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植物図鑑
🫚
黄緑色の樹皮がめくれる太い塊根状の幹をもつチレコドン・パニクラタス(阿房宮)

出典: Wikimedia Commons / 作者: Marco Schmidt[1] / ライセンス: CC BY-SA 3.0

🫚 塊根植物

チレコドン・パニクラタス

Tylecodon paniculatus Tylecodon paniculatus

育てやすさ ふつう 育てやすさ 3(5段階中、多いほど育てやすい):ふつう 💰 鉢植えは3000〜20000円

チレコドン・パニクラタスは、南アフリカからナミビアにかけての乾燥地に自生する、ベンケイソウ科の塊根植物です。和名を「阿房宮(あぼうきゅう)」...

かんたんに言うと

チレコドン・パニクラタス(阿房宮)は、めくれる樹皮の太い幹が魅力の冬型塊根植物。秋から春の涼しい時期に葉を広げて育ち、夏は葉を落として休眠します。夏は断水して涼しく越させるのが最大のコツ。全草に毒性があるので口にしないよう注意します。

Profile

基本情報

チレコドン・パニクラタスは、南アフリカからナミビアにかけての乾燥地に自生する、ベンケイソウ科の塊根植物です。和名を「阿房宮(あぼうきゅう)」といい、太く肥大した塊根状の幹をもつのが最大の魅力。幹の表面は、黄緑色から黄色みを帯びた薄い樹皮におおわれ、生長とともにその樹皮が紙のようにめくれていく独特の姿が、多くの愛好家に愛されています。

最も大切な特徴は、夏に休眠して冬に生長する「冬型」であること。気温が下がりはじめる秋から春の涼しい時期に、枝先に葉を展開して旺盛に育ち、暑くなる夏には葉をすべて落として休眠に入ります。そのため、一般的な植物とは生育のリズムが逆になります。栽培でいちばんのポイントは、夏の管理です。

高温多湿をとても嫌うため、夏は水やりを止めて断水し、風通しのよい涼しい日陰で、できるだけ涼しく越させることが、株を腐らせないための絶対条件になります。秋が深まると、枝先に赤みを帯びた筒状の花を咲かせ、その姿も見どころのひとつです。生長はとてもゆっくりで、長い年月をかけて、ずんぐりとした幹を太らせていきます。

なお、この植物は全草に強心配糖体という毒性の成分を含む有毒植物で、原産地では家畜の中毒で知られています。葉や枝を口にしないよう注意し、剪定で樹液にふれたら手を洗うようにします。めくれる樹皮の幹と、冬に育つ独特の生態をあわせもつ、味わい深い一鉢です。

分類
塊根植物 / 冬型(秋〜春生育)
原産地
南アフリカ、ナミビア
別名
阿房宮、アボウキュウ、チレコドン
価格目安
鉢植えは3000〜20000円

💡豆知識

チレコドン・パニクラタスは、和名を「阿房宮(あぼうきゅう)」といいます。これは古代中国の秦の始皇帝が築いた壮大な宮殿の名にちなんだもので、太く立派な幹の姿を、豪壮な宮殿になぞらえたものといわれます。属名の「チレコドン(Tylecodon)」は、同じベンケイソウ科の近縁種「コチレドン(Cotyledon)」のつづりを並べかえた、アナグラムになっています。

これは、もともとコチレドンに分類されていた仲間が、のちに別の属として独立した経緯を表しています。原産地の南アフリカでは、家畜がこの植物を食べて中毒を起こすことが知られ、現地では「ボッターブーム」と呼ばれて警戒される、有毒植物でもあります。最大の特徴は、夏に休眠して冬に育つ「冬型」の生態。

雨が冬に降る地中海性気候の地域に適応した結果で、暑く乾く夏をやり過ごし、涼しく湿る冬に活動します。さらに、生長とともに黄緑色の薄い樹皮が紙のようにめくれていく姿も独特で、年月をかけて太った幹そのものが、この植物の見どころです。

Calendar

育成カレンダー

全国の月別育成カレンダー
作業 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
植え替え
9月は植え替え
開花
11月は開花
追肥
10月は追肥
病害虫注意
7月は病害虫注意
関東の月別育成カレンダー
作業 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
植え替え
9月は植え替え
開花
11月は開花
追肥
10月は追肥
病害虫注意
7月は病害虫注意
近畿の月別育成カレンダー
作業 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
植え替え
9月は植え替え
開花
11月は開花
追肥
10月は追肥
病害虫注意
7月は病害虫注意

