マイタケ
Grifola frondosa Maitake (Hen of the woods)
マイタケは、灰褐色の小さなかさが、ひらひらと幾重にも重なり合って、ひとつの大きな株(こぶ)になる、独特の姿をした食用きのこです。波打つように...
かんたんに言うと
マイタケは小さなかさが重なって大きな株になる香り高い食用きのこ。菌床栽培キットで家庭でも育てられますが、温度・湿度管理にやや繊細さが要る上級者向け。15〜20度前後の秋が適期で、ほんのり明るい日陰・直射なしで、乾かさず育てます。
Profile
基本情報
マイタケは、灰褐色の小さなかさが、ひらひらと幾重にも重なり合って、ひとつの大きな株(こぶ)になる、独特の姿をした食用きのこです。波打つように広がる花びら状のかさが折り重なる姿は美しく、ほかのきのことは一線を画す存在感があります。豊かな香りと、しっかりした歯ごたえ、深いうまみが特徴で、天ぷらや鍋物、炊き込みご飯、汁物などで人気。
加熱すると独特の香りが立ち、料理を格上げしてくれます。マイタケは、もともと天然ものが貴重で、見つけた人が舞い上がるほど喜んだことから「舞茸(まいたけ)」と呼ばれるようになった、という説があるほど、珍重されてきたきのこです。現在は菌床栽培の技術が確立し、家庭でも栽培キットを使って育てられるようになりました。
ただし、シイタケやヒラタケに比べると、温度や湿度の管理にやや繊細さが求められ、きのこ栽培のなかではすこし上級者向け。発生に適した温度は、おおむね15〜20度前後で、秋が育てやすい季節です。光合成をする植物ではなく、木材を分解して育つ菌類なので、直射日光は不要。
ただし、マイタケは発生時にほどよい光(明るさ)を必要とするため、ほんのり明るい日陰が向きます。乾燥は大敵なので湿り気を保ち、適度な風通しを心がけます。自分で育てた、香り高い大きなマイタケの株を収穫できたときの喜びは、格別です。
💡豆知識
マイタケの名前の由来には、いくつかの説があります。よく知られるのは、天然のマイタケが非常に貴重で、山で見つけた人が、うれしさのあまり舞い踊ったことから「舞茸」と呼ばれた、という説。もうひとつは、ひらひらと重なり合うかさの姿が、まるで舞を舞う人の袖のように見えることから名づけられた、という説です。
いずれにせよ、その美しい姿と希少さが、名前にこめられています。かつては、天然ものは「幻のきのこ」とも呼ばれ、採れる場所は秘密にされたほど。それが、菌床栽培の技術が確立されたことで、いまでは一年を通じてスーパーに並ぶ、身近なきのこになりました。
マイタケには、加熱すると料理に香りとコクを加える働きのほか、肉をやわらかくする酵素が含まれることでも知られ、下ごしらえに使われることもあります。一方で、この酵素は、茶わん蒸しの卵が固まるのを妨げることがあるため、生のマイタケを入れると失敗することがある、という料理の豆知識も。栽培でも料理でも、個性の光るきのこです。
Calendar
育成カレンダー
| 作業 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 植え付け | 9月は植え付け | |||||||||||
| 収穫 | 10月は収穫 | 11月は収穫 | ||||||||||
| 病害虫注意 | 7月は病害虫注意 |
| 作業 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 植え付け | 9月は植え付け | |||||||||||
| 収穫 | 10月は収穫 | 11月は収穫 | ||||||||||
| 病害虫注意 | 7月は病害虫注意 |
| 作業 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 植え付け | 9月は植え付け | |||||||||||
| 収穫 | 10月は収穫 | 11月は収穫 | ||||||||||
| 病害虫注意 | 8月は病害虫注意 |
数字は月を表します。色帯のある月がその作業の適期です。上のタブで地域を切り替えられます。
At a glance
ひと目でわかる特徴
Specs
形態と環境条件
形態
- 草丈
- 5〜25cm
- 株張り
- 10〜40cm
- 実のサイズ
- 小さなかさが重なり大きな株(直径10〜40cm)になる
環境条件
- 日照
- 日陰
- 耐寒温度
- 3℃
- 耐暑温度
- 28℃
- 土壌pH
- 5.0〜6.5
- 水やり
- 菌床が乾かないよう、霧吹きで湿り気を保つ。高めの湿度と風通しを両立。
- 肥料
- 不要(菌床の養分で育つ)
