温州みかん
Citrus unshiu Satsuma Mandarin
温州(うんしゅう)みかんは、冬の食卓でおなじみの、日本で最も親しまれている柑橘類です。皮が手でむきやすく、種がほとんどないため食べやすいのが...
かんたんに言うと
温州みかんは日当たりの良い場所で育つ種なしの柑橘で、暖地なら庭植え、寒い地域は鉢植えで冬に移動させると家庭でも収穫できます。
Profile
基本情報
温州(うんしゅう)みかんは、冬の食卓でおなじみの、日本で最も親しまれている柑橘類です。皮が手でむきやすく、種がほとんどないため食べやすいのが特徴で、家庭でも鉢植えや暖地の庭植えで収穫を楽しめます。柑橘の中ではレモンよりも耐寒性があり、関東以西の暖地なら庭植えも可能ですが、寒冷地では鉢植えにして冬に移動できるようにすると安心です。
1本で実がなる自家結実性があり、しかも受粉しなくても実がなる「単為結果」の性質のおかげで種なしになります。初夏に咲く白い花は柑橘特有の良い香りがします。育て方のポイントは、第一に日当たりの良い場所を選ぶこと。第二に、肥料を好むので年3回ほど施肥すること。
第三に、実がなりすぎると一年おきに豊作・不作を繰り返す「隔年結果」になりやすいので、夏に余分な実を間引く「摘果」をして毎年安定して実らせることです。また、レモンと同じくアゲハチョウの幼虫が新芽を食べにくるので注意します。植え付けから収穫までは3〜4年かかりますが、こたつでほおばる自家製みかんの満足感は格別。
手間はかかりますが、長く楽しめる家庭果樹の代表格です。種がなく皮も手でむきやすいので小さな子どもにも食べやすく、家族みんなで収穫を楽しめる冬の果樹として、昔から根強い人気があります。
💡豆知識
「温州」という名は中国のみかんの名産地に由来しますが、温州みかんそのものは日本原産で、約400年前に鹿児島県で偶然生まれたとされています。種がほとんどないのは、受粉しなくても実が育つ「単為結果」という性質によるもの。江戸時代には「種なしは家が絶える縁起が悪い」と敬遠された時期もありましたが、明治以降にその食べやすさから一気に普及し、今では日本の柑橘生産量の大半を占めます。
オレンジ色の色素「β-クリプトキサンチン」を豊富に含み、これは体内でビタミンA様の働きをする成分として近年注目されています。「こたつにみかん」は日本の冬の象徴です。
Calendar
育成カレンダー
| 作業 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 植え付け | 3月は植え付け | |||||||||||
| 開花 | 5月は開花 | |||||||||||
| 収穫 | 11月は収穫 | 12月は収穫 | ||||||||||
| 剪定 | 3月は剪定 | |||||||||||
| 追肥 | 3月は追肥 | |||||||||||
| 病害虫注意 | 5月は病害虫注意 |
| 作業 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 植え付け | 4月は植え付け | |||||||||||
| 開花 | 5月は開花 | |||||||||||
| 収穫 | 11月は収穫 | 12月は収穫 | ||||||||||
| 剪定 | 3月は剪定 | |||||||||||
| 追肥 | 3月は追肥 | |||||||||||
| 病害虫注意 | 5月は病害虫注意 |
| 作業 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 植え付け | 3月は植え付け | |||||||||||
| 開花 | 5月は開花 | |||||||||||
| 収穫 | 10月は収穫 | 11月は収穫 | 12月は収穫 | |||||||||
| 剪定 | 3月は剪定 | |||||||||||
| 追肥 | 3月は追肥 | |||||||||||
| 病害虫注意 | 5月は病害虫注意 |
数字は月を表します。色帯のある月がその作業の適期です。上のタブで地域を切り替えられます。
At a glance
ひと目でわかる特徴
Specs
形態と環境条件
形態
- 草丈
- 150〜300cm
- 株張り
- 150〜250cm
- 花のサイズ
- 直径2〜3cmの白い花(香りが良い)
- 実のサイズ
- 直径5〜8cm
環境条件
- 日照
- 日なた
- 耐寒温度
- -5℃
- 耐暑温度
- 35℃
- 土壌pH
- 5.5〜6.5
- 水やり
- 鉢は土の表面が乾いたらたっぷり。庭植えは根づけばほぼ不要。
- 肥料
- 柑橘用肥料・有機質肥料
How to grow
育て方ステップ
-
1
苗の植え付け
約1日温州みかんは2〜3年生の接ぎ木苗から育てます。植え付け適期は、寒さが和らぐ3〜4月。暖地(関東以西の平地)では日当たりと水はけの良い場所に庭植えできますが、寒冷地では鉢植えにして冬に移動できるようにします。鉢は8〜10号以上を選びます。庭植えは、冬の冷たい北風が当たりにくい、日当たりの良い南向きの場所が理想です。
接ぎ木部分が土に埋まらないよう浅めに植え、植え付け後はたっぷり水を与えて支柱で固定します。柑橘は根が浅く乾燥に弱い面もあるので、株元をマルチングすると乾燥防止になります。
💡暖地は庭植え可、寒冷地は鉢植えで。南向きの日当たりの良い場所が理想です。
-
2
水やり・施肥