数字は月を表します。色帯のある月がその作業の適期です。上のタブで地域を切り替えられます。

At a glance

ひと目でわかる特徴

育てやすさ ふつう
収穫・開花の早さ
手軽さ(コスト) 高め

Specs

形態と環境条件

形態

草丈
20〜60cm
株張り
15〜40cm
花のサイズ
赤みを帯びた筒状の花が枝先に咲く(秋〜初冬)

環境条件

日照
日なた
耐寒温度
3℃
耐暑温度
35℃
土壌pH
6.0〜7.0
水やり
生育期(秋〜春)は土が乾いたらたっぷり。夏の休眠期は断水。
肥料
サボテン・多肉植物用肥料

How to grow

育て方ステップ

  1. 1

    置き場所を決める(冬型のリズムに合わせる)

    約7日

    チレコドン・パニクラタスは、秋から春に育ち、夏に休眠する「冬型」の塊根植物です。生育期である涼しい時期は、できるだけよく日の当たる、明るく風通しのよい場所に置きましょう。屋外なら、雨の当たりにくい南向きのベランダや軒下が向きます。しっかり日に当てると、枝が間延びせず締まって、めくれる樹皮の幹を美しく保てます。

    室内なら、一日を通して光がよく入る、明るい南向きの窓辺が理想的です。日照が不足すると、枝がひょろひょろと徒長して、本来のずんぐりした姿が崩れてしまいます。一方、暑さが厳しくなる夏は、生育期とは逆に、直射を避けた涼しい日陰に移して休ませます。

    生育に適した温度はおよそ10〜25度で、暑さには弱く、真冬でも3度ほどまでは耐えますが、霜や凍結には弱いので、寒冷地では冬の冷え込む夜は室内に取り込むと安心です。一年を通して、風通しのよさを保つことが、蒸れと腐りを防ぐ大切なポイントになります。

    💡生育期はよく日に当てて締めて育てる。夏は涼しい日陰へ。日照不足は枝が徒長する。

  2. 2

    水やり(生育期と夏の休眠期で正反対)

    約30日

    チレコドンの水やりは、生育期と休眠期でメリハリをつけるのが最大のポイントで、しかもその時期が一般的な植物と逆になります。葉を広げてよく育つ秋から春の生育期は、土が完全に乾いたら、鉢底から流れ出るまでたっぷりと与えます。乾いたらたっぷり、を繰り返して株を充実させますが、常に湿った状態は禁物で、受け皿の水は必ず捨て、次の水やりまでにしっかり乾かします。

    風通しが悪く乾きが遅いと、根腐れの原因になります。一方、葉を落として休眠に入る夏は、水やりを止めて断水します。高温の時期に土が湿っていると、暑さと過湿が重なって、大切な塊根状の幹が腐ってしまうので、夏はほとんど水を与えません。これがチレコドン栽培で最も注意すべき点です。

    秋になって涼しくなり、新しい葉が動き始めたら、少しずつ水やりを再開します。「秋〜春の生育期はしっかり乾かしてたっぷり、夏の休眠期は断水」が基本のリズムです。

    💡秋〜春は完全に乾いたらたっぷり、夏の休眠期は断水。夏の過湿が腐りの最大原因。

  3. 3

    土と植え替え(秋に行う)

    約14日

    チレコドンは過湿に弱いので、水はけと通気性のよい土が絶対条件です。市販の「サボテン・多肉植物用の土」をベースに、軽石や日向土などを多めに混ぜて、より水はけよく仕立てるのもおすすめです。鉢は、底に穴のあいた、通気性のよい鉢(素焼き鉢など)が向きます。

    生長はゆっくりですが、2〜3年に一度を目安に、生育期の始まる秋(涼しくなって葉が動き出すころ)に植え替えます。夏の休眠中や、生育期の終わる春先の植え替えは、株が弱るので避けます。鉢から株を抜き、古い土を落として、傷んだ根や黒ずんだ根をていねいに取り除きます。

    チレコドンは根が傷むと回復に時間がかかるので、根の状態をよく確認するのが大切です。なお、この植物は全草に毒性があるので、根や枝を切ったら手を洗い、樹液が目や口に入らないよう注意します。切り口を乾かしてから、新しい土に植えます。植え替え直後は、根が落ち着くまで1週間ほど水やりを控えてから、通常の管理に戻します。

    💡水はけ最優先の土と素焼き鉢で。植え替えは涼しくなる秋に。毒性があるので手を洗う。

  4. 4

    夏越し(断水・涼しく・最重要)

