カキ
Diospyros kaki Japanese Persimmon
カキは、日本の秋を代表する果樹で、「桃栗三年柿八年」のことわざで知られるように、庭木として古くから親しまれてきた落葉樹です。オレンジ色に色づ...
かんたんに言うと
カキは丈夫で育てやすい秋の落葉果樹で、暖地は甘柿・寒冷地は渋柿(干し柿向き)を選び、夏の摘果で隔年結果を防ぐのがコツです。
Profile
基本情報
カキは、日本の秋を代表する果樹で、「桃栗三年柿八年」のことわざで知られるように、庭木として古くから親しまれてきた落葉樹です。オレンジ色に色づいた実が秋空に映える姿は、日本の原風景そのもの。丈夫で土質を選ばず、一度根づけば手をかけなくても毎年実をつけてくれるため、家庭果樹の定番として根強い人気があります。
カキは大きく、熟すと渋が抜けてそのまま甘く食べられる「甘柿(富有・次郎など)」と、渋が残るため干し柿や渋抜きにして食べる「渋柿(平核無・蜂屋など)」に分かれます。甘柿は比較的暖かい地域でないと渋が抜けきらないため、寒冷地では渋柿を選び、干し柿にするのが向いています。
栽培のポイントは、第一に、植え付けから本格的な収穫まで数年かかるため、早く実を採りたいなら2〜3年生の接ぎ木苗を選ぶこと。第二に、一年おきに実つきが多い年と少ない年を繰り返す「隔年結果」を防ぐため、夏に摘果して実の数を調整すること。第三に、品種によっては受粉樹があると実つきと甘みが安定すること。
冬の落葉期に枝を整理する剪定を行えば、日当たりと風通しが保たれ、毎年安定して甘い実が楽しめる、育てがいのある果樹です。鉢植えなら省スペースでも楽しめ、初夏の芽吹き、秋の実り、晩秋の紅葉と落葉まで、四季の移ろいを身近に感じさせてくれるのも、庭木としての大きな魅力です。
💡豆知識
カキの学名「Diospyros(ディオスピロス)」は、ギリシャ語で「神(ディオス)の食べ物(ピュロス=穀物)」を意味し、その甘さが古くから称えられてきたことを物語ります。種小名の「kaki」は日本語の「カキ」がそのまま使われており、英語でも「kaki」や「Japanese persimmon」と呼ばれ、日本を代表する果樹として世界に知られています。
甘柿は、世界の柿のなかでも日本でとくに発達した珍しいタイプで、鎌倉時代以降に偶然生まれたとされます。実が硬いうちは渋く、熟すと甘くなるのは、渋みのもとであるタンニンが水に溶けにくい形に変化するためです。ビタミンCが豊富で、「柿が赤くなると医者が青くなる」ということわざもあるほど、栄養価の高い果実として親しまれてきました。
Calendar
育成カレンダー
| 作業 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 植え付け | 11月は植え付け | 12月は植え付け | ||||||||||
| 開花 | 5月は開花 | |||||||||||
| 収穫 | 10月は収穫 | 11月は収穫 | ||||||||||
| 剪定 | 2月は剪定 | 7月は剪定 | ||||||||||
| 追肥 | 1月は追肥 |
| 作業 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 植え付け | 12月は植え付け | |||||||||||
| 開花 | 5月は開花 | |||||||||||
| 収穫 | 10月は収穫 | 11月は収穫 | ||||||||||
| 剪定 | 2月は剪定 | 7月は剪定 | ||||||||||
| 追肥 | 1月は追肥 |
| 作業 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 植え付け | 12月は植え付け | |||||||||||
| 開花 | 5月は開花 | |||||||||||
| 収穫 | 10月は収穫 | 11月は収穫 | ||||||||||
| 剪定 | 2月は剪定 | 7月は剪定 | ||||||||||
| 追肥 | 1月は追肥 |
数字は月を表します。色帯のある月がその作業の適期です。上のタブで地域を切り替えられます。
At a glance
ひと目でわかる特徴
Specs
形態と環境条件
形態
- 草丈
