イチゴ
Fragaria × ananassa Strawberry
イチゴは家庭菜園で絶大な人気を誇る多年草で、プランターや吊り鉢でも甘い果実を収穫できる手軽さが魅力です。一般的な一季なり品種は秋(9〜10月)...
かんたんに言うと
イチゴは秋に苗を植え、日当たりの良い場所で冬越しさせると春に甘い実が収穫できる、プランターでも育てやすい果実です。
Profile
基本情報
イチゴは家庭菜園で絶大な人気を誇る多年草で、プランターや吊り鉢でも甘い果実を収穫できる手軽さが魅力です。一般的な一季なり品種は秋(9〜10月)に苗を植え、冬の寒さにしっかり当てて花芽を充実させ、春に開花・結実させるという流れで育てます。最大のポイントは、株の中心にある「クラウン」と呼ばれる生長点を土に埋めないこと。
ここが埋まると株が腐りやすく、逆に浅植えにすることで健全に育ちます。生育には日当たりと水はけが欠かせず、開花期には筆や綿棒で花の中心をやさしくなでて人工授粉してやると、いびつにならない整った形の実がたくさんつきます。実が地面に触れると傷みや病気の原因になるため、株元に敷きわらやマルチングをして泥はねを防ぐのも大切な作業です。
ランナー(ほふく茎)を伸ばして子株を増やせるので、収穫後に子株を育てれば翌年用の苗を自分で確保でき、一度育てれば毎年の収穫を楽しめます。水やりは土の表面が乾いたらたっぷりが基本ですが、実がつき始めてからの過湿は灰色かび病を招くため、加減には注意が必要です。
四季なり品種を選べば春から秋まで長く収穫することも可能で、栽培の幅がさらに広がります。プランターひとつから始められる果樹として、親子で栽培を楽しむのにもうってつけです。
💡豆知識
私たちが食べているイチゴの赤い部分は、じつは果実ではなく「花托(かたく)」と呼ばれる花の付け根が肥大したものです。本当の果実は、表面に点々と散らばっている小さな粒のひとつひとつで、植物学的には「痩果(そうか)」と呼ばれます。日本で栽培されるイチゴの多くは、南北アメリカ原産の野生種が交雑して生まれた園芸種で、江戸時代末期にオランダ船によって伝えられたことから「オランダイチゴ」とも呼ばれてきました。現在では品種改良が進み、糖度が高く香りの良い品種が数多く生まれ、各地でブランド化されています。
Calendar
育成カレンダー
| 作業 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 植え付け | 9月は植え付け | 10月は植え付け | ||||||||||
| 開花 | 3月は開花 | 4月は開花 | ||||||||||
| 収穫 | 5月は収穫 | 6月は収穫 | ||||||||||
| 追肥 | 3月は追肥 | |||||||||||
| 病害虫注意 | 4月は病害虫注意 |
| 作業 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 植え付け | 10月は植え付け | |||||||||||
| 開花 | 4月は開花 | |||||||||||
| 収穫 | 5月は収穫 | 6月は収穫 | ||||||||||
| 追肥 | 3月は追肥 | |||||||||||
| 病害虫注意 | 4月は病害虫注意 |
| 作業 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 植え付け | 9月は植え付け | 10月は植え付け | ||||||||||
| 開花 | 3月は開花 | 4月は開花 | ||||||||||
| 収穫 | 5月は収穫 | |||||||||||
| 追肥 | 3月は追肥 | |||||||||||
| 病害虫注意 | 4月は病害虫注意 |
数字は月を表します。色帯のある月がその作業の適期です。上のタブで地域を切り替えられます。
At a glance
ひと目でわかる特徴
Specs
形態と環境条件
形態
- 草丈
- 15〜30cm
- 株張り
- 20〜40cm
- 花のサイズ
- 直径2〜3cmの白い花
- 実のサイズ
- 直径2〜4cm
環境条件
- 日照
- 日なた
- 耐寒温度
- -5℃
- 耐暑温度
- 30℃
- 土壌pH
- 5.5〜6.5
- 水やり
- 土の表面が乾いたらたっぷり。実つき後は過湿に注意。
- 肥料
