実り、摘果で実を絞り、袋かけで害虫・鳥から守り、縮葉病を芽吹き前に防ぐのがおいしく育てるコツです。
Profile
基本情報
モモは、春にはピンクの愛らしい花で目を楽しませ、夏には甘くみずみずしい果実を実らせる、花も実も楽しめる落葉果樹です。完熟したモモの、とろけるような甘さと芳醇な香りは、家庭で育てたからこそ味わえる格別のおいしさ。比較的早く実がなり始め、多くの品種が1本でも実をつけるため、家庭果樹としても親しまれています。
栽培にはいくつかコツがあり、果樹のなかではやや手のかかる部類ですが、ポイントを押さえれば家庭でもおいしいモモを収穫できます。栽培のポイントは、第一に、日当たりと水はけのよい場所を好み、植え付けは落葉期に行うこと。第二に、おいしい大きな実を採るために、花のあとに余分な実を間引く「摘蕾・摘果」を行い、実の数を制限すること。
第三に、モモは害虫(モモシンクイガなど)や鳥に実を狙われやすいので、実が育つ前に一つひとつ「袋かけ」をして守ること。さらに、葉が縮れる「縮葉病(しゅくようびょう)」が出やすいので、芽が動く前の防除が大切です。少し手はかかりますが、自分で育てた完熟モモにかぶりつく喜びは、家庭果樹ならではの大きな楽しみです。
春には枝いっぱいに咲くピンクの花でお花見を、夏にはとろけるように甘い実の収穫をと、一本で二度の季節の喜びを味わわせてくれる、庭にあると幸せな魅力あふれる果樹です。
💡豆知識
モモは中国原産の果樹で、日本へは古い時代に伝わり、『古事記』にも登場するほど、古くから親しまれてきました。中国では、モモは邪気を払い、不老長寿をもたらす縁起のよい果実(仙果)とされ、その文化は日本にも伝わって、桃太郎の昔話や、ひな祭り(桃の節句)に桃の花を飾る風習に受け継がれています。
春に咲くピンクの花は、花だけを観賞する「ハナモモ」という品種群もあるほど美しく、お花見の対象としても愛されてきました。私たちが食べる果実は、植物学的には「核果」と呼ばれ、中心の固い種(核)の中に、本当の種子が入っています。バラ科サクラ属で、サクラやウメ、アンズ、スモモとは近縁の仲間。果肉が白い「白桃」系と黄色い「黄桃」系があり、黄桃は缶詰によく使われます。
Calendar
育成カレンダー
| 作業 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 植え付け | 12月は植え付け | |||||||||||
| 開花 | 3月は開花 | |||||||||||
| 収穫 | 7月は収穫 | 8月は収穫 | ||||||||||
| 剪定 | 2月は剪定 | |||||||||||
| 追肥 | 1月は追肥 | |||||||||||
| 病害虫注意 | 5月は病害虫注意 |
| 作業 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
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| 植え付け | 12月は植え付け | |||||||||||
| 開花 | 3月は開花 | |||||||||||
| 収穫 | 7月は収穫 | 8月は収穫 | ||||||||||
| 剪定 | 2月は剪定 | |||||||||||
| 追肥 | 1月は追肥 |
| 作業 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 植え付け | 12月は植え付け | |||||||||||
| 開花 | 3月は開花 | |||||||||||
| 収穫 | 7月は収穫 | 8月は収穫 | ||||||||||
| 剪定 | 2月は剪定 | |||||||||||
| 追肥 | 1月は追肥 |
数字は月を表します。色帯のある月がその作業の適期です。上のタブで地域を切り替えられます。
At a glance
ひと目でわかる特徴
Specs
形態と環境条件
形態
- 草丈
- 200〜400cm
- 株張り
