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植物図鑑
🫚
まんまるに太った塊根から枝を伸ばすパキポディウム・グラキリス

出典: Wikipedia (ja:パキポディウム) / Wikimedia Commons / 作者: lienyuan lee / ライセンス: CC BY 3.0

🫚 塊根植物

パキポディウム・グラキリス

Pachypodium rosulatum var. gracilius Pachypodium gracilius

育てやすさ ふつう 育てやすさ 3(5段階中、多いほど育てやすい):ふつう 💰 鉢植えは3000〜30000円

パキポディウム・グラキリスは、まんまるに太った塊根(コーデックス)の頂部から、トゲのある短い枝を伸ばす、独特のフォルムで絶大な人気を誇る塊根...

かんたんに言うと

パキポディウム・グラキリスは、まんまる塊根が魅力のコーデックスの代表種。夏型で、生育期はよく日に当ててたっぷり水やり、冬は落葉・休眠して断水気味に暖かい室内へ。過湿と寒さによる根腐れに注意。樹液に有毒成分あり。

Profile

基本情報

パキポディウム・グラキリスは、まんまるに太った塊根(コーデックス)の頂部から、トゲのある短い枝を伸ばす、独特のフォルムで絶大な人気を誇る塊根植物です。ぷっくりと丸い株元は、まるで野球ボールやジャガイモのようで、塊根植物(コーデックス)ブームの象徴的な存在として、多くの愛好家に愛されています。

原産はマダガスカルの乾燥した岩場で、過酷な環境を生き抜くため、株元に水分をたっぷりたくわえて、まんまるに太らせる性質をもちます。生長は非常にゆっくりで、あの丸い株は、長い年月をかけて育ったもの。だからこそ、よく太った株は珍重され、コレクションの対象になります。

生育するのは暖かい春から秋(夏型)で、初夏には、伸ばした枝先に黄色い花を咲かせることもあります。気温が下がる冬は、葉を落として休眠するので、水やりをぐっと減らし、暖かい室内に取り込みます。日光が大好きで、よく日に当てると、株が締まって美しいフォルムを保ちます。

寒さと過湿、とくに休眠期の蒸れに弱く、根腐れさせないことが最大のポイント。少し気難しい面もありますが、その分、丸い株を自分の手で育て、太らせていく喜びは格別です。なお、キョウチクソウ科の植物で、樹液に有毒成分を含むので扱いに注意します。

分類
塊根植物 / 夏型(春〜秋生育)
原産地
マダガスカル
別名
グラキリス、パキポディウム グラキリス、象牙宮、Pachypodium rosulatum gracilius
価格目安
鉢植えは3000〜30000円

💡豆知識

パキポディウム・グラキリスは、近年の塊根植物(コーデックス)ブームを象徴する、もっとも人気のある種類のひとつです。まんまるに太った株元のフォルムから、その姿を「球体」「だるま」などにたとえて愛でる愛好家も多く、専門店やイベントでは、形のよい株が高値で取引されることもあります。

原産地マダガスカルでは、岩のすき間や砂れきの斜面に張りつくように自生し、雨季にためた水で、長い乾季を生き抜きます。日本に流通する株には、現地で育った大株を輸入し、日本で根を張り直させた「現地球(げんちきゅう)」と、種から国内で育てた「実生(みしょう)」株があり、それぞれに魅力があります。

学名の「パキポディウム(Pachypodium)」は、ギリシャ語で「太い・足」を意味し、まさに、ずんぐりと太った株の姿を表しています。生長がとてもゆっくりなため、あの丸い株は一朝一夕にはできず、時間をかけて育てる過程そのものが、この植物の醍醐味です。

Calendar

育成カレンダー

全国の月別育成カレンダー
作業 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
植え替え
5月は植え替え
開花
6月は開花
追肥
6月は追肥
病害虫注意
12月は病害虫注意
関東の月別育成カレンダー
作業 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
植え替え
5月は植え替え
開花
6月は開花
追肥
6月は追肥
病害虫注意
12月は病害虫注意
近畿の月別育成カレンダー
作業 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
植え替え
5月は植え替え
開花
6月は開花
追肥
6月は追肥
病害虫注意
12月は病害虫注意