- 化成肥料または液体肥料
How to grow
育て方ステップ
-
1
苗の植え付け
約1日一季なり品種は9〜10月に苗を植えます。最大のコツは、株の中心にある王冠状の生長点「クラウン」を土に埋めないこと。クラウンが半分のぞくくらいの浅植えにし、深植えは厳禁です。株間は25〜30cmあけ、プランターなら深さ20cm以上のものを使います。
苗にはランナーが切られた跡があり、その跡と反対側に実がつく性質があるので、跡を内側(通路と反対)に向けてそろえて植えると、外側に実がついて収穫しやすくなります。植え付け後はたっぷり水を与えます。
💡ランナーの跡の向きをそろえると、実が手前につき収穫が楽になります。
-
2
冬越し
約120日イチゴは一定期間寒さに当たることで花芽が充実する性質があるため、冬は無理に暖かくせず屋外で管理します。霜よけ程度の対策で十分で、過保護にするとかえって花つきが悪くなります。冬の間は生育が止まり地上部が小さくなりますが、根は生きているので枯れたわけではありません。
傷んだ葉や枯れ葉はこまめに取り除き、株元の風通しを保って灰色かび病などの病気を予防します。水やりは乾かしすぎない程度に控えめにします。鉢植えは寒風や土の凍結を避けるため、軒下など雨や霜の当たりにくい場所に移しておくとより安心して冬を越せます。
💡枯れ葉を放置すると病気の温床になるので、見つけ次第取り除きます。
-
3
春の追肥
約30日春に気温が上がって新しい葉が動き出したら、生育開始の合図です。このタイミングで一度追肥し、開花期にも軽く追肥します。ただしイチゴは肥料、とくに窒素分が多すぎると、葉やランナーばかりが茂って肝心の花や実つきが悪くなる「つるぼけ」を起こしやすいので、肥料は控えめを心がけます。
リン酸分を意識した肥料を選ぶと花つきと実つきが良くなります。固形肥料は株元から少し離してまき、クラウンに直接触れないよう注意します。
💡窒素を控え、リン酸多めの肥料にすると実つきが良くなります。
-
4
受粉
約21日イチゴの花が咲いたら受粉作業を行います。屋外ではミツバチなどの訪花昆虫が受粉してくれますが、ベランダや室内、虫の少ない時期は人工授粉が効果的です。柔らかい筆や綿棒で、花の中心にある黄色い部分を全体にまんべんなくやさしくなでるだけでOKです。
受粉が不十分だと、実の一部だけ膨らんでいびつな形になってしまいます。複数の花がある場合は、一本の筆で順になでていくと花粉が運ばれて効率よく受粉できます。晴れて乾いた日の午前中に行うのが効果的です。
💡受粉が足りないといびつな実になります。筆で全体をなでましょう。
-
5
敷きわら・マルチング
約1日実がふくらんで重みで垂れてくると、地面や土に触れて泥がはね、汚れたり灰色かび病にかかったりしやすくなります。これを防ぐため、株元に敷きわらやイチゴ専用のマルチ、ウッドチップなどを敷いて、実が土に直接触れないようにします。敷きわらは泥はね防止のほか、土の乾燥や雑草の抑制、地温の安定にも役立ちます。
プランター栽培では、実を縁の外側に垂らすように誘導すると、実が清潔に保たれて色づきも良くなります。敷きわらは収穫が終わるまで敷いたままにしておき、地温の急な変化や乾燥から株を守ります。
💡実が土に触れないようにするだけで、病気と汚れを大きく減らせます。
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6
収穫
約30日ヘタの近くまで全体が赤く色づいたら収穫の適期です。実はとても柔らかくデリケートなので、実そのものを強くつまむと傷んでしまいます。ヘタのすぐ上の軸を指でつまむか、ハサミで切り取るようにして収穫しましょう。最も甘みがのるのは、気温が上がる前の朝の涼しい時間帯です。
とり遅れると傷んだり鳥や害虫に食べられたりするので、色づいたものから順にこまめに収穫します。収穫後はランナーが伸びてくるので、子株を育てて翌年の苗にできます。
💡朝のうちに、ヘタごとやさしく摘み取ると甘く傷みません。
Checklist
育てる前のチェックリスト
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✓200〜600円
イチゴの苗
秋に多くの品種が出回る。
-
✓400〜900円
イチゴ・野菜用培養土(14L)
プランター栽培用。
-