    約90日

    チレコドン栽培でいちばんの山場が、夏越しです。冬型のこの植物は、気温が上がる初夏になると、葉をすべて落として休眠に入ります。落葉は枯れではなく、暑い夏をやり過ごすための自然な反応なので、心配いりません。夏の管理のコツは、とにかく「涼しく・乾かして」越させることです。

    直射日光の当たらない、風通しのよい涼しい日陰に鉢を移し、できるだけ気温を上げないようにします。そして、前述のとおり水やりを止めて断水します。高温多湿をとても嫌う植物なので、夏に水を与えたり、蒸れる場所に置いたりすると、塊根状の幹がぶよぶよに腐って、一気に株を失うことがあります。

    雨に当てるのも禁物で、必ず雨のかからない場所で管理します。葉がなくても、株は休眠して生きているので、あせらず静かに休ませます。夏が終わり、秋風が吹いて涼しくなると、再び葉が動き出すので、そのタイミングで少しずつ水やりを再開し、徐々に日差しにも慣らしていきます。

    💡夏は涼しい日陰で断水。葉が落ちるのは休眠のサイン。夏の加水・蒸れ・雨が命取り。

  5. 5

    ふやし方・有毒の扱い

    約60日

    チレコドンをふやす主な方法は、種をまく「実生(みしょう)」と、枝を使った「挿し木」です。挿し木は、生育期に入る涼しい時期に、充実した枝を切り取り、切り口をしっかり乾かしてから、乾いた多肉用の土にさして発根を待ちます。生長は非常にゆっくりで、太い幹になるまでには長い年月がかかりますが、小さな苗からじっくり太らせていく過程は、塊根植物ならではの大きな楽しみです。

    ここで必ず守りたいのが、有毒植物としての扱いです。チレコドンは全草に強心配糖体という毒性の成分を含み、原産地では家畜の中毒でも知られています。挿し木や剪定で枝を切ると、断面から樹液が出るので、作業のあとは必ず手を洗い、樹液が目や口に入らないよう注意します。

    小さな子どもやペットが、葉や枝を口にしないよう、置き場所にも気を配りましょう。長く美しく育てるコツは、涼しい生育期にしっかり日に当て、夏は確実に涼しく乾かして休ませること。この一年のリズムをくり返すうちに、幹が少しずつ太り、味わいのある姿に育っていきます。

    💡ふやすなら実生か挿し木。全草に毒性があるので作業後は手を洗い、口にしないよう注意。

Checklist

育てる前のチェックリスト

  • チレコドンの株(鉢)

    幹の太さや樹皮のめくれ具合で価格が変わる。

    3,000〜20,000円
  • サボテン・多肉植物用の土(+軽石)

    水はけ最優先。軽石・日向土を混ぜると安心。

    500〜1,500円
  • 素焼き鉢(底穴あり) (任意)

    通気性がよく根腐れを防ぐ。

    400〜3,000円
  • サボテン・多肉植物用肥料 (任意)