- 200〜400cm
- 花のサイズ
- 直径3〜4cmのピンクの花
- 実のサイズ
- 直径6〜10cm
環境条件
- 日照
- 日なた
- 耐寒温度
- -15℃
- 耐暑温度
- 38℃
- 土壌pH
- 6.0〜7.0
- 水やり
- 地植えは根づけば降雨任せ。鉢植えと実の肥大期はたっぷり。
- 肥料
- 有機質肥料・果樹用化成肥料
How to grow
育て方ステップ
-
1
苗の選び方と植え付け
約7日モモは接ぎ木苗を購入して育てるのが一般的です。多くの品種が1本でも実をつける「自家結実性」がありますが、一部の品種は受粉樹が必要なので、購入時に確認します。植え付けは落葉している休眠期の12〜3月(寒冷地は芽出し前)。日当たりと水はけのよい場所を選び、根鉢の倍ほどの穴を掘って堆肥を混ぜて植え、支柱で固定します。
モモは過湿を嫌うので、水はけのよい場所が大切です。庭に植えるのが基本ですが、矮性台木の苗なら鉢植えでも育てられ、その場合は10号以上の大きな鉢を使います。植え付け後、苗が高ければ低めの位置で切り戻すと、手の届く高さから枝が出て管理しやすくなります。早く収穫したい場合は、2〜3年生の大きめの苗を選ぶと収穫が早まります。
💡接ぎ木苗を休眠期に水はけのよい場所へ。多くは1本で実りますが品種を確認します。
-
2
縮葉病など病害虫の予防
約30日モモ栽培で必ず知っておきたいのが「縮葉病(しゅくようびょう)」。春先の芽吹きの頃に、葉が赤く膨れて縮れる病気で、放っておくと木が弱ります。この病気は、芽が動き出す前(落葉期から芽吹き直前)に予防の薬剤を散布するのが最も効果的で、葉が開いてからでは防げません。
年に一度のこの防除が、健康に育てる大きな鍵です。ほかにも、葉や実に穴が出る「せん孔細菌病」、新芽につく「アブラムシ」、果実に食入する「モモシンクイガ」など、モモは病害虫が比較的多い果樹です。落ち葉や被害果はこまめに片づけて病害虫の越冬源を減らし、風通しよく仕立てることが予防になります。家庭では、後述の袋かけと、芽吹き前の縮葉病防除を組み合わせるのが基本の対策です。
💡縮葉病は芽吹き前の薬剤散布で予防(葉が開くと防げない)。落ち葉・被害果は片づけます。
-
3
開花・摘蕾・摘果
約21日春(3〜4月)、葉が出る前にピンクの愛らしい花が咲き、お花見も楽しめます。多くの品種は1本で結実しますが、確実にするため、花の時期に咲いた花どうしで人工授粉をしてもよいでしょう。おいしい大きな実を採るために欠かせないのが、実の数を減らす作業です。
まず花の時期〜咲き終わりに余分なつぼみ・花を摘む「摘蕾・摘花」、続いて実が小指の先ほどになった頃に「摘果」をして、最終的に葉20〜25枚に実1個ほどに間引きます。1か所に複数ついていたら、形がよく上向きでない実を1個残します。摘果をすると、残した実に養分が集中して、玉太りと甘み、香りが格段に良くなります。摘果をしないと、小さく味の薄い実がたくさんつくだけで終わってしまいます。
💡花のあと摘果して葉20〜25枚に実1個に。残した実が大きく甘く育ちます。
-
4
袋かけと収穫
約60日摘果が終わったら、残した実に一つひとつ「袋かけ」をします。専用の果実袋を実にかぶせることで、モモシンクイガなどの害虫の食入や、鳥の食害、病気、傷から実を守れ、見た目もきれいに仕上がります。家庭で無農薬に近づけたい場合、この袋かけはとても有効です。
収穫は品種により7〜8月。袋の上から、または袋を少し開けて、実全体が品種本来の色に色づき、香りが立ち、手で触れてわずかにやわらかくなったら完熟のサイン。果実を手のひらで包み、軽く持ち上げるようにして収穫します。完熟したモモはとても傷みやすく、強く握ると傷むので、やさしく扱います。樹上で完熟させた採れたてのモモの甘さと香りは、まさに家庭果樹ならではのごほうび。日持ちしないので早めに味わいます。
💡摘果後に袋かけで害虫・鳥・傷から実を保護。色づき香って柔らかくなったら完熟収穫します。
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5
