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植物図鑑
🫐
オレンジ色に熟したアンズの実
🫐 果樹

アンズ

Prunus armeniaca Apricot

普通 難易度3(5段階中): 普通 💰 苗は2000〜5000円

アンズ(杏)は、初夏にオレンジ色の甘酸っぱい実をつける、花も実も楽しめる落葉果樹です。早春、葉が出る前に淡いピンクや白の花を枝いっぱいに咲か...

かんたんに言うと

アンズ(杏)は早春に花、初夏に甘酸っぱい実を楽しめる落葉果樹。冷涼で乾燥した気候を好み梅雨の多湿に弱い。品種により受粉樹が必要なので苗選びで確認します。

Profile

基本情報

アンズ(杏)は、初夏にオレンジ色の甘酸っぱい実をつける、花も実も楽しめる落葉果樹です。早春、葉が出る前に淡いピンクや白の花を枝いっぱいに咲かせ、ウメや桜に似た美しい花姿で「花アンズ」として観賞用にも親しまれます。バラ科サクラ属でウメやモモ、スモモの近縁にあたり、6〜7月ごろに直径3〜5cmほどのビロードのような産毛をまとった実が熟します。

完熟した果実は、生食ではさわやかな甘酸っぱさが楽しめ、ジャムやシロップ漬け、ドライアプリコット、果実酒、菓子の材料として幅広く利用されます。比較的寒さに強く、冷涼で乾燥した気候を好み、長野県や青森県などが産地として有名です。一方で、日本の梅雨どきの高温多湿には弱く、雨が多いと実が割れたり病気が出やすかったりするため、水はけと風通しのよい場所選びが大切です。

品種によって1本で実がなる「自家結実性」のものと、受粉樹が必要なものがあるので、苗選びの際に確認します。生長が比較的早く、植え付けから数年で実をつけ始めるため、花と実の両方を楽しめる家庭果樹として庭植えにおすすめの一本です。早春の花の美しさと初夏の実りの楽しみを一本で味わえる、庭を彩る魅力的な家庭果樹です。

バラ科
分類
果樹 / 落葉果樹
原産地
中国
別名
杏、あんず、アプリコット、カラモモ
適期
植え付けは1月
価格目安
苗は2000〜5000円

💡豆知識

アンズの学名「Prunus armeniaca」は「アルメニアのスモモ」を意味し、かつてアルメニアが原産地と考えられたことに由来しますが、実際の原産地は中国北部とされています。中国では古くから栽培され、種の中の仁(じん=核の中身)を「杏仁(きょうにん/あんにん)」と呼び、生薬や、独特の香りをもつ杏仁豆腐の原料として利用してきました。

日本へは古い時代に中国から伝わり、「唐桃(からもも)」とも呼ばれました。シルクロードを通じて西へも伝わり、ヨーロッパや中央アジアでも広く栽培されています。花はウメによく似ていますが、アンズの花は花びらがより丸く、咲き終わりに萼(がく)が反り返るのが見分けるポイント。

ウメとアンズは交雑することもあり、両者の中間的な「豊後(ぶんご)」系の品種なども生まれています。花の美しさから、実を採る品種とは別に観賞用の「ハナアンズ」も親しまれています。

Calendar

育成カレンダー

全国の月別育成カレンダー
作業 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
植え付け
1月は植え付け
開花
3月は開花
収穫
6月は収穫
剪定
1月は剪定
追肥
1月は追肥
病害虫注意
6月は病害虫注意
関東の月別育成カレンダー
作業 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
植え付け
1月は植え付け
開花
3月は開花
収穫
6月は収穫
剪定
1月は剪定
追肥
1月は追肥
病害虫注意
6月は病害虫注意
近畿の月別育成カレンダー
作業 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
植え付け
1月は植え付け
開花
3月は開花
収穫
6月は収穫
剪定
1月は剪定
追肥
1月は追肥
病害虫注意
6月は病害虫注意

数字は月を表します。色帯のある月がその作業の適期です。上のタブで地域を切り替えられます。

At a glance

ひと目でわかる特徴

育てやすさ 普通
収穫・開花の早さ 早い
手軽さ(コスト) 高め

Specs

形態と環境条件

形態

草丈
250〜500cm
株張り
250〜500cm
花のサイズ
直径2〜3cmの淡紅・白花
実のサイズ
直径3〜5cm

環境条件

日照
日なた
耐寒温度
-25℃
耐暑温度
35℃
土壌pH
6.0〜7.0
水やり
地植えは根づけば乾燥時に。鉢植えは表面が乾いたらたっぷり。
肥料
果樹用肥料・有機質肥料