    生育期にごく少量。

    400〜1,000円
初期費用の目安(必須のみ) 3,500〜21,500円
🧮 チレコドン・パニクラタスの費用をシミュレーターで詳しく計算する

Pests & Diseases

かかりやすい病害虫

害虫

アブラムシ

まれ

症状: 新芽が縮れる、葉がべたつく、すす病を誘発。

予防: 風通しを良くし、窒素過多を避ける。シルバーマルチで忌避。

対処: 見つけ次第捕殺、牛乳スプレーや薬剤で防除。

アブラムシの予防・対処をくわしく見る →
害虫

ハダニ

時々

症状: 葉に白いかすり状の斑点、ひどいと葉が枯れる。

予防: 葉裏への葉水で乾燥を防ぐ。

対処: 葉裏への葉水を継続し、専用の殺ダニ剤を使用する。

ハダニの予防・対処をくわしく見る →

Common mistakes

失敗あるある TOP3

⚠ 夏の高温多湿で塊根が腐る

幹がぶよぶよ・黒ずんで軟らかくなり、最悪は全体が腐ります。

原因: 夏の暑さと水のやりすぎ、蒸れ、雨に当てたこと。

対策: 夏は涼しい日陰で断水し、雨を避けます。水はけのよい土と素焼き鉢で風通しよく管理します。

⚠ 生育期の日照不足で徒長する

枝がひょろ長く伸び、ずんぐりした姿が崩れます。

原因: 涼しい生育期の日照不足。

対策: 生育期は最も日の当たる場所に移し、しっかり日に当てて締めて育てます。

⚠ 水やりの時期を間違える

夏に水を与えて腐らせたり、生育期に断水して株がしぼんだりします。

原因: 冬型のリズムを取り違えている。

対策: 「秋〜春の生育期はたっぷり、夏の休眠期は断水」という冬型のリズムを守ります。

FAQ

よくある質問

チレコドンは、暑い夏に休眠して、涼しい秋から春に育つ「冬型」の塊根植物です。気温が下がる秋に葉を広げて旺盛に育ち、暑くなる夏には葉を落として休眠します。一般的な植物とは生育のリズムが逆になるので、水やりや日当たりの管理も、この冬型のリズムに合わせて行います。

多くは休眠のサインで枯れではありません。冬型のチレコドンは、暑くなる初夏に葉をすべて落として休眠に入ります。これは暑い夏をやり過ごすための自然な反応です。夏は涼しい日陰で断水して休ませ、秋に涼しくなれば再び葉が動き出します。

夏は「涼しく・乾かして」が鉄則です。直射を避けた風通しのよい涼しい日陰に移し、水やりを止めて断水します。高温多湿をとても嫌うため、夏に水を与えたり蒸れる場所に置いたりすると、塊根状の幹が腐ってしまいます。雨にも当てないよう注意します。これが栽培で最も大切なポイントです。

はい、チレコドンは全草に強心配糖体という毒性の成分を含む有毒植物です。原産地では家畜の中毒でも知られています。葉や枝を口にしないよう注意し、剪定や挿し木で樹液にふれたら必ず手を洗います。小さな子どもやペットが口にしないよう、置き場所にも気を配ってください。

生育期(秋〜春)と休眠期(夏)で正反対にします。生育期は土が完全に乾いたら鉢底から流れ出るまでたっぷり与え、受け皿の水は捨てます。葉を落とす夏の休眠期は、水やりを止めて断水します。夏の過湿が、幹を腐らせる最大の原因になります。

生育期の始まる秋、涼しくなって葉が動き出すころが適期です。夏の休眠中や、生育期の終わる春先の植え替えは、株が弱るので避けます。水はけのよい土と素焼き鉢を使い、傷んだ根を取り除いて植え替えます。樹液に毒性があるので、作業後は手を洗います。

Guides

チレコドン・パニクラタスの育て方に役立つガイド

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葉が黄色くなる原因と対策|病気じゃない生理障害の見分け方

葉が黄色くなる原因の多くは病気ではなく「水のやりすぎによる根腐れ・水切れ・日照や温度・肥料の過不足・根詰まり・自然な老化」といった生理的なもの。どの葉が黄色いか(下葉か新芽か)と、土が乾いているか湿っているかを見れば原因を絞り込めます。

📘 育て方ガイド

水やりの基本|頻度・量・タイミングのコツをやさしく解説

水やりの基本は「土の表面が乾いたら、鉢底から流れ出るまでたっぷり」。決まった曜日ではなく“土の乾き”で判断するのがコツです。鉢植えは季節で頻度が大きく変わり、夏は早朝・冬は暖かい日の午前が基本。受け皿に溜まった水は捨てます。

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植物の夏越し|暑さ・水切れ・葉焼けから守る基本のコツ

夏越しの基本は「水切れ・葉焼け・蒸れを防ぐ」こと。水やりは涼しい早朝にたっぷり、置き場所は真夏の強い直射と西日・地面の照り返しを避けて風通しよく、肥料は控えめに。暑さに弱い植物は明るい半日陰へ移すのが安全です。

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植え替えのサインとやり方|時期・鉢の選び方・手順をやさしく解説

植え替えの基本は「1〜2年に1回・春〜初夏に・ひと回り大きな鉢へ」。鉢底から根が出てきたら植え替えのサインです。大きすぎる鉢は根腐れのもとなのでサイズアップは少しずつ、植え替え後は明るい日陰で休ませ肥料は2〜3週間後から。

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多肉植物の育て方の基本|水やり・置き場所・夏冬の管理のコツ

多肉植物の基本は「よく日に当てる・水は控えめ(乾いてからしっかり)・風通しよく」。枯らす最大の原因は水のやりすぎです。水はけのよい多肉用の土を使い、日本の高温多湿の夏は半日陰で休ませ、寒い冬は室内の明るい窓ぎわで水を控えるのが安全です。

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