リンゴ
Malus domestica Apple
リンゴは、春に白やピンクの可憐な花を咲かせ、秋に甘酸っぱい実を実らせる、世界中で愛されている落葉果樹です。シャキッとした食感と豊かな風味の実...
かんたんに言うと
リンゴは涼しい気候を好む落葉果樹。多くは1本で実りにくいので開花期の合う2品種を植え、摘果・袋かけ・冬剪定で実を育て守るのがコツです。
Profile
基本情報
リンゴは、春に白やピンクの可憐な花を咲かせ、秋に甘酸っぱい実を実らせる、世界中で愛されている落葉果樹です。シャキッとした食感と豊かな風味の実は、生食はもちろん、ジャムやお菓子、ジュースにと幅広く使え、家庭で完熟の実を収穫できれば格別。本来は涼しい気候を好み、青森や長野などの寒冷地が主産地ですが、近年は暖地向きの品種や、コンパクトに育つ矮性(わいせい)台木の苗が出回り、鉢植えでも挑戦できるようになりました。
栽培にはいくつかコツがあり、果樹のなかではやや手のかかる部類ですが、要点を押さえれば家庭でも収穫を楽しめます。栽培のポイントは、第一に、リンゴの多くは1本では実がなりにくい「自家不和合性」なので、受粉のために開花期の合う別の品種をもう1本植えること。
第二に、日当たりと水はけのよい場所を好み、植え付けは落葉期に行うこと。第三に、おいしい実を採るための摘果や、害虫・病気から実を守る袋かけ、そして冬の剪定が必要なこと。リンゴは病害虫が比較的多いので、こまめな手入れが大切です。手間はかかりますが、春には可憐な花、秋には甘酸っぱい実と、四季を通じて目と舌を楽しませてくれます。
自分で育てた木からもぎたての一個をかじる瞬間は、何物にも代えがたい家庭果樹ならではの喜びで、挑戦する価値のある、育てがいたっぷりの果樹です。
💡豆知識
リンゴは人類が最も古くから親しんできた果実のひとつで、栽培の歴史は数千年に及び、中央アジアのコーカサス地方が起源とされます。旧約聖書のアダムとイブの物語や、ニュートンの万有引力、ギリシャ神話の黄金のリンゴなど、洋の東西を問わず数々の伝説や逸話に登場し、文化的にも特別な果実です。
日本で本格的に栽培が始まったのは明治時代以降と意外に新しく、西洋から導入された品種をもとに、青森や長野を中心に栽培が発展しました。日本生まれの「ふじ」は、世界で最も多く生産されるリンゴ品種のひとつになっています。バラ科リンゴ属で、ナシやモモ、サクラ、ウメなどと同じ仲間。
私たちが食べる実は、植物学的には花托(かたく)が発達した「偽果(ぎか)」と呼ばれる部分です。「1日1個のリンゴは医者を遠ざける」ということわざがあるほど、健康によい果実として親しまれています。
Calendar
育成カレンダー
| 作業 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 植え付け | 12月は植え付け | |||||||||||
| 開花 | 4月は開花 | |||||||||||
| 収穫 | 10月は収穫 | 11月は収穫 | ||||||||||
| 剪定 | 2月は剪定 | |||||||||||
| 追肥 | 1月は追肥 | |||||||||||
| 病害虫注意 | 6月は病害虫注意 |
| 作業 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 植え付け | 12月は植え付け | |||||||||||
| 開花 | 4月は開花 | |||||||||||
| 収穫 | 10月は収穫 | 11月は収穫 | ||||||||||
| 剪定 | 2月は剪定 | |||||||||||
| 追肥 | 1月は追肥 |
| 作業 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 植え付け | 12月は植え付け | |||||||||||
| 開花 | 4月は開花 | |||||||||||
| 収穫 | 10月は収穫 | 11月は収穫 | ||||||||||
| 剪定 | 2月は剪定 | |||||||||||
| 追肥 | 1月は追肥 |
数字は月を表します。色帯のある月がその作業の適期です。上のタブで地域を切り替えられます。
At a glance
ひと目でわかる特徴
Specs
形態と環境条件
形態
- 草丈
- 200〜400cm
- 株張り