数字は月を表します。色帯のある月がその作業の適期です。上のタブで地域を切り替えられます。

At a glance

ひと目でわかる特徴

育てやすさ ふつう
収穫・開花の早さ
手軽さ(コスト) 高め

Specs

形態と環境条件

形態

草丈
10〜40cm
株張り
10〜30cm
花のサイズ
黄色い花が枝先に咲く(初夏)

環境条件

日照
日なた
耐寒温度
8℃
耐暑温度
42℃
土壌pH
6.0〜7.0
水やり
生育期は土が乾いたらたっぷり。冬の休眠期は断水気味。
肥料
サボテン・多肉植物用肥料

How to grow

育て方ステップ

  1. 1

    置き場所を決める(日光が大好き)

    約7日

    パキポディウム・グラキリスは、強い日光を大好きな塊根植物です。生育期の春から秋は、できるだけよく日の当たる場所に置きましょう。屋外なら、雨の当たりにくい南向きのベランダや軒下が理想的で、しっかり日に当てることで、株が間延びせずに締まり、丸いフォルムを美しく保てます。

    室内で育てる場合も、一日を通して光がよく入る、明るい南向きの窓辺に置きます。日照が不足すると、頂部の枝がひょろひょろと間延びして、せっかくの丸い姿が崩れてしまいます。風通しのよさも、蒸れを防いで根腐れを避けるうえでとても大切です。生育に適した温度は20〜35度ほどで、暑さには強い一方、寒さには弱く、気温が15度を下回るころから生育が鈍り、10度を下回ると葉を落として休眠します。室内育ちの株を急に真夏の直射に当てると葉焼けすることがあるので、屋外に出すときは数日かけて少しずつ慣らします。

    💡よく日に当てて風通しよく。日照不足は枝が間延びして姿が崩れる。暑さに強く寒さに弱い。

  2. 2

    水やり(生育期と休眠期で大きく変える)

    約30日

    グラキリスの水やりは、生育期と休眠期でメリハリをつけるのが最大のポイントです。葉を広げてよく生長する春から秋の生育期は、土が完全に乾いたら、鉢底から流れ出るまでたっぷりと与えます。塊根植物のなかでは、生育期は意外としっかり水を吸うので、乾いたらたっぷり、を繰り返して株を充実させます。

    ただし常に湿った状態は禁物で、受け皿の水は必ず捨て、次の水やりまでにしっかり乾かします。風通しが悪く乾きが遅いと、根腐れの原因になります。一方、葉を落として休眠に入る冬は、水やりをぐっと減らして断水気味にします。休眠中に土が湿っていると、低温と過湿が重なって、大切な塊根が腐ってしまうので、冬はほとんど水を与えません。

    これがグラキリス栽培で最も注意すべき点です。春に暖かくなって新しい葉が動き始めたら、少しずつ水やりを再開します。「生育期はしっかり乾かしてたっぷり、休眠期はほぼ断水」が基本です。

    💡生育期は完全に乾いたらたっぷり、冬の休眠期はほぼ断水。休眠中の過湿が根腐れの最大原因。

  3. 3

    土と植え替え(根腐れ対策)

    約14日

    グラキリスは過湿に弱いので、水はけと通気性のよい土が絶対条件です。市販の「サボテン・多肉植物用の土」をベースに、軽石や日向土などを多めに混ぜて、より水はけよく仕立てるのもおすすめです。鉢は、底に穴のあいた、通気性のよい鉢(素焼き鉢など)が向きます。

    生長はゆっくりですが、2〜3年に一度を目安に、生育期の始まる初夏(5〜6月、十分暖かくなってから)に植え替えます。鉢から株を抜き、古い土を落として、傷んだ根や黒ずんだ根をていねいに取り除きます。グラキリスは根が傷むと回復に時間がかかるので、根の状態をよく確認するのが大切。

    とくに「現地球」は、輸入後に根を張らせる「発根管理」がうまくいっているかが重要です。樹液に有毒成分があるので、根を切ったら手を洗い、切り口を乾かしてから、新しい土に植えます。植え替え直後は、根が落ち着くまで1週間ほど水やりを控えてから、通常の管理に戻します。

    💡水はけ最優先の土と素焼き鉢で。暖かい初夏に植え替え、傷んだ根は除く。根を傷めない。

  4. 4

    冬越し(落葉して休眠)

