スズラン
Convallaria majalis Lily of the Valley
スズラン(鈴蘭)は、初夏に、すずらんの名のとおり、小さな白い鈴のような花を、すずなりに、うつむき加減に咲かせる、清楚で愛らしい多年草です。つ...
かんたんに言うと
スズラン(鈴蘭)は、初夏に白い鈴形の花を咲かせる清楚な多年草。半日陰を好み、暑さと強い直射が苦手なので、落葉樹の木陰や北側の半日陰に向きます。地下茎でふえ、毎年咲く丈夫な花。ただし花も葉も根もすべて有毒なので、誤食に注意が必要です。
Profile
基本情報
スズラン(鈴蘭)は、初夏に、すずらんの名のとおり、小さな白い鈴のような花を、すずなりに、うつむき加減に咲かせる、清楚で愛らしい多年草です。つややかな緑の葉のあいだから、すっと花茎を立ち上げ、いくつもの釣り鐘形の花を並べて咲かせる姿は、可憐そのもの。
甘く上品な香りがあり、香水の原料にもなるほどで、ヨーロッパでは、幸福を呼ぶ花として、古くから親しまれてきました。フランスには、5月1日に、スズランを贈ると、贈られた人に幸運が訪れるという「スズランの日(ミュゲの日)」の習慣があり、結婚式のブーケにも使われる、人気の花です。
日本にも、自生のスズラン(ニホンスズラン)がありますが、園芸でよく育てられるのは、花が大きく香りも強い「ドイツスズラン」。スズランは、半日陰を好み、夏の暑さと強い直射日光をやや苦手とするため、落葉樹の木陰や、北側の半日陰など、涼しく、明るい日陰に向きます。
いったん根づくと、地下茎を横に伸ばして、株がふえ、毎年、初夏に花を咲かせる、丈夫で手のかからない花。寒さに非常に強く、冬は地上部が枯れて、地下茎で冬を越します。ただし、スズランは、可憐な見た目とは裏腹に、花も葉も根も、すべてに毒(強心配糖体)をもつ有毒植物。
誤食すると危険なので、小さなお子さんやペットのいる家庭では、口に入れないよう、扱いに注意が必要です。正しく扱えば、初夏の庭に、清らかな彩りと香りを届けてくれる名花です。
💡豆知識
スズランは、ヨーロッパでは「幸福が訪れる花」として、たいへん愛されてきました。とくにフランスでは、5月1日を「ミュゲ(スズラン)の日」とし、この日にスズランを贈ると、贈った相手に幸運が訪れるとされ、街角でスズランの花束が売られる、初夏の風物詩になっています。
イギリスの王室の結婚式のブーケにも、スズランがよく用いられ、清らかさと幸福の象徴とされています。和名の「スズラン(鈴蘭)」は、鈴のような花の形に由来し、別名「君影草(きみかげそう)」は、葉の陰にひっそりと花を咲かせる、奥ゆかしい姿にちなみます。
一方で、スズランは、その可憐な姿からは想像しにくいほど、強い毒をもつ有毒植物としても知られます。花・葉・根・果実のすべてに、コンバラトキシンなどの強心配糖体を含み、誤って口にすると、おう吐や、心臓の不調などを引き起こす危険があります。スズランを生けた花瓶の水にも毒が溶け出すといわれ、その水を飲んでしまった事故も報告されています。
ニラやギョウジャニンニクの葉と、スズランの葉が似ているため、山菜と間違えて食べてしまう誤食事故も。美しい花ですが、扱うときは、口に入れないこと、作業後は手を洗うことを、しっかり守りましょう。
Calendar
育成カレンダー
| 作業 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 植え付け | 10月は植え付け | |||||||||||
| 開花 | 4月は開花 | |||||||||||
| 追肥 | 3月は追肥 | 6月は追肥 |
| 作業 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
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| 植え付け | 10月は植え付け | |||||||||||
| 開花 | 4月は開花 | |||||||||||