How to grow
育て方ステップ
-
1
菌床栽培キットを用意する(秋向き)
約1日マイタケは、家庭では菌床栽培キットを使うのが現実的です。天然のマイタケや原木栽培は難しいため、市販の、すでに菌が回った菌床ブロックのキットを使えば、家庭でも香り高いマイタケを育てられます。マイタケは、シイタケやヒラタケに比べると、温度や湿度の管理にやや繊細さが求められるので、きのこ栽培にすこし慣れてから挑戦すると安心です。
発生に適した温度は、おおむね15〜20度前後で、秋が育てやすい季節。気温が安定して涼しくなったころに育て始めると、失敗が少なくなります。準備するものは、菌床キットのほか、霧吹き(保湿用)と、置き場所の工夫くらいです。置き場所は、直射日光は避けつつ、ほんのり明るい日陰を選びます。
マイタケは、ほかのきのこと違い、発生のときにほどよい明るさを必要とするので、真っ暗な場所より、やわらかい光の入る場所が向きます。キットの説明書をよく読み、開け方や水やり、置き場所の条件を確認してから始めましょう。
💡マイタケは菌床キットが基本。15〜20度の秋が適期。直射は避けつつ、ほんのり明るい日陰へ。
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2
菌床を開けて発生の準備をする
約10日キットの説明書に従って、菌床ブロックを包む袋やフィルムを、指定の面で開けます。マイタケのキットでは、菌床の上面を開いて、そこから株を発生させることが多いです。菌床の表面が乾いている場合は、霧吹きで軽く湿らせて、発生の準備を整えます。強く水を流したり、表面に水をためたりすると、雑菌や腐敗の原因になるので、軽く湿らせる程度にします。
開封後は、菌床を、直射日光の当たらない、ほんのり明るい日陰の、涼しい場所に置きます。前述のとおり、マイタケは発生にほどよい光を必要とするので、やわらかい光が入る場所が理想です。発生に適した15〜20度前後を保ち、乾燥を防ぐため、付属の保湿袋やカバーがあればかぶせます。
ただし、マイタケは蒸れにも弱いので、密閉しきらず、適度な風通しを確保するのがポイント。高めの湿度と、ほどよい空気の流れの両立が、マイタケ栽培の腕の見せどころです。条件が整うと、菌床の表面に、灰色っぽい小さなこぶ(原基)が現れ始めます。
💡指定面を開けて軽く霧吹き。15〜20度のほんのり明るい日陰へ。高湿度と風通しを両立させる。
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3
株を育てる(重なるかさを大きく)
約14日菌床の表面に、灰色っぽい小さなこぶが現れたら、発生の始まりです。マイタケは、このこぶが、しだいに分かれて、小さなかさが幾重にも重なり合いながら、ひとつの大きな株へと育っていきます。最初は地味な色のかたまりですが、日を追うごとに、ひらひらとしたかさが波打って広がり、マイタケらしい姿になります。
この時期に大切なのは、やはり乾かさないこと。霧吹きで、菌床と周囲の湿り気をこまめに保ち、高めの湿度を維持します。ただし、育ちかけの株のひだの奥に水がたまって蒸れると、傷んだり雑菌が出たりするので、株そのものに強く水をかけるより、周囲の空間を湿らせるイメージで、やさしく管理します。
蒸れを防ぐため、適度な風通しも欠かせません。また、マイタケは光のほうへ向かって育つ性質があるので、ときどき向きを変えると、バランスよく株が広がります。15〜20度前後の安定した温度を保つことも、きれいな株に育てるコツ。じっくりと、大きな株に育っていく様子を観察しましょう。
💡小さなこぶが分かれて重なる株に育つ。乾かさず、ひだの蒸れを避けて風を通す。光のほうへ育つ。
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4
収穫する
約14日マイタケは、株全体が十分に大きく育ち、重なり合うかさが、しっかりと波打って広がったころが収穫の適期です。かさのふちが、薄く平らに開ききって、色が薄くなり始める少し手前が、香りも食感もよい食べごろ。育てすぎると、かさが反り返って硬くなったり、胞子を飛ばして白い粉が出たりするので、開ききる前に収穫します。
収穫は、株の根元を、菌床の少し上のところで、清潔なはさみやナイフで切り取るか、株全体を、菌床を傷めないように、根元から丸ごと取り外します。マイタケは、ひとつの大きな株としてまとめて発生するので、基本的には株ごと一度に収穫します。根元の、菌床が付いた硬い部分は、調理の際に切り落とします。
収穫したマイタケは、香りを生かして、天ぷらや鍋物、炊き込みご飯、汁物などに