    約120日

    グラキリス栽培でいちばんの山場が冬越しです。マダガサル原産で寒さに弱く、気温が10度を下回るころには、葉を落として休眠に入ります。落葉は枯れではなく、寒さをやり過ごすための自然な反応です。冬は、最低気温が10度以上を保てる、暖かく明るい室内の窓辺に取り込みます。

    できれば10〜15度以上をキープし、夜間に冷え込む窓ぎわは避けます。前述のとおり、休眠中は水やりをほぼ止めて断水気味にし、低温と過湿が重ならないようにするのが、塊根を腐らせない絶対条件。乾かして暖かく越させれば、葉がなくても株はしっかり生きています。

    冬に油断して水を与えたり、寒い場所に置いたりすると、ぶよぶよに腐って一気に株を失うことがあるので、「暖かく・乾かして」を徹底します。春になり、気温が安定して暖かくなると、再び芽が動き出すので、そのタイミングで少しずつ水やりを再開し、徐々に日差しにも慣らしていきます。

    💡冬は10度以上の暖かい室内でほぼ断水。落葉は休眠のサイン。油断した加水・低温が命取り。

  5. 5

    ふやし方・長く育てる

    約60日

    グラキリスをふやす主な方法は、種をまく「実生(みしょう)」です。生長は非常にゆっくりで、種から丸い株になるまでには長い年月がかかりますが、自分の手で小さな苗から太らせていく過程は、塊根植物ならではの大きな楽しみです。実生株は、現地球に比べて環境になじみやすく、はじめから日本の気候で育っているため、管理しやすいという利点もあります。

    挿し木でふやすのは難しいため、ふやすなら実生が基本です。長く美しく育てるコツは、生育期にしっかり日に当てて、メリハリのある水やりで株を充実させ、冬は確実に暖かく乾かして休ませること。この一年のリズムを毎年くり返すうちに、株元が少しずつ太り、風格が出てきます。

    あせって早く太らせようと水や肥料を与えすぎると、かえって間延びしたり、根腐れを招いたりするので、ゆっくり育てる気持ちが大切です。時間をかけて、自分だけの丸い株に育てていきましょう。

    💡ふやすなら実生。生長は遅いので、メリハリ管理でゆっくり太らせるのが醍醐味。

Checklist

育てる前のチェックリスト

  • グラキリスの株(鉢)

    実生株・現地球など。塊根の大きさで価格が大きく変わる。

    3,000〜30,000円
  • サボテン・多肉植物用の土(+軽石)

    水はけ最優先。軽石・日向土を混ぜると安心。

    500〜1,500円
  • 素焼き鉢(底穴あり) (任意)

    通気性がよく根腐れを防ぐ。

    400〜3,000円
  • サボテン・多肉植物用肥料 (任意)

    生育期にごく少量。

    400〜1,000円
初期費用の目安(必須のみ) 3,500〜31,500円
🧮 パキポディウム・グラキリスの費用をシミュレーターで詳しく計算する

Pests & Diseases

かかりやすい病害虫

害虫

アブラムシ

まれ

症状: 新芽が縮れる、葉がべたつく、すす病を誘発。

予防: 風通しを良くし、窒素過多を避ける。シルバーマルチで忌避。

対処: 見つけ次第捕殺、牛乳スプレーや薬剤で防除。

アブラムシの予防・対処をくわしく見る →
害虫

ハダニ

時々

症状: 葉に白いかすり状の斑点、ひどいと葉が枯れる。

予防: 葉裏への葉水で乾燥を防ぐ。

対処: 葉裏への葉水を継続し、専用の殺ダニ剤を使用する。

ハダニの予防・対処をくわしく見る →

Common mistakes

失敗あるある TOP3

⚠ 休眠期の低温・過湿で塊根が腐る

株元がぶよぶよ・黒ずんで軟らかくなり、最悪は全体が腐ります。

原因: 冬の寒さと水のやりすぎ、風通しの悪さ。

対策: 冬は10度以上の室内でほぼ断水。水はけのよい土と素焼き鉢で風通しよく管理します。

⚠ 枝が間延びして姿が崩れる

頂部の枝がひょろ長く伸び、丸いフォルムが崩れます。

原因: 日照不足。

対策: 生育期は最も日の当たる場所に移し、しっかり日に当てます。

⚠ 発根不良(現地球)