| 追肥 | 3月は追肥 | 6月は追肥 |
| 作業 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 植え付け | 10月は植え付け | |||||||||||
| 開花 | 4月は開花 | |||||||||||
| 追肥 | 3月は追肥 | 6月は追肥 |
数字は月を表します。色帯のある月がその作業の適期です。上のタブで地域を切り替えられます。
At a glance
ひと目でわかる特徴
Specs
形態と環境条件
形態
- 草丈
- 15〜30cm
- 株張り
- 20〜50cm
- 花のサイズ
- 釣り鐘形の小花(径0.5〜1cm・白/桃)
- 実のサイズ
- 赤い液果(有毒)
環境条件
- 日照
- 半日陰
- 耐寒温度
- -20℃
- 耐暑温度
- 30℃
- 土壌pH
- 6.0〜7.0
- 水やり
- 湿り気を好む。土の表面が乾いたらたっぷり。夏は乾かさない。
- 肥料
- 緩効性化成肥料・腐葉土
How to grow
育て方ステップ
-
1
植え付け(半日陰の涼しい場所に)
約14日スズランは、芽(根茎の先につく芽)のついた株や、ポット苗で出回ります。植え付けの適期は、休眠している秋(10〜11月)か、早春(2〜3月)。スズラン栽培で、いちばん大切なのが、場所選びです。スズランは、半日陰を好み、夏の強い直射日光と、暑さを、やや苦手とします。
直射が強く当たる場所や、西日のきつい場所では、葉が傷んだり、株が弱ったりするので、落葉樹の木陰や、建物の北側など、午前中だけ、やわらかい光が当たるような、涼しく明るい半日陰を選びます。土は、湿り気があって、水はけと水もちのバランスのよい、肥えた土が向きます。
植え付け前に、腐葉土や堆肥をたっぷりすき込んで、ふかふかの土をつくっておくと、よく育ちます。芽つきの株を植えるときは、芽の先が、地面から少し出るくらいの、浅植えにします。スズランは、地下茎(根茎)を横に伸ばして、どんどん株がふえていくので、植え付けるときは、株間を、10〜15cmほどあけて、広がるスペースを確保します。鉢植えにする場合も、浅めに、ゆとりをもって植えます。なお、スズランは全草が有毒なので、植え付け作業のあとは、手をよく洗いましょう。
💡秋か早春に、半日陰の涼しい場所へ。芽は浅植え、株間10〜15cm。腐葉土で湿り気のある土に。作業後は手を洗う。
-
2
水やりと肥料
約60日スズランは、湿り気のある環境を好むので、土を乾かしすぎないように、水やりをします。土の表面が乾いたら、たっぷりと水を与え、とくに、生育期の春から、花が咲く初夏にかけては、水切れさせないようにします。スズランが、もともと育つのは、落葉樹の下のような、適度に湿った場所なので、乾燥が続くと、葉が傷んだり、花つきが悪くなったりします。
夏は、とくに乾きやすいので、半日陰の涼しい場所で、土の乾燥に注意します。ただし、過湿で、いつもじめじめした状態が続くと、根が傷むので、水はけは確保しておきます。鉢植えは、地植えより乾きやすいので、こまめに水やりします。肥料は、それほど多くは必要ありません。
早春の芽出しのころに、緩効性の化成肥料や、腐葉土を、株元に施しておき、花が終わったあとに、お礼肥として、少量の肥料を与えると、地下茎が充実して、翌年の花つきがよくなります。肥料が多すぎると、葉ばかりが茂って、花が咲きにくくなることがあるので、控えめにします。半日陰で、適度な湿り気を保ち、控えめの肥料で育てるのが、毎年たくさんの花を咲かせるコツです。
💡湿り気を好むので乾かしすぎない(とくに春〜初夏と夏)。過湿は避け水はけは確保。肥料は早春と花後に控えめに。
-
3
開花を楽しむ(香りと切り花)
約30日スズランは、初夏(4〜5月ごろ)、つややかな緑の葉のあいだから、すっと花茎を立ち上げ、白い鈴のような小花を、いくつも並べて、うつむき加減に咲かせます。可憐な花姿に加え、甘く上品な香りがあるのも、スズランの大きな魅力。香水の原料になるほどの、清らかな香りが、初夏の庭に漂います。