- 200〜400cm
- 花のサイズ
- 直径3〜4cmの白〜淡紅色の花
- 実のサイズ
- 直径6〜10cm
環境条件
- 日照
- 日なた
- 耐寒温度
- -25℃
- 耐暑温度
- 35℃
- 土壌pH
- 6.0〜6.5
- 水やり
- 地植えは根づけば降雨任せ。鉢植えと実の肥大期はたっぷり。
- 肥料
- 有機質肥料・果樹用化成肥料
How to grow
育て方ステップ
-
1
受粉樹(2品種)と苗の植え付け
約7日リンゴ栽培でまず知っておきたいのが、多くの品種が1本では実がなりにくい「自家不和合性」を持つこと。実をならせるには、開花期の合う別の品種をもう1本そばに植え、お互いの花粉で受粉させる必要があります(例:ふじと別品種を組み合わせる)。1本でも実がなりやすい品種もありますが、基本は2品種を植えると安心です。
植え付けは落葉期の12〜3月。接ぎ木苗を選び、日当たりと水はけのよい場所に植えて支柱で固定します。リンゴは涼しい気候を好むので、暖地ではその地域に向く品種や、暑さに比較的強い品種を選びます。場所が限られる場合や鉢植えにしたい場合は、コンパクトに育つ「矮性(わいせい)台木」の苗を選ぶと、管理しやすく収穫も早まります。
💡多くは1本で実りにくいので開花期の合う2品種を。鉢植えは矮性台木の苗が管理しやすいです。
-
2
病害虫の予防
約90日リンゴは、果樹のなかでも病害虫が比較的多く、家庭で無農薬に育てるのは難しい果樹です。代表的なものに、葉や実に黒い病斑が出る「黒星病」「斑点落葉病」、実に食入する「シンクイムシ(ガの幼虫)」、新芽につく「アブラムシ」、葉裏の「ハダニ」などがあります。
これらを放置すると、葉が落ちて木が弱ったり、実が傷んで収穫できなくなったりします。対策の基本は予防。落ち葉や被害果はこまめに片づけて病害虫の越冬源を減らし、剪定で風通しと日当たりをよくします。家庭では、後述の袋かけで実を物理的に守るのが効果的。
病気が出やすい時期に予防的に薬剤を散布すると、より確実に育てられます。日々株を観察し、早期発見・早期対処を心がけることが、健康な木と実を保つ鍵です。
💡病害虫が多めの果樹。落ち葉・被害果を片づけ、風通しを良くし、袋かけや予防散布で守ります。
-
3
開花・受粉・摘果
約30日春(4〜5月)、葉とともに白〜淡紅色の可憐な花が咲きます。受粉樹(別品種)があれば、ミツバチなどの訪花昆虫が受粉を助けますが、確実にするため、別品種の花粉を雌しべにつける人工授粉を行うとより安心です。実がつき始めたら、おいしい大きな実を採るために「摘果」をします。
リンゴは1か所(花の集まり)に複数の実がつくので、6月ごろ、中心の形のよい実を1個だけ残して、ほかを摘み取ります。さらに全体でも、葉の枚数に対して実が多すぎないよう間引きます。摘果をすると、残した実に養分が集中して、玉太りと甘み、色づきが格段によくなります。摘果をしないと、小さく味の薄い実がたくさんつくだけになり、木も疲れて翌年の実つき(隔年結果)にも影響します。
💡受粉樹で受粉させ、6月ごろ摘果して1か所に実1個に。残した実が大きく甘くなります。
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4
袋かけと収穫
約60日摘果が終わったら、残した実に「袋かけ」をすると、シンクイムシなどの害虫や病気、傷から実を守れ、家庭で無農薬に近づけたい場合にとても有効です(袋をかけない「無袋栽培」もあり、その場合は果実は甘くなりやすいですが、病害虫対策がより必要です)。収穫は品種により8〜11月。
実が品種本来の色に色づき、味が乗ったら収穫適期です。実を手のひらで包み、上に持ち上げるようにすると、軸が枝から離れて収穫できます。樹上で完熟させた、もぎたてのリンゴのシャキッとした食感と豊かな風味は、家庭栽培ならではのごほうび。日光がよく当たると、実全体がきれいに色づくので、込み合った葉を整理したり、実の向きを変えたりして光を当てる工夫も有効です。
💡摘果後に袋かけで害虫・病気から実を保護。色づき味が乗ったら樹上で完熟させて収穫します。
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5
冬の剪定
約7日リンゴの剪定は、落葉した12〜2月の休眠期に行います。リンゴは、短く充実した「短果枝(たんかし)」に花芽がついて実がなるので、これを意識して剪定します。むやみに切り詰めず、込み合った枝、内向きの枝、真上に勢いよく伸びる徒長枝、枯れ枝を整理して、樹冠の内部までよく日光が当たり、風が通るようにします。
日当たりがよいと、実つきがよく、色づきや甘みも向上します。背が高くなりすぎると、摘果や袋かけ、収穫、防除といった作業が大変になるので、低めの開いた樹形に仕立てると管理が楽になります。鉢植えの矮性樹は、コンパクトに切り戻して樹形を保ちます。剪定後は寒肥として有機質肥料を施します。毎年の剪定で日当たりと風通しを保つことが、病気を減らし、安定した収穫につながります。
💡花芽は短果枝につきます。徒長枝を整理し、低い開いた樹形で日当たりと風通しを確保します。
Checklist
育てる前のチェックリスト
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✓3,000〜8,000円
リンゴの接ぎ木苗(2品種)
受粉樹として開花期の合う2品種を。鉢植えは矮性台木を。
-
✓800〜2,500円
果実袋・剪定ばさみ
袋かけと冬の剪定用。
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✓500〜1,200円
有機質肥料・果樹用肥料
寒肥とお礼肥に。
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○1,000〜3,000円
大型鉢(10号以上) (任意)
矮性台木の苗を鉢植えする場合。
Pests & Diseases
かかりやすい病害虫
アブラムシ
よく発生症状: 新芽が縮れる、葉がべたつく、すす病を誘発。
予防: 風通しを良くし、窒素過多を避ける。シルバーマルチで忌避。
対処: 見つけ次第捕殺、牛乳スプレーや薬剤で防除。
ハダニ
時々症状: 葉に白いかすり状の斑点、ひどいと葉が枯れる。
予防: 葉裏への葉水で乾燥を防ぐ。
対処: 葉裏への葉水を継続し、専用の殺ダニ剤を使用する。
黒星病
時々症状: 葉に黒い斑点が出て黄変し落葉する。
予防: 雨よけと風通し、落ち葉の除去。
対処: 罹病葉を処分し定期的に殺菌剤を散布。
Harvest
収穫の情報
Common mistakes
失敗あるある TOP3
⚠ 受粉樹がなく実がならない
花は咲くのに実がつきません。
原因: 自家不和合性で受粉樹(別品種)がない。
対策: 開花期の合う別の品種を一緒に植えるか、別品種の花粉で人工授粉します。
⚠ 病害虫で葉や実が傷む
葉に病斑が出て落ち、実に虫が入ります。
原因: 黒星病・斑点落葉病、シンクイムシなど。
対策: 落ち葉・被害果を片づけ風通しを確保。袋かけや予防散布で守ります。
⚠ 実が小さい・隔年結果
小さな実が多くつき、翌年は実が減ります。
原因: 摘果不足による実のなりすぎと木の消耗。
対策: 6月ごろ摘果して実を絞り、毎年の負担を平準化します。
FAQ
よくある質問
リンゴの多くは1本では実がなりにくい「自家不和合性」です。実をならせるには、開花期の合う別の品種をもう1本そばに植えて、互いに受粉させるのが基本です。1本でなりやすい品種もありますが、2品種が安心です。
リンゴは涼しい気候を好みますが、近年は暖地向きの品種や暑さに比較的強い品種も出ています。それらを選び、夏の高温対策をすれば挑戦できます。鉢植えにして管理する方法もあります。
コンパクトに育つ「矮性台木」の苗なら鉢植えでも育てられます。10号以上の大きな鉢を使い、受粉のため2品種を用意するか、別品種の花粉で人工授粉します。実の肥大期は水切れに注意します。
摘果不足が主な原因です。6月ごろ、1か所に実1個になるよう摘果し、全体でも実を多くしすぎないようにすると、残した実に養分が集中して大きく甘くなります。
リンゴは黒星病やシンクイムシなど病害虫が比較的多い果樹です。落ち葉や被害果を片づけ、剪定で風通しを良くし、実に袋かけをして守ります。病気の出やすい時期の予防散布も有効です。
品種により8〜11月。実が品種本来の色に色づき、味が乗ったら収穫適期です。実を手のひらで包み、上に持ち上げると軸が枝から離れて収穫できます。樹上で完熟させると風味が格別です。
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