輸入株が水を吸わず、しわが寄って動かない。

原因: 発根管理の失敗、根が傷んでいる。

対策: 暖かく明るい場所で適切に発根管理し、無理な加水を避けます。心配なら発根済みの株を選びます。

FAQ

よくある質問

乾燥に強く水やりは少なくてよいですが、過湿と寒さに弱く、冬の休眠管理にコツが要るため、塊根植物のなかではやや中級者向けです。生育期はよく日に当ててしっかり乾かしてからたっぷり水やり、冬は10度以上で断水気味、というメリハリを守れれば、初めてでも育てられます。

多くは休眠のサインで枯れではありません。グラキリスは寒さに弱く、10度を下回ると葉を落として休眠します。冬は10度以上を保てる暖かく明るい室内に取り込み、水やりをほぼ止めて断水気味にします。春に暖かくなれば再び芽が動き出します。

水はけのよい土と素焼き鉢を使い、生育期は完全に乾いてからたっぷり、冬の休眠期はほぼ断水にすることです。とくに休眠中の低温+過湿が、塊根を腐らせる最大の原因。風通しよく管理し、受け皿の水は必ず捨てます。一度ぶよぶよに腐ると回復は難しいので予防が肝心です。

現地球はマダガスカルで育った大株を輸入したもので、いきなり太く立派ですが、輸入後に根を張らせる発根管理が必要です。実生は種から国内で育てた株で、環境になじみやすく管理しやすい反面、大きくなるまで時間がかかります。初めてなら、根が安定した実生株や発根済みの株が安心です。

生育期(春〜秋)と休眠期(冬)で大きく変えます。生育期は土が完全に乾いたら鉢底から流れ出るまでたっぷり与え、受け皿の水は捨てます。葉を落とす冬の休眠期は、水やりをほぼ止めて断水気味に。休眠中の過湿が根腐れの最大原因です。

はい、グラキリスは非常に生長がゆっくりな植物です。あの丸い株は長い年月をかけて育ったもの。あせって水や肥料を与えすぎると、間延びや根腐れを招きます。メリハリのある管理で、毎年少しずつ太らせていく過程そのものを楽しむ植物です。

Guides

パキポディウム・グラキリスの育て方に役立つガイド

🔧 お悩み解決

葉が黄色くなる原因と対策|病気じゃない生理障害の見分け方

葉が黄色くなる原因の多くは病気ではなく「水のやりすぎによる根腐れ・水切れ・日照や温度・肥料の過不足・根詰まり・自然な老化」といった生理的なもの。どの葉が黄色いか(下葉か新芽か)と、土が乾いているか湿っているかを見れば原因を絞り込めます。

📘 育て方ガイド

水やりの基本|頻度・量・タイミングのコツをやさしく解説

水やりの基本は「土の表面が乾いたら、鉢底から流れ出るまでたっぷり」。決まった曜日ではなく“土の乾き”で判断するのがコツです。鉢植えは季節で頻度が大きく変わり、夏は早朝・冬は暖かい日の午前が基本。受け皿に溜まった水は捨てます。

🍃 季節の手入れ

植物の夏越し|暑さ・水切れ・葉焼けから守る基本のコツ

夏越しの基本は「水切れ・葉焼け・蒸れを防ぐ」こと。水やりは涼しい早朝にたっぷり、置き場所は真夏の強い直射と西日・地面の照り返しを避けて風通しよく、肥料は控えめに。暑さに弱い植物は明るい半日陰へ移すのが安全です。

📘 育て方ガイド

植え替えのサインとやり方|時期・鉢の選び方・手順をやさしく解説

植え替えの基本は「1〜2年に1回・春〜初夏に・ひと回り大きな鉢へ」。鉢底から根が出てきたら植え替えのサインです。大きすぎる鉢は根腐れのもとなのでサイズアップは少しずつ、植え替え後は明るい日陰で休ませ肥料は2〜3週間後から。

📘 育て方ガイド

多肉植物の育て方の基本|水やり・置き場所・夏冬の管理のコツ

多肉植物の基本は「よく日に当てる・水は控えめ(乾いてからしっかり)・風通しよく」。枯らす最大の原因は水のやりすぎです。水はけのよい多肉用の土を使い、日本の高温多湿の夏は半日陰で休ませ、寒い冬は室内の明るい窓ぎわで水を控えるのが安全です。

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