花は、白が一般的ですが、ピンク色の花を咲かせる品種もあります。花つきをよくするには、前のステップのとおり、半日陰で、適度な湿り気を保ち、株を充実させることが大切です。スズランは、香りのよい切り花としても人気で、グラスなどに、数本生けるだけで、初夏の清涼感を、室内に運んでくれます。
フランスの「スズランの日」のように、小さな花束にして、贈り物にするのも素敵です。ただし、ここで重要な注意があります。スズランは、花も含めて全草が有毒で、その毒は、切り花を生けた花瓶の水にも溶け出すといわれます。生けた水を、誤って飲んだり、その水を、ほかの食器と一緒に扱ったりしないよう、また、小さなお子さんやペットが、花や水に触れたり口にしたりしないよう、置き場所には十分注意します。美しさと香りを楽しみつつ、毒性を忘れずに、安全に扱いましょう。
💡初夏に白い鈴形の花が甘く香る。切り花でも楽しめるが、生けた水も有毒。子ども・ペットが口にしない場所に置く。
-
4
花後の管理と株分けでふやす
約60日スズランは、花が終わったあとの管理と、数年に一度の株分けで、長く、たくさんの花を楽しめます。花が咲き終わったら、花茎を、株元から切り取ります。スズランは、花のあとに、赤い実(液果)をつけることがありますが、この実も有毒なので、お子さんやペットが、口に入れないよう、気になる場合は、早めに摘み取ります。
花後に、お礼肥として、少量の肥料を施し、葉が緑のあいだは、日(半日陰の光)に当てて、光合成をさせ、地下茎に養分をためさせます。スズランは、地下茎(根茎)を横に伸ばして、株がどんどんふえていくので、何年か育てると、株が混み合ってきます。混み合うと、花つきが悪くなるので、数年に一度、休眠期の秋(10〜11月)に、掘り上げて、株分けをします。
地下茎を、芽が2〜3個つくように、手で分けるか、清潔なハサミで切り分けて、植え直すと、再び元気に、よく花を咲かせます。株分けでふやした株は、別の半日陰の場所に植えれば、スズランの群生を広げていけます。作業のときは、有毒なので、手袋をするか、作業後に、必ず手を洗いましょう。
💡花後は花茎を切り、赤い実も有毒なので必要なら摘む。地下茎でふえるので数年に一度、秋に株分け。作業後は手洗いを。
-
5
冬越しと毒性の注意(安全に育てる)
約120日スズランは、寒さに非常に強い植物です。冬になると、地上部の葉が、自然に黄色く枯れていきますが、地下茎は生きていて、土の中で休眠して、冬を越します。地植えなら、防寒はまったく不要で、雪の降る寒冷地でも、屋外で楽に冬を越せます。むしろ、スズランは、冬に、一定期間、寒さに当たることで、春の芽出しと開花が、うまく進みます。
鉢植えも、屋外の、軒下などに置いて、寒さに当てて冬を越させます。休眠中の冬は、生育していないので、水やりは、土がからからに乾かない程度に、ごく控えめにします。やりすぎると、休眠中の地下茎が腐ることがあるので注意します。春になって暖かくなると、また、地面から、とがった芽が顔を出し、葉が展開して、初夏に花を咲かせます。
最後に、もう一度、毒性についての大切な注意です。スズランは、花・葉・根・実のすべてに、強い毒(強心配糖体)を含む有毒植物です。とくに、葉が、ニラやギョウジャニンニクに似ているため、山菜と間違えて食べてしまう、重大な誤食事故が、毎年のように起きています。
スズランは、あくまで観賞用と心得て、絶対に食用にしないこと。家庭菜園の、食べられる植物(ニラなど)の近くには植えないこと。小さなお子さんやペットが、誤って口にしない場所で育てること。これらを守れば、毎年、初夏に、清らかな花と香りを届けてくれる、安全で美しい花です。
💡寒さに強く地植えは防寒不要、冬の寒さが開花に必要。休眠中は水控えめ。全草有毒で葉がニラに似るため誤食に厳重注意。
Checklist
育てる前のチェックリスト
-
✓300〜900円
スズランの芽つき株・苗
秋・早春に出回る。ドイツスズランが一般的。
-
○400〜1,200円
腐葉土・培養土 (任意)