- 200〜500cm
- 株張り
- 150〜400cm
- 花のサイズ
- 黄白色の小花(直径約1.5cm)
- 実のサイズ
- 直径5〜8cm
環境条件
- 日照
- 日なた
- 耐寒温度
- -15℃
- 耐暑温度
- 38℃
- 土壌pH
- 5.5〜7.0
- 水やり
- 地植えは根づけば降雨任せ。鉢植えは表面が乾いたらたっぷり。
- 肥料
- 有機質肥料・果樹用化成肥料
How to grow
育て方ステップ
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1
苗の選び方と植え付け
約7日カキは種からでは実るまで非常に長くかかり、性質も親と変わってしまうため、接ぎ木苗を購入して育てるのが基本です。落葉している休眠期の11〜3月(寒冷地は芽出し前の3月)が植え付け適期。甘柿は暖かい地域、渋柿は寒冷地にも向くので、住む地域に合わせて選びます。
日当たりと水はけの良い場所に、根鉢の倍ほどの植え穴を掘り、堆肥を混ぜて植え付けます。植えたら支柱を立てて固定し、たっぷり水を与えます。鉢植えなら10号以上の大きな鉢に果樹用の土で植えます。「桃栗三年柿八年」といわれるほど結実まで年数がかかるので、早く採りたい場合は2〜3年生の大きめの苗を選ぶと収穫が早まります。
💡接ぎ木苗を休眠期に植え付け。早く採りたいなら2〜3年生の苗を選びます。
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2
受粉樹の確認と春の管理
約60日カキは品種によって、1本でも実がなる「単為結果性」の強い品種(富有・次郎・平核無など)と、受粉樹(別品種の花粉)があると実つきや甘みが安定する品種があります。1本で実つきが悪いと感じる場合は、近くに受粉樹となる別品種(禅寺丸など花粉の多い品種)を植えると改善します。
春になると新しい枝が伸び、その先に近い部分の葉のつけ根に5〜6月ごろ黄白色の花が咲きます。花のころは肥料の効かせすぎに注意し、窒素が多いと枝葉ばかり茂って実つきが悪くなります。若木のうちは実をつけすぎると木が弱るので、数を抑えめにして木の充実を優先させます。
💡実つきが悪ければ受粉樹を近くに。窒素過多は枝葉ばかりになるので控えめに。
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3
摘果(隔年結果を防ぐ)
約14日カキ栽培で最も大切な作業が「摘果」です。カキは、実が多くなりすぎた年の翌年は実つきが極端に減る「隔年結果」を起こしやすい果樹です。これを防ぎ、毎年安定して大きく甘い実を採るために、7月ごろ、余分な実を間引きます。目安は、葉20〜25枚あたりに実1個。
1か所に複数ついていたら形の良い1個を残し、小さいものや傷のあるもの、上向きの実(日焼けしやすい)を落とします。摘果をすると残った実に養分が集中し、玉太りと甘みが格段に良くなります。あわせて、生理的に実が自然に落ちる「生理落果」も6〜8月に起こりますが、これは木の自己調整なので心配いりません。
💡7月に葉20〜25枚に実1個を目安に摘果。隔年結果を防ぎ実が甘く大きくなります。
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4
収穫と渋抜き
約14日収穫は品種により10〜11月。実全体が品種本来の濃いオレンジ色に色づいたら、ヘタを残してハサミで切り取ります。甘柿は木で完熟させればそのまま甘く食べられます。渋柿は採ってすぐは渋くて食べられないため「渋抜き(脱渋)」が必要です。家庭では、ヘタに焼酎やアルコール度数の高い酒を浸して袋で密閉する方法や、リンゴと一緒にポリ袋に入れてエチレンガスで抜く方法が手軽です。
1〜2週間ほどで渋が抜け、とろりと甘くなります。たくさん採れたら、皮をむいて吊るす「干し柿」にすると、自然な甘さの保存食になります。完熟しすぎる前の、少し硬さが残るうちに収穫するのが日持ちのコツです。
💡甘柿は木で完熟。渋柿は焼酎やリンゴと密閉して渋抜きするか干し柿にします。
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5
冬の剪定とお礼肥