✓500〜1,500円
プランターまたは鉢
深さ20cm以上。
-
○400〜900円
果実用・野菜用肥料 (任意)
リン酸多めが実つきに良い。
Pests & Diseases
かかりやすい病害虫
症状: 新芽が縮れる、葉がべたつく、すす病を誘発。
予防: 風通しを良くし、窒素過多を避ける。シルバーマルチで忌避。
対処: 見つけ次第捕殺、牛乳スプレーや薬剤で防除。
アブラムシの予防・対処をくわしく見る →Harvest
収穫の情報
Common mistakes
失敗あるある TOP3
⚠ クラウンを埋めて株が腐る
植え付け後に株の中心が腐って枯れます。
原因: クラウンを土に埋めた深植え。
対策: クラウンが半分見えるよう浅植えにします。
⚠ 灰色かび病で実が腐る
実や花に灰色のカビが生えて傷みます。
原因: 低温多湿、泥はね、枯れ葉の放置。
対策: 敷きわらで泥はねを防ぎ、枯れ葉や傷んだ実を早めに除去します。
⚠ 葉ばかり茂って実がつかない
葉やランナーは旺盛だが花や実が少ない。
原因: 窒素肥料の与えすぎ。
対策: 窒素を控え、リン酸分を意識した肥料に切り替えます。
Companions
コンパニオンプランツ
FAQ
よくある質問
一季なり品種は秋(9〜10月)の植え付けが基本です。冬の寒さに当たることで春に花芽が充実します。四季なり品種は春植えも可能です。
受粉不足が原因です。花の中心を筆でなでて人工授粉すると、整った形の実になります。屋外では訪花昆虫が受粉を助けてくれます。
株の中心にある王冠状の生長点です。ここを土に埋めると腐りやすいので、半分のぞくくらいの浅植えにするのが大切です。
収穫期はランナーを切って実に養分を集中させます。収穫後は伸びたランナーから子株を育てて、翌年用の苗にできます。
窒素肥料の与えすぎによる「つるぼけ」が原因です。窒素を控え、リン酸分を意識した肥料に切り替えると改善します。
深さ20cm以上のプランターや吊り鉢で十分育てられます。実を縁の外に垂らすと土に触れず清潔に保て、色づきも良くなります。
Guides
イチゴの育て方に役立つガイド
トマト・キュウリの受粉は必要?人工授粉が要る野菜と手順
トマトは受粉が必要ですが相手の株はいりません(自家受粉)。振動で花粉が出るので花を指で弾くだけでOK。キュウリは単為結果性で、むしろ受粉させないほうがきれいな実になります。人工授粉が本当に必要なのはカボチャ・スイカ・メロン・ズッキーニで、朝9時までが勝負です。
📖 基礎知識球根や接ぎ木で殖やすのはなぜ?種から育てると別物になる理由
球根は「殖やす器官」ではなく養分の貯蔵タンクで、花が咲けば球根植物にも種はできます。ただし種をまくと親とは別物に。だから品種は分球や接ぎ木というクローンで維持されます。同じ品種どうしが受粉しない理由、クローンの寿命を決めるウイルスの話まで。
🔧 お悩み解決葉が黄色くなる原因と対策|病気じゃない生理障害の見分け方
葉が黄色くなる原因の多くは病気ではなく「水のやりすぎによる根腐れ・水切れ・日照や温度・肥料の過不足・根詰まり・自然な老化」といった生理的なもの。どの葉が黄色いか(下葉か新芽か)と、土が乾いているか湿っているかを見れば原因を絞り込めます。
📘 育て方ガイド水やりの基本|頻度・量・タイミングのコツをやさしく解説
水やりの基本は「土の表面が乾いたら、鉢底から流れ出るまでたっぷり」。決まった曜日ではなく“土の乾き”で判断するのがコツです。鉢植えは季節で頻度が大きく変わり、夏は早朝・冬は暖かい日の午前が基本。受け皿に溜まった水は捨てます。
🍃 季節の手入れ植物の夏越し|暑さ・水切れ・葉焼けから守る基本のコツ
夏越しの基本は「水切れ・葉焼け・蒸れを防ぐ」こと。水やりは涼しい早朝にたっぷり、置き場所は真夏の強い直射と西日・地面の照り返しを避けて風通しよく、肥料は控えめに。暑さに弱い植物は明るい半日陰へ移すのが安全です。
📘 育て方ガイド植え替えのサインとやり方|時期・鉢の選び方・手順をやさしく解説
植え替えの基本は「1〜2年に1回・春〜初夏に・ひと回り大きな鉢へ」。鉢底から根が出てきたら植え替えのサインです。大きすぎる鉢は根腐れのもとなのでサイズアップは少しずつ、植え替え後は明るい日陰で休ませ肥料は2〜3週間後から。
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