湿り気を保つ、ふかふかの土に。
-
○300〜1,200円
鉢・プランター (任意)
浅めにゆとりをもって植える。
-
○400〜1,000円
緩効性肥料 (任意)
早春と花後に少量。
Pests & Diseases
かかりやすい病害虫
アブラムシ
まれ症状: 新芽が縮れる、葉がべたつく、すす病を誘発。
予防: 風通しを良くし、窒素過多を避ける。シルバーマルチで忌避。
対処: 見つけ次第捕殺、牛乳スプレーや薬剤で防除。
灰色かび病
時々症状: 花弁や果実が褐変し灰色のカビに覆われる。
予防: 枯れ花をこまめに除去、密植を避ける。
対処: 罹病部を処分し殺菌剤を散布。
Flower meaning
花言葉
-
「純粋・純潔・再び幸せが訪れる」
白
清らかな白い花姿と、ヨーロッパで幸福を呼ぶ花とされたことに由来します。
-
「return of happiness(幸福が再び訪れる)」
白
フランスの「スズランの日」など、幸運を贈る花とされた習慣にちなみます。
-
「幸福・愛らしさ」
ピンク
やさしい桃色の花の印象にちなむとされています。
Common mistakes
失敗あるある TOP3
⚠ 夏の暑さ・強い直射で弱る
葉が傷み、株が弱って花つきが悪くなります。
原因: 強い直射日光や西日、夏の高温と乾燥。
対策: 落葉樹の木陰や北側の半日陰など、涼しく明るい場所で育て、夏は乾かさないようにします。
⚠ 全草が有毒で誤食の危険
誤食でおう吐・心臓の不調などの中毒を起こします。
原因: 葉がニラ等に似て山菜と誤認、子ども・ペットの誤食、生けた水の誤飲。
対策: 食用植物の近くに植えず、口にしない場所で育て、実は摘み、作業後は手を洗います。
⚠ 株の混み合いで花が減る
年々、花つきが悪くなります。
原因: 地下茎でふえて株が混み合った。
対策: 数年に一度、秋に掘り上げて株分けし、混み合いを解消します。
FAQ
よくある質問
はい、スズランは半日陰で丈夫に育ち、地下茎でふえて毎年咲き、寒さにも強いので、置き場所さえ合えば育てやすい花です。夏の暑さと強い直射、過湿が苦手なので、落葉樹の木陰や北側の半日陰の、涼しく明るい場所を選びます。ただし全草が有毒なので、誤食には十分注意してください。
スズランは花・葉・根・実のすべてに強い毒(強心配糖体)を含む有毒植物で、誤食するとおう吐や心臓の不調を起こす危険があります。とくに葉がニラやギョウジャニンニクに似ているため、山菜と間違える誤食事故が起きています。観賞用と心得て、食用植物の近くに植えず、子どもやペットが口にしない場所で育て、作業後は手を洗いましょう。
はい、スズランはむしろ半日陰を好みます。強い直射日光と夏の暑さが苦手なので、午前中だけやわらかい光が当たる、落葉樹の木陰や建物の北側のような、涼しく明るい半日陰が最適です。日当たりの悪い場所を有効活用できる花ですが、まったくの暗い日陰では花つきが悪くなります。
スズランは地下茎(根茎)を横に伸ばして自然に株がふえます。数年育てて混み合ってきたら、休眠期の秋(10〜11月)に掘り上げ、地下茎を芽が2〜3個つくように分けて植え直す「株分け」でふやせます。混み合いを解消すると花つきもよくなります。作業時は有毒なので手袋をするか、後で手を洗いましょう。
日照不足(暗すぎる日陰)、株の混み合い、肥料の過不足、夏の高温乾燥で株が弱った、などが原因です。明るい半日陰で、適度な湿り気を保ち、混み合ったら株分けし、早春と花後に控えめに肥料を与えると、花つきがよくなります。花後に葉を残して光合成させ、地下茎を充実させることも大切です。
スズランは寒さに非常に強く、冬は地上部が枯れて地下茎で休眠して冬を越します。地植えなら防寒は不要で、寒冷地でも屋外で越せます。むしろ冬の寒さに当たることが春の開花に必要です。鉢も屋外で寒さに当てます。休眠中の水やりは、土がからからに乾かない程度に控えめにします。
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