冬の剪定
約7日モモの剪定は、落葉した12〜2月の休眠期に行います。モモは、その年に伸びた枝ではなく、前年に伸びた枝(結果枝)に花芽がついて実がなるので、剪定の仕方が大切です。むやみに切り詰めず、実をつけさせる結果枝を適度に残しながら、込み合った枝、内向きの枝、真上に伸びる徒長枝、枯れ枝を整理して、樹冠内部までよく日光が当たり風が通るようにします。
モモは日当たりが悪いと実つきも味も落ちるので、開いた樹形(開心自然形)に仕立てるのが基本です。背が高くなりすぎると摘果や袋かけ、収穫が大変なので、低めの樹形に抑えると管理が楽になります。剪定後は寒肥として有機質肥料を施します。毎年の剪定で日当たりと風通しを保つことが、病気を減らし、安定した収穫につながります。
💡実は前年枝につくので切りすぎ注意。徒長枝を整理し、低い開心形で日当たりを確保します。
Checklist
育てる前のチェックリスト
-
✓1,500〜4,000円
モモの接ぎ木苗
自家結実性の品種が家庭向き。
-
✓800〜2,500円
果実袋・剪定ばさみ
袋かけと冬の剪定用。
-
✓500〜1,200円
有機質肥料・果樹用肥料
寒肥とお礼肥に。
-
○1,000〜3,000円
大型鉢(10号以上) (任意)
鉢植えで育てる場合。
Pests & Diseases
かかりやすい病害虫
アブラムシ
よく発生症状: 新芽が縮れる、葉がべたつく、すす病を誘発。
予防: 風通しを良くし、窒素過多を避ける。シルバーマルチで忌避。
対処: 見つけ次第捕殺、牛乳スプレーや薬剤で防除。
ハダニ
時々症状: 葉に白いかすり状の斑点、ひどいと葉が枯れる。
予防: 葉裏への葉水で乾燥を防ぐ。
対処: 葉裏への葉水を継続し、専用の殺ダニ剤を使用する。
灰色かび病
時々症状: 花弁や果実が褐変し灰色のカビに覆われる。
予防: 枯れ花をこまめに除去、密植を避ける。
対処: 罹病部を処分し殺菌剤を散布。
Harvest
収穫の情報
Common mistakes
失敗あるある TOP3
⚠ 縮葉病で葉が縮れる
春に葉が赤く膨れて縮れ、木が弱ります。
原因: 縮葉病菌。葉が開いてからでは防げない。
対策: 芽が動く前(芽吹き直前)に予防薬剤を散布し、落ち葉を片づけます。
⚠ 実が小さく味が薄い
小さな実がたくさんつくだけになります。
原因: 摘果不足で実が多すぎる。
対策: 花後に摘果して葉20〜25枚に実1個に絞り、養分を集中させます。
⚠ 害虫・鳥の食害
実に虫が食入したり鳥に食べられたりします。
原因: モモシンクイガなどの害虫、鳥害。
対策: 摘果後に実へ袋かけをして守ります。落ち葉・被害果も片づけます。
FAQ
よくある質問
多くのモモの品種は1本でも実をつける「自家結実性」があります。ただし一部の品種は受粉樹が必要なので、購入時に確認しましょう。確実にするため花の時期に人工授粉をするのも有効です。
モモに多い「縮葉病」です。芽が動き出す前(落葉期〜芽吹き直前)に予防の薬剤を散布するのが効果的で、葉が開いてからでは防げません。年一度のこの防除が健康に育てる鍵です。
摘果不足が原因です。花のあと、葉20〜25枚に実1個ほどに摘果して数を絞ると、残した実に養分が集中して大きく甘くなります。摘果はおいしいモモを作る最も大切な作業です。
家庭栽培では強くおすすめします。実に袋をかけることで、モモシンクイガなどの害虫、鳥の食害、病気、傷から実を守れ、見た目もきれいに仕上がります。摘果が終わったらかけます。
実が品種本来の色に色づき、甘い香りが立ち、手で触れてわずかにやわらかくなったら完熟です。樹上で完熟させると最高においしいですが、傷みやすいのでやさしく収穫し、早めに食べます。
矮性台木の苗なら鉢植えでも育てられます。10号以上の大きな鉢を使い、実の肥大期は水切れに注意します。鉢植えは管理しやすく、摘果や袋かけ、収穫も手が届きやすい利点があります。
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