本文へスキップ
植物図鑑
🫐
枝に実った日本ナシの実
🫐 果樹

ナシ

Pyrus pyrifolia Japanese Pear

普通 難易度3(5段階中): 普通 💰 苗は1500〜4000円

ナシ(日本ナシ)は、シャリシャリとした独特の食感と、みずみずしくたっぷりの果汁、すっきりとした甘さが魅力の、秋を代表する落葉果樹です。春には...

かんたんに言うと

ナシはシャリシャリ食感の秋の落葉果樹。多くは1本で実りにくいので開花期の合う2品種を植え、摘果・袋かけ・剪定で実を育て、病気を予防するのがコツです。

Profile

基本情報

ナシ(日本ナシ)は、シャリシャリとした独特の食感と、みずみずしくたっぷりの果汁、すっきりとした甘さが魅力の、秋を代表する落葉果樹です。春には白い清楚な花を咲かせ、秋には甘い実を実らせる、花も実も楽しめる庭の果樹です。「幸水」「豊水」「二十世紀」などおなじみの品種があり、それぞれ味わいや収穫期が異なります。

家庭果樹としては中〜上級者向けですが、ポイントを押さえれば家庭でもみずみずしいナシを収穫できます。栽培のポイントは、第一に、ナシの多くは1本では実がなりにくい「自家不和合性」なので、受粉のために開花期の合う別の品種をもう1本植えること。これが家庭栽培で最も重要な点です。

第二に、日当たりと水はけのよい場所を好み、植え付けは落葉期に行うこと。第三に、おいしい実を採るための摘果、害虫や病気から実を守る袋かけ、そして剪定が必要なこと。ナシは黒星病や赤星病などの病気が出やすいので、こまめな手入れと、病気の予防が大切です(赤星病はビャクシン類が中間宿主なので近くに植えない)。

プロの産地では枝を水平に広げる「棚仕立て」にしますが、家庭では自然な樹形でも育てられます。手間はかかりますが、樹上で完熟させた採れたてのナシのみずみずしさは格別な、育てがいのある果樹です。

バラ科
分類
果樹 / 落葉果樹
原産地
日本、中国
別名
梨、なし、日本梨、幸水、豊水
適期
植え付けは12月
価格目安
苗は1500〜4000円

💡豆知識

ナシの栽培の歴史は古く、日本では弥生時代の遺跡からも種が見つかっているほど、古くから親しまれてきた果樹です。私たちが食べるナシ特有の「シャリシャリ」とした食感は、「石細胞(せきさいぼう)」という、細胞壁が硬くなった粒状の細胞が果肉に含まれているためで、これはナシならではの特徴です。

日本でよく食べられる丸い「日本ナシ」のほかに、ひょうたん形の「西洋ナシ(ラ・フランスなど)」、中国原産の「中国ナシ」があり、それぞれ食感や味わいが異なります。西洋ナシは追熟させてとろりと柔らかくして食べるのに対し、日本ナシは収穫してすぐシャリシャリの食感を楽しみます。

バラ科ナシ属で、リンゴやモモ、サクラと同じ仲間。明治時代に発見された「二十世紀」梨は、青ナシの代表として一世を風靡しました。ナシは果汁が多く、甘みのなかにすっきりとした酸味があり、夏から秋の水分補給にもぴったりの果実です。

Calendar

育成カレンダー

全国の月別育成カレンダー
作業 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
植え付け
12月は植え付け
開花
4月は開花
収穫
8月は収穫
9月は収穫
剪定
2月は剪定
追肥
1月は追肥
病害虫注意
5月は病害虫注意
関東の月別育成カレンダー
作業 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
植え付け
12月は植え付け
開花
4月は開花
収穫
8月は収穫
9月は収穫
剪定
2月は剪定
追肥
1月は追肥
近畿の月別育成カレンダー
作業 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
植え付け
12月は植え付け
開花
4月は開花
収穫
8月は収穫
9月は収穫
剪定
2月は剪定
追肥
1月は追肥

数字は月を表します。色帯のある月がその作業の適期です。上のタブで地域を切り替えられます。

At a glance

ひと目でわかる特徴

育てやすさ 普通
収穫・開花の早さ 長期
手軽さ(コスト) 高め

Specs

形態と環境条件

形態

草丈
200〜400cm
株張り
200〜500cm
花のサイズ
直径3〜3.5cmの白い花
実のサイズ
直径8〜12cm

環境条件

日照
日なた
耐寒温度
-20℃
耐暑温度
35℃
土壌pH
6.0〜6.5
水やり
地植えは根づけば降雨任せ。鉢植えと実の肥大期はたっぷり。
肥料
有機質肥料・果樹用化成肥料