How to grow

育て方ステップ

  1. 1

    品種選びと苗の植え付け

    約7日

    アンズは苗木から育てます。まず品種選びが大切で、アンズには1本だけで実がなる「自家結実性」の品種と、別品種の受粉樹が必要な品種があります。家庭で1本だけ植えるなら、自家結実性の品種(「平和」など)を選ぶと確実です。受粉樹が必要な品種は、近くにウメやスモモ、別のアンズなど開花期の合う木があると実つきがよくなります。

    苗を買うときに確認しましょう。植え付け適期は、落葉している休眠期の11〜3月(厳寒期は避ける)。日当たりと水はけ、風通しのよい場所を選びます。アンズは梅雨の多湿に弱いので、特に水はけのよさが重要です。植え穴に堆肥を混ぜて高めに植え、支柱で固定します。寒さには強いので寒冷地でも育てられますが、暖地では夏の多湿に注意が必要です。

    💡1本で育てるなら自家結実性の品種を。水はけのよい場所に植えます。

  2. 2

    日当たり・水やり・施肥

    約120日

    アンズは日光を好み、日当たりのよい場所でよく育って花つき・実つきがよくなります。風通しと水はけのよい場所が適地です。水やりは、庭植えで根づいた木は、乾燥が続くとき以外は基本的に不要です。むしろアンズは過湿を嫌うので、水のやりすぎや水はけの悪さに注意します。

    鉢植えの場合は、土の表面が乾いたらたっぷり与えます。肥料は、落葉期の冬に「寒肥(かんごえ)」として有機質肥料を施すのが基本で、これが春の生育の元になります。収穫後にお礼肥を与えて木の体力を回復させます。チッ素分の多い肥料を与えすぎると、枝葉ばかり茂って花や実がつきにくくなるので、施肥は控えめを心がけ、リン酸分を含む果樹用肥料を適量与えると花つき・実つきがよくなります。

    💡日当たりよく水はけよく。寒肥が基本でチッ素過多は避けます。

  3. 3

    開花・受粉と摘果

    約60日

    早春(3月ごろ)、葉が出る前に淡いピンクや白の花を枝いっぱいに咲かせます。ウメや桜に似た美しい花で、観賞も楽しめます。この時期にミツバチなどを介して受粉が行われます。受粉樹が必要な品種や、開花期の天候が悪く昆虫が少ないときは、別品種の花粉を筆などでつける「人工授粉」を行うと実つきがよくなります。

    早春の開花は遅霜に当たると傷むことがあるので、寒冷地では注意します。実がつきすぎると一つひとつが小さくなり、木も疲れるため、実が小さいうちに混んだ部分や傷んだ実を間引く「摘果(てきか)」を行います。葉に対して実が多すぎないよう適度な間隔に整えると、残した実が大きく甘く育ちます。摘果はおいしいアンズを育てる大切なひと手間です。

    💡受粉樹が必要な品種は人工授粉が有効。実を摘果して大玉に育てます。

  4. 4

    剪定で樹形を整える

    約7日

    アンズの剪定は、落葉して休眠している冬(12〜2月)に行うのが基本です。アンズは枝が伸びやすいので、放任すると大きくなりすぎて管理や収穫が大変になります。混み合った枝、内向きの枝、枯れ枝、勢いよく真上に伸びる徒長枝を整理し、樹の内部まで日光と風が通るようにします。

    風通しと採光がよくなると、実つきがよくなり、梅雨どきの病気も予防できます。アンズは短い枝(短果枝)に花芽がつきやすいので、これを残すように剪定するのがコツです。強く切りすぎると徒長枝が増えて実つきが落ちるので、若木は骨格づくり、成木は混み合いの解消を中心に、毎年少しずつ整えます。

    庭植えでは、収穫や管理がしやすいよう、2.5〜3mほどの高さに抑えると扱いやすくなります。切り口には保護剤を塗ると病気の侵入を防げます。

    💡冬に混み合った枝と徒長枝を整理。花芽のつく短い枝を残します。

  5. 5

    梅雨・実割れ対策と収穫

    約30日

    アンズ栽培で最も注意が必要なのが、収穫期と重なる日本の梅雨です。高温多湿や、実が熟すころの長雨で、実が割れる「裂果(れっか)」や、灰星病など実が腐る病気が出やすくなります。対策として、風通しをよくする剪定、水はけの改善、必要に応じた実への袋かけ、そして病気が出やすい時期の予防散布が有効です。