約7日落葉した12〜2月の休眠期に剪定を行います。カキは、その年に伸びた枝の先のほうに花芽をつけるので、強く切り戻しすぎると花芽ごと落として実がならなくなります。込み合った枝、内側へ伸びる枝、真上に勢いよく伸びる徒長枝を中心に間引き、全体に日光と風が通るようにします。
背が高くなりすぎると収穫や管理が大変なので、若木のうちに主枝を低く横へ広げる「開心自然形」に仕立てると、手の届く高さで管理できます。剪定後は寒肥として有機質肥料を、収穫後の11月にはお礼肥を施します。毎年この冬作業を続けることで、樹形が整い、隔年結果も起きにくくなって安定した収穫につながります。
💡花芽は枝先につくので切りすぎ注意。徒長枝を間引き、低い開心形に仕立てます。
Checklist
育てる前のチェックリスト
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✓1,500〜4,000円
カキの接ぎ木苗(2〜3年生)
甘柿・渋柿から地域に合う品種を選ぶ。
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✓500〜1,200円
有機質肥料・果樹用肥料
寒肥とお礼肥に。
-
○800〜2,500円
支柱・剪定ばさみ (任意)
植え付け時の固定と冬の剪定用。
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○1,000〜3,000円
大型鉢(10号以上) (任意)
鉢植えで育てる場合。
Pests & Diseases
かかりやすい病害虫
アブラムシ
時々症状: 新芽が縮れる、葉がべたつく、すす病を誘発。
予防: 風通しを良くし、窒素過多を避ける。シルバーマルチで忌避。
対処: 見つけ次第捕殺、牛乳スプレーや薬剤で防除。
ハダニ
時々症状: 葉に白いかすり状の斑点、ひどいと葉が枯れる。
予防: 葉裏への葉水で乾燥を防ぐ。
対処: 葉裏への葉水を継続し、専用の殺ダニ剤を使用する。
うどんこ病
時々症状: 葉表が白い粉をまぶしたようになる。
予防: 風通しと日当たりを確保、過湿を避ける。
対処: 罹病部を除去し、重曹スプレーや殺菌剤を散布する。
Harvest
収穫の情報
Common mistakes
失敗あるある TOP3
⚠ 隔年結果で実がならない年がある
豊作の翌年に実がほとんどつきません。
原因: 実のなりすぎで木が消耗し、花芽が形成されない。
対策: 7月に摘果して実の数を抑え、毎年の負担を平準化します。
⚠ 剪定で花芽を落として実がならない
剪定した翌年に実がつきません。
原因: 枝先につく花芽を、枝の切り詰めすぎで落とした。
対策: 花芽は枝先につくので強く切り戻さず、込み合った枝を間引く程度にします。
⚠ ヘタ虫による落果・食害
実に穴があき、未熟なうちに落ちます。
原因: カキノヘタムシガの幼虫がヘタから果実に食入する。
対策: 落果や被害果を見つけ次第処分し、発生期に登録薬剤で防除します。
FAQ
よくある質問
どちらも丈夫ですが、甘柿は暖かい地域でないと渋が抜けきりません。寒冷地では渋柿を選び、渋抜きや干し柿にするのがおすすめです。富有・次郎(甘柿)、平核無(渋柿)などが人気です。
「桃栗三年柿八年」といわれ、種からだと8年前後かかります。接ぎ木苗なら3〜5年ほどで実り始めます。早く収穫したい場合は、2〜3年生の大きめの接ぎ木苗を選びましょう。
実が多すぎた翌年に実つきが減る「隔年結果」です。7月ごろに摘果して、葉20〜25枚に実1個ほどに数を減らすと、毎年安定して実るようになります。
富有・次郎・平核無など多くの品種は1本でも実がなります。実つきが悪い品種や、より安定させたい場合は、近くに受粉樹となる別品種(禅寺丸など)を植えると改善します。
ヘタに焼酎を浸して袋で密閉する方法や、リンゴと一緒にポリ袋に入れる方法が手軽です。1〜2週間で渋が抜けて甘くなります。皮をむいて吊るす干し柿にするのもおすすめです。
6〜8月の「生理落果」は木が実の数を自己調整する自然な現象で心配いりません。ただし水切れや極端な肥料切れ・過多でも落ちるので、夏の乾燥対策と適切な施肥を心がけます。
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