How to grow

育て方ステップ

  1. 1

    受粉樹(2品種)と苗の植え付け

    約7日

    ナシ栽培でまず知っておきたいのが、ナシの多くが1本では実がなりにくい「自家不和合性」を持つこと。実をならせるには、開花期の合う別の品種をもう1本そばに植えて、お互いの花粉で受粉させる必要があります(例:幸水と豊水など、相性のよい組み合わせ)。

    1本だけでは実がならないことが多いので、家庭では2品種を植えるのが基本です。植え付けは落葉期の12〜3月。接ぎ木苗を選び、日当たりと水はけのよい場所に植えて支柱で固定します。ナシは黒星病や赤星病が出やすく、とくに赤星病はビャクシン類(カイヅカイブキなど)を中間宿主とするので、近くにこれらの樹がない場所を選ぶと病気を防げます。場所が限られる場合は、矮性台木の苗を鉢植えにする方法もあります。

    💡多くは1本で実りにくいので開花期の合う2品種を植えます。赤星病対策にビャクシン類の近くを避けます。

  2. 2

    病気の予防(黒星病・赤星病)

    約90日

    ナシは病気が比較的出やすい果樹なので、予防が大切です。代表的なのは、葉や実に黒い病斑が出る「黒星病」と、葉の表に橙色の斑点が出る「赤星病」。赤星病は、ビャクシン類(カイヅカイブキ、ビャクシンなど)を中間宿主として伝染するため、これらの樹が近くにあると発生しやすくなります。

    植える場所にビャクシン類がないか確認し、あれば離すか、可能なら撤去すると効果的です。黒星病・赤星病とも、落ち葉や被害果・被害葉に菌が潜むので、こまめに片づけて伝染源を減らします。剪定で風通しと日当たりをよくすることも予防になります。病気が出やすい時期(春の展葉期など)に予防的に薬剤を散布すると、より確実に守れます。家庭では、後述の袋かけと組み合わせて、実を病気や害虫から守ります。

    💡黒星病・赤星病に注意。赤星病はビャクシン類が中間宿主なので近くに植えません。落ち葉も片づけます。

  3. 3

    開花・受粉・摘果

    約30日

    春(4月)、葉とともに白い清楚な花が咲きます。受粉樹(別品種)があれば、ミツバチなどの訪花昆虫が受粉を助けますが、確実にするため、別品種の花粉を雌しべにつける人工授粉を行うと、より安心です(専用の花粉と毛ばたきを使う方法もあります)。実がつき始めたら、おいしい大きな実を採るために「摘果」をします。

    ナシは1か所(果そう)に複数の実がつくので、5〜6月ごろ、形のよい実を1個だけ残して、ほかを摘み取ります。さらに全体でも、葉の枚数に対して実が多すぎないよう間引きます(目安は葉20〜30枚に実1個)。摘果をすると、残した実に養分が集中して、玉太りと甘み、果汁が格段によくなります。摘果をしないと、小さく味の薄い実がたくさんつくだけになり、木も疲れます。

    💡受粉樹で受粉させ、5〜6月に摘果して1か所に実1個に。残した実が大きくみずみずしくなります。

  4. 4

    袋かけと収穫

    約60日

    摘果が終わったら、残した実に「袋かけ」をすると、シンクイムシなどの害虫や病気、傷から実を守れ、家庭で無農薬に近づけたい場合に有効です。袋かけは果実が小さいうちに行います。収穫は品種により8〜10月。日本ナシは、西洋ナシと違って追熟させず、樹上で完熟させてから収穫し、すぐにシャリシャリの食感を楽しみます。

    収穫適期は、実が品種本来の色(赤ナシは褐色、青ナシは黄緑色)に色づき、果実のおしりのほうまで熟して、軸の近くを持ち上げると軸が枝から離れる頃。試しに1個食べて、甘みと果汁が十分かを確かめるとよいでしょう。樹上で完熟させた採れたてのナシは、果汁たっぷりで、市販品とはひと味違うみずみずしさ。収穫後は日持ちするほうですが、早めに味わうのがおすすめです。

    💡摘果後に袋かけで実を保護。日本ナシは追熟させず、色づき完熟したら樹上で収穫します。

  5. 5

    冬の剪定

    約7日

    ナシの剪定は、落葉した12〜2月の休眠期に行います。ナシは、短く充実した「短果枝(たんかし)」に花芽がついて実がなるので、これを意識して剪定します。込み合った枝、内向きの枝、真上に勢いよく伸びる徒長枝、枯れ枝を整理して、樹冠の内部までよく日光が当たり、風が通るようにします。

    日当たりと風通しをよくすることは、実つきの向上と、黒星病・赤星病など病気の予防の両方に役立ちます。プロの産地では、枝を水平に誘引する「棚仕立て」で、作業性と日当たりを高めますが、家庭では自然な開いた樹形でも育てられます。背が高くなりすぎると、摘果・袋かけ・収穫が大変なので、低めに仕立てると管理が楽です。剪定後は寒肥として有機質肥料を施します。毎年の剪定で樹形と日当たりを保つことが、安定した収穫と病気の予防につながります。