    雨よけができれば理想的ですが、家庭では難しいので、被害果はこまめに取り除いて病気の広がりを防ぎます。実は6〜7月ごろ、果皮全体がオレンジ色に色づき、触れてわずかにやわらかくなり、甘い香りがしてきたら収穫期です。完熟すると傷みやすく、雨で割れる前に、少し早めに収穫して追熟させるのもよい方法です。生食のほか、ジャムやシロップ漬け、ドライアプリコット、果実酒にして長く楽しめます。

    💡梅雨の実割れ・病気に注意。色づいたら割れる前に少し早めに収穫します。

Checklist

育てる前のチェックリスト

  • アンズの苗木

    1本で育てるなら自家結実性の品種を。

    2,000〜5,000円
  • 果樹用肥料・有機質肥料

    寒肥とお礼肥に。

    600〜1,500円
  • 支柱 (任意)

    植え付け時に苗を固定する。

    300〜1,000円
  • 果実袋・癒合剤 (任意)

    実割れ・病気対策と剪定の切り口保護に。

    300〜1,000円
初期費用の目安(必須のみ) 2,600〜6,500円

Pests & Diseases

かかりやすい病害虫

害虫

アブラムシ

よく発生

症状: 新芽が縮れる、葉がべたつく、すす病を誘発。

予防: 風通しを良くし、窒素過多を避ける。シルバーマルチで忌避。

対処: 見つけ次第捕殺、牛乳スプレーや薬剤で防除。

病気

灰色かび病

時々

症状: 花弁や果実が褐変し灰色のカビに覆われる。

予防: 枯れ花をこまめに除去、密植を避ける。

対処: 罹病部を処分し殺菌剤を散布。

Harvest

収穫の情報

収穫までの年数
苗木から3〜4年で本格収穫
受粉樹
必要(自家結実性の品種は1本で結実・受粉樹が必要な品種はウメ・スモモ・別のアンズ・人工授粉)
収穫量の目安
成木1本で数十〜数百個
樹の寿命
落葉高木(20〜30年)
剪定時期
冬(落葉期・12〜2月)の剪定

Common mistakes

失敗あるある TOP3

⚠ 梅雨の実割れ・実腐れ

収穫期に実が割れたり腐ったりします。

原因: 高温多湿、収穫期の長雨、灰星病など。

対策: 風通しよく剪定し水はけを改善。被害果を除去し、少し早めに収穫します。

⚠ 受粉樹がなく実がつかない

花は咲くのに実がなりません。

原因: 受粉樹が必要な品種で受粉樹がない、遅霜の被害。

対策: 自家結実性の品種を選ぶか受粉樹を植え、人工授粉します。遅霜を避けます。

⚠ 枝葉ばかりで実つきが悪い

枝はよく伸びるのに花や実が少ないです。

原因: チッ素肥料の与えすぎ、強剪定のしすぎ。

対策: 施肥を控えめにし、花芽のつく短い枝を残す剪定にします。

FAQ

よくある質問

品種によります。「平和」などの自家結実性の品種は1本で実がなります。受粉樹が必要な品種は、近くにウメやスモモ、別のアンズなど開花期の合う木があると実つきがよくなります。苗選びの際に確認しましょう。

同じバラ科サクラ属の近縁で花もよく似ています。アンズの花は花びらが丸く咲き終わりに萼が反り返るのが特徴。実はアンズのほうが大きく、熟すとオレンジ色になり生食もできます。両者の中間的な品種もあります。

アンズは高温多湿に弱く、収穫期の長雨で実割れ(裂果)や灰星病などが出やすいです。風通しのよい剪定、水はけの改善、被害果の除去、必要なら袋かけや予防散布で対策します。少し早めの収穫も有効です。

育てられます。アンズは寒さに強く冷涼な気候を好むため、むしろ寒冷地に向く果樹です。長野県や青森県が産地として有名です。ただし早春の開花が遅霜に当たると傷むことがあるので注意します。

6〜7月ごろです。果皮全体がオレンジ色に色づき、触れてわずかにやわらかく甘い香りがしたら食べごろ。完熟は傷みやすく雨で割れやすいので、少し早めに収穫して追熟させてもよいでしょう。

完熟した実は生食でさわやかな甘酸っぱさが楽しめます。ジャムやシロップ漬け、ドライアプリコット、果実酒、菓子の材料としても人気です。やや酸味があるので、加工して楽しまれることも多い果実です。

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