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植物図鑑
🫐
枝に実った熟したイチジクの実
🫐 果樹

イチジク

Ficus carica Fig

初心者向け 難易度1(5段階中): 初心者向け 💰 苗は1000〜3000円

イチジクは、とろりと甘い果肉とプチプチした食感が魅力の落葉果樹で、家庭果樹のなかでもとくに育てやすく、初心者が初めて挑戦するのにうってつけの...

かんたんに言うと

イチジクは1本で実り2〜3年で収穫できる育てやすい落葉果樹で、鉢植えも可能。夏の水切れとカミキリムシに注意し、品種に合わせて剪定するのがコツです。

Profile

基本情報

イチジクは、とろりと甘い果肉とプチプチした食感が魅力の落葉果樹で、家庭果樹のなかでもとくに育てやすく、初心者が初めて挑戦するのにうってつけの植物です。多くの品種が1本でも実をつけ、植え付けから2〜3年と比較的早く収穫が始まり、病害虫も少なめ。

鉢植えでもよく育つので、ベランダでも手軽に「採れたての完熟イチジク」という、市販ではなかなか味わえない贅沢を楽しめます。イチジクには、夏に実る「夏果」、秋に実る「秋果」、その両方が採れる「夏秋兼用種」があり、家庭では収穫期間が長く実つきの良い秋果専用種や兼用種が人気です。

栽培のポイントは、第一に、日当たりと水はけのよい場所を好み、乾燥には比較的強いものの、実を充実させる夏は水切れに注意すること。第二に、枝の伸ばし方と実のなり方が品種(夏果・秋果)で異なるため、剪定の仕方を品種に合わせること。第三に、幹に食い入って木を枯らすこともあるカミキリムシ(テッポウムシ)の被害に注意し、株元を見回ることです。

完熟した実は日持ちしないため、樹上でやわらかく熟したものをその日に味わえるのは、家庭で育てる最大の特権。生はもちろん、ジャムやコンポート、乾果にしても楽しめる、滋味豊かな果樹です。

クワ科
分類
果樹 / 落葉果樹
原産地
アラビア半島、地中海沿岸
別名
無花果、いちぢく
適期
植え付けは12月
価格目安
苗は1000〜3000円

💡豆知識

イチジクは人類が栽培した最も古い果樹のひとつとされ、その歴史は1万年以上前にさかのぼるともいわれ、古代メソポタミアやエジプトの記録にも登場します。漢字で「無花果(花が無い果)」と書くのは、花が外から見えないため。実のように見える部分の内側に、無数の小さな花が詰まっており、私たちが食べているプチプチは、その花の集まりにあたります。

原産地の地中海地方では本来、イチジクコバチという小さなハチが受粉を助けますが、日本で栽培される多くの品種は、受粉しなくても実が育つ「単為結果性」なので、ハチがいなくても実がなります。日本へは江戸時代に伝わり、当初は薬樹として植えられました。栄養豊富で食物繊維やカリウムを含み、「不老長寿の果実」とも呼ばれて親しまれてきました。

Calendar

育成カレンダー

全国の月別育成カレンダー
作業 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
植え付け
12月は植え付け
収穫
7月は収穫
8月は収穫
9月は収穫
剪定
2月は剪定
追肥
1月は追肥
病害虫注意
6月は病害虫注意
関東の月別育成カレンダー
作業 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
植え付け
12月は植え付け
収穫
8月は収穫
9月は収穫
剪定
2月は剪定
追肥
1月は追肥
病害虫注意
6月は病害虫注意
近畿の月別育成カレンダー
作業 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
植え付け
12月は植え付け
収穫
8月は収穫
9月は収穫
剪定
2月は剪定
追肥
1月は追肥
病害虫注意
6月は病害虫注意

数字は月を表します。色帯のある月がその作業の適期です。上のタブで地域を切り替えられます。

At a glance

ひと目でわかる特徴

育てやすさ 初心者向け
収穫・開花の早さ 長期
手軽さ(コスト) やや高め

Specs

形態と環境条件

形態

草丈
150〜300cm
株張り
150〜300cm
花のサイズ
花のうの内側につき外からは見えない
実のサイズ
直径4〜7cm

環境条件

日照
日なた
耐寒温度
-10℃
耐暑温度
38℃
土壌pH
6.0〜7.5
水やり
乾燥には強いが、実の肥大期は乾かさない。鉢植えは表面が乾いたらたっぷり。
肥料
有機質肥料・果樹用化成肥料

How to grow

育て方ステップ

  1. 1

    苗の選び方と植え付け

    約7日

    イチジクは挿し木でふやせるほど丈夫で、苗から育てるのが一般的です。植え付けは落葉期の11〜3月(寒冷地は芽出し前の3月)。品種は、収穫期間が長く実つきの良い秋果専用種や夏秋兼用種が家庭向き。日当たりと水はけのよい場所を選びます。地植えは根鉢の倍ほどの穴を掘り、堆肥を混ぜて植え付け、支柱で固定します。

    イチジクは根が浅く横に広がるので、鉢植えなら8〜10号の大きめの鉢に果樹用の土で植えます。鉢植えは移動できて管理しやすく、根域が制限されることで実つきが安定するメリットもあります。植え付け後はたっぷり水を与え、苗が高ければ地上40〜50cmで切り戻すと、低い位置から枝が出て管理しやすい樹形になります。

    💡落葉期に植え付け。秋果種・兼用種が家庭向き。鉢植えは8〜10号で管理しやすい。

  2. 2

    水やりと肥料

    約60日

    イチジクは比較的乾燥に強い果樹ですが、実を大きく甘く充実させる夏の肥大期には、十分な水分が必要です。地植えで根づいた木はよほど乾燥しないかぎり水やり不要ですが、鉢植えは乾きやすいので、土の表面が乾いたらたっぷりと、夏は朝夕の水やりを心がけます。

    水切れすると実が小さくなったり、落ちたりします。肥料は、落葉期の寒肥として有機質肥料を株元に施すのが基本。さらに実が育つ生育期に、果樹用の肥料で追肥を補うと、実つきと甘みが良くなります。イチジクは肥料を好む果樹なので、肥料切れさせないことが、毎年たくさんの実を収穫するコツです。葉の色が薄くなったら肥料不足のサインです。

    💡夏の肥大期は水切れ注意。寒肥を基本に生育期も追肥し、肥料を切らさないように。

  3. 3

    カミキリムシ対策

    約90日

    イチジク栽培で最も警戒すべきが、カミキリムシ(幼虫はテッポウムシ)の被害です。成虫が幹に産卵し、ふ化した幼虫が幹の内部を食い荒らすと、木が弱り、ひどいと枯れてしまいます。対策として、株元や幹をこまめに見回り、木くずのような糞(フラス)が出ていないかチェックします。

    フラスを見つけたら、その穴に針金を差し込んで幼虫を駆除するか、専用の薬剤を注入します。成虫(6〜8月に多い)を見つけたら捕殺します。株元をきれいに保ち、幹の根元に被害を防ぐ資材を巻くのも有効です。早期発見・早期駆除が何より大切で、これさえ気をつければ、イチジクは大きな病害虫の心配が少なく、安心して育てられます。

    💡幹の根元の木くず状の糞に注意。見つけたら穴の幼虫を駆除し、成虫は捕殺します。

  4. 4

    収穫

    約60日

    イチジクは、実が十分に大きくなり、品種本来の色(紫褐色や黄緑色)に色づいて、先端が少し裂けてやわらかくなった完熟の状態が食べごろです。固いうちに採ると甘くないので、樹上で熟させてから収穫するのが、家庭栽培ならではのおいしさのコツ。実のつけ根をハサミで切るか、軽くひねって採ります。

    完熟した実は日持ちせず傷みやすいので、その日のうちに食べるのがおすすめです。夏果は6〜7月、秋果は8〜10月に実り、秋果種は次々と実るので、毎日のように完熟をチェックして収穫します。たくさん採れたら、ジャムやコンポート、ドライイチジクにすれば長く楽しめます。完熟の実から出る白い乳液は手につくとかぶれることがあるので、気になる人は手袋を使います。

    💡色づき先端が裂けてやわらかくなった完熟を樹上で収穫。日持ちしないので早めに食べます。

  5. 5

    冬の剪定

    約7日

    イチジクの剪定は、落葉した12〜2月の休眠期に行います。重要なのは、実のなり方が品種で違うこと。「秋果専用種」は、その年に伸びた新しい枝に実がつくので、冬に枝を短く切り戻しても問題なく、むしろ強く切ると勢いのよい枝が出て実つきが良くなります。

    一方「夏果専用種」は、前年に伸びた枝の先に実がつくので、強く切ると実がなくなってしまうため、間引く程度にとどめます。兼用種はその中間です。共通して、込み合った枝、内向きの枝、枯れ枝を整理し、樹高を抑えて手の届く範囲に仕立てると、収穫や管理が楽になります。鉢植えはコンパクトに切り戻して樹形を保ちます。品種の性質を知って剪定することが、毎年の安定収穫につながります。

    💡秋果種は強く切り戻してOK、夏果種は切りすぎ厳禁。品種に合わせて剪定します。

Checklist

育てる前のチェックリスト

  • イチジクの苗

    秋果種・兼用種など品種を選ぶ。

    1,000〜3,000円
  • 大型鉢(8〜10号) (任意)

    鉢植えで育てる場合。

    1,000〜3,000円
  • 有機質肥料・果樹用肥料

    寒肥と追肥に。

    500〜1,200円
  • 剪定ばさみ (任意)

    冬の剪定用。

    800〜2,500円
初期費用の目安(必須のみ) 1,500〜4,200円

Pests & Diseases

かかりやすい病害虫

害虫

アブラムシ

時々

症状: 新芽が縮れる、葉がべたつく、すす病を誘発。

予防: 風通しを良くし、窒素過多を避ける。シルバーマルチで忌避。

対処: 見つけ次第捕殺、牛乳スプレーや薬剤で防除。

害虫

ハダニ

時々

症状: 葉に白いかすり状の斑点、ひどいと葉が枯れる。

予防: 葉裏への葉水で乾燥を防ぐ。

対処: 葉裏への葉水を継続し、専用の殺ダニ剤を使用する。

病気

灰色かび病

まれ

症状: 花弁や果実が褐変し灰色のカビに覆われる。

予防: 枯れ花をこまめに除去、密植を避ける。

対処: 罹病部を処分し殺菌剤を散布。

Harvest

収穫の情報

収穫までの年数
苗から2〜3年で本格収穫
受粉樹
不要
収穫量の目安
成木1本で数十個以上
樹の寿命
落葉小高木(10〜30年)
剪定時期
冬(落葉期・12〜2月)の剪定

Common mistakes

失敗あるある TOP3

⚠ カミキリムシで木が枯れる

幹の内部を食害され木が弱り枯れます。

原因: カミキリムシの幼虫(テッポウムシ)の食入。

対策: 株元の木くず状の糞を見つけたら穴の幼虫を駆除し、成虫は捕殺します。

⚠ 夏果種を切りすぎて実がならない

剪定した翌年に実がつきません。

原因: 前年枝に実る夏果種を強剪定し、実のつく枝を切った。

対策: 夏果種は間引く程度にとどめます。秋果種は強く切り戻してかまいません。

⚠ 実が小さい・落ちる

実が肥大せず途中で落ちます。

原因: 夏の肥大期の水切れ・肥料切れ。

対策: 実の肥大期は水を切らさず、生育期に追肥して肥料を補います。

FAQ

よくある質問

なります。日本で流通する多くのイチジクは、受粉しなくても実が育つ「単為結果性」の品種なので、1本だけでも、受粉を助けるハチがいなくても実がなります。

育てられます。むしろ根域が制限されて実つきが安定し、移動や管理もしやすいので家庭向きです。8〜10号の大きめの鉢を使い、夏の水切れに注意します。

若木でまだ実をつける力が十分でないか、夏の水切れ、肥料切れ、または夏果種を強く剪定して実のつく枝を切った可能性があります。品種に合った剪定と、肥大期の水・肥料管理を見直します。

夏果は前年の枝に実り6〜7月に収穫、秋果はその年の枝に実り8〜10月に収穫します。剪定の仕方が異なり、秋果種は強く切り戻してよく、夏果種は切りすぎると実がなくなります。

カミキリムシ(テッポウムシ)の幼虫が幹の内部を食害している可能性が高いです。株元に木くず状の糞がないか確認し、見つけたら穴の幼虫を駆除します。早期発見が肝心です。

実が色づき、先端が少し裂けてやわらかくなった完熟が食べごろです。固いうちは甘くないので樹上で熟させます。完熟の実は日持ちしないので、その日のうちに食べましょう。

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