    💡花芽は短果枝につきます。徒長枝を整理し日当たり・風通しを確保。低い樹形が管理しやすいです。

Checklist

育てる前のチェックリスト

  • ナシの接ぎ木苗(2品種)

    受粉樹として開花期の合う2品種を。鉢植えは矮性台木を。

    3,000〜8,000円
  • 果実袋・剪定ばさみ

    袋かけと冬の剪定用。

    800〜2,500円
  • 有機質肥料・果樹用肥料

    寒肥とお礼肥に。

    500〜1,200円
  • 大型鉢(10号以上) (任意)

    矮性台木の苗を鉢植えする場合。

    1,000〜3,000円
初期費用の目安(必須のみ) 4,300〜11,700円

Pests & Diseases

かかりやすい病害虫

害虫

アブラムシ

よく発生

症状: 新芽が縮れる、葉がべたつく、すす病を誘発。

予防: 風通しを良くし、窒素過多を避ける。シルバーマルチで忌避。

対処: 見つけ次第捕殺、牛乳スプレーや薬剤で防除。

害虫

ハダニ

時々

症状: 葉に白いかすり状の斑点、ひどいと葉が枯れる。

予防: 葉裏への葉水で乾燥を防ぐ。

対処: 葉裏への葉水を継続し、専用の殺ダニ剤を使用する。

病気

黒星病

よく発生

症状: 葉に黒い斑点が出て黄変し落葉する。

予防: 雨よけと風通し、落ち葉の除去。

対処: 罹病葉を処分し定期的に殺菌剤を散布。

Harvest

収穫の情報

収穫までの年数
接ぎ木苗から3〜5年で本格収穫
受粉樹
必要(開花期の合う別品種・ミツバチ・人工授粉)
収穫量の目安
成木1本で数十個以上
樹の寿命
落葉高木(20〜40年以上)
剪定時期
冬(落葉期・12〜2月)の剪定

Common mistakes

失敗あるある TOP3

⚠ 受粉樹がなく実がならない

花は咲くのに実がつきません。

原因: 自家不和合性で受粉樹(別品種)がない。

対策: 開花期の合う別の品種を一緒に植えるか、別品種の花粉で人工授粉します。

⚠ 黒星病・赤星病

葉や実に黒い斑点や橙色の斑点が出ます。

原因: 黒星病菌、赤星病菌(ビャクシン類が中間宿主)。

対策: ビャクシン類を近くに置かず、落ち葉・被害果を片づけ、予防散布と剪定で風通しを確保します。

⚠ 実が小さい・味が薄い

小さな実が多くつきます。

原因: 摘果不足による実のなりすぎ。

対策: 5〜6月に摘果して1か所に実1個に絞り、養分を集中させます。

FAQ

よくある質問

ナシの多くは1本では実がなりにくい「自家不和合性」です。実をならせるには、開花期の合う別の品種をもう1本そばに植えて、互いに受粉させるのが基本です(例:幸水と豊水)。確実にするため人工授粉も有効です。

「赤星病」です。ビャクシン類(カイヅカイブキなど)を中間宿主として伝染するので、近くにこれらの樹がないか確認し、あれば離します。被害葉や落ち葉を片づけ、予防散布も有効です。

摘果不足が主な原因です。5〜6月ごろ、1か所に実1個(葉20〜30枚に1個が目安)になるよう摘果すると、残した実に養分が集中して大きく甘く、果汁たっぷりになります。

日本ナシは西洋ナシと違って追熟させず、樹上で完熟させて収穫します。品種本来の色に色づき、軸を持ち上げると枝から離れる頃が適期。試しに1個食べて甘みと果汁を確かめるとよいでしょう。

家庭栽培ではおすすめします。摘果後、実が小さいうちに袋をかけると、シンクイムシなどの害虫、病気、傷から実を守れ、きれいに仕上がります。無農薬に近づけたい場合に有効です。

矮性台木の苗なら鉢植えでも育てられます。10号以上の大きな鉢を使い、受粉のため2品種を用意するか別品種の花粉で人工授粉します。実の肥大期は水切れに注意します。

Related

同じカテゴリの植物

Compare

ほかの植物と比較する

ナシと似た植物を、育てやすさや育て方で比べてみましょう。

Rankings

ナシが選ばれているランキング

ナシは、次の目的別ランキングに入っています。ほかのおすすめ植物もチェックできます。

Same family

同じ科の植物

ナシを育ててみませんか?

育成記録をつけたり、お気に入りに登録して栽培を楽しみましょう。