約365日鉢植えは乾きやすいので、土の表面が乾いたら鉢底から流れ出るまでたっぷり水を与えます。夏は特に水切れに注意します。庭植えは根づけば降雨でまかなえ、よほどの干ばつ時以外は水やり不要です。肥料を好むため、春(3月)・夏(6月)・秋(10月)の年3回を目安に、柑橘用肥料や有機質肥料を施します。
春の肥料は新芽と花のため、夏は果実の肥大のため、秋は収穫後のお礼と翌年の準備のためと、それぞれ役割があります。肥料が不足すると葉が黄色くなり、実つきや食味が落ちます。鉢植えは肥料が流れやすいので、やや多めを意識します。
💡年3回の施肥が基本。鉢は水切れと肥料切れに注意します。
-
3
摘果(隔年結果対策)
約30日温州みかん栽培で毎年安定して収穫するための重要作業が「摘果(てきか)」です。柑橘は実をならせすぎると木が消耗し、翌年は花も実も少なくなる「隔年結果」を起こしやすい性質があります。これを防ぐため、夏(7〜8月ごろ)に、込み合った実や小さい実、傷んだ実を間引いて数を減らします。
目安は、葉25〜30枚に対して実1個程度。摘果することで、残した実が大きく甘く育ち、木の負担も減って毎年安定して実るようになります。もったいなく感じても、思いきって減らすのが、長期的にたくさん収穫するコツです。
💡夏の摘果が隔年結果を防ぐ鍵。葉25〜30枚に実1個を目安に減らします。
-
4
冬越し・剪定
約90日温州みかんはレモンより耐寒性があり、目安として-5℃程度まで耐えますが、寒冷地や幼木は防寒が必要です。鉢植えは冬に軒下や室内の日当たりの良い場所へ移動し、庭植えの幼木は不織布で覆い株元をマルチングします。剪定は、芽吹き前の3月ごろに行います。
混み合った枝、内向きの枝、枯れ枝、上に強く伸びる徒長枝を間引いて、樹の内部まで日光と風が通るようにします。風通しが良くなると病害虫が減り、内側の実までよく色づきます。強い剪定は実つきを乱すので、家庭では間引き中心の軽めの剪定にとどめます。
💡レモンよりは丈夫ですが幼木・寒冷地は防寒を。剪定は3月に軽めに。
-
5
収穫
約60日植え付けから3〜4年で実がなり始めます。初夏(5月ごろ)に白い花が咲き、秋から初冬(10〜12月)にかけて果実が緑からオレンジ色に色づきます。果実全体がしっかりオレンジ色に染まったら収穫適期です。収穫は、ハサミで果梗(かこう=実の軸)を2回切りにします。
まず枝から実を少し離して切り、次にヘタを果実すれすれで短く切ると、ほかの実を傷つけません。とり遅れると、皮と果肉の間に隙間ができる「浮皮(うきかわ)」になり、日持ちや食味が落ちるので、適期に収穫します。気温が下がる前、霜が降りる前に採り終えるのが基本です。
💡全体がオレンジに色づいたら収穫。とり遅れると浮皮になるので適期に。
Checklist
育てる前のチェックリスト
-
✓2,000〜5,000円
温州みかんの苗(接ぎ木)
2〜3年生苗が育てやすい。
-
✓500〜1,500円
柑橘・果樹用培養土
水はけと水もちの良いもの。
-
○1,500〜4,000円
大型鉢(8〜10号) (任意)
鉢植えの場合(移動できる)。
-
○500〜1,200円
柑橘用肥料 (任意)
年3回の施肥に。
Pests & Diseases
かかりやすい病害虫
アブラムシ
時々症状: 新芽が縮れる、葉がべたつく、すす病を誘発。
予防: 風通しを良くし、窒素過多を避ける。シルバーマルチで忌避。
対処: 見つけ次第捕殺、牛乳スプレーや薬剤で防除。
ハダニ
時々症状: 葉に白いかすり状の斑点、ひどいと葉が枯れる。
予防: 葉裏への葉水で乾燥を防ぐ。
対処: 葉裏への葉水を継続し、専用の殺ダニ剤を使用する。
ヨトウムシ
よく発生症状: 葉に大きな食害痕、株元の地中に潜む。
予防: 防虫ネットで産卵を防ぐ。
対処: 夜間または株元を掘って捕殺、薬剤を使用。
Harvest
収穫の情報
Common mistakes
失敗あるある TOP3
⚠ 隔年結果
一年おきに豊作と不作を繰り返します。
原因: 実のならせすぎによる木の消耗。
対策: 夏に摘果して実数を減らし(葉25〜30枚に1個)、年3回施肥します。
⚠ 浮皮(うきかわ)
皮と果肉の間に隙間ができ食味・日持ちが落ちます。
原因: 収穫遅れ、過湿、窒素過多。
対策: 色づいたら適期に収穫し、過湿・多肥を避けます。
⚠ アゲハ幼虫の食害/寒害
新芽が食害される、寒冷地で枝葉が傷みます。
原因: アゲハの幼虫、または冬の強い寒さ。
対策: 幼虫は捕殺、寒冷地や幼木は防寒(鉢は移動・庭は不織布)します。
FAQ
よくある質問
なります。温州みかんは自家結実性があり、さらに受粉しなくても実がなる「単為結果」のため、1本で種なしの実が収穫できます。
実をならせすぎて木が消耗する「隔年結果」です。夏に摘果して実の数を減らし(葉25〜30枚に1個目安)、年3回の施肥を行うと毎年安定して実りやすくなります。
レモンより耐寒性があり-5℃程度まで耐えますが、寒冷地では鉢植えにして冬に軒下や室内へ移動するのが安全です。庭植えは関東以西の暖地が目安です。
収穫遅れや過湿・多肥で起きる「浮皮」です。日持ちや食味が落ちるので、全体が色づいたら適期に、霜が降りる前に収穫しましょう。
アゲハチョウの幼虫の食害です。新芽の時期に葉をよく観察して捕殺し、被害が大きいときは防虫ネットを使います。
できます。8〜10号以上の鉢に植え、水切れと肥料切れに注意します。寒冷地では冬に移動できる鉢植えがむしろ安心で、摘果すれば鉢でも甘い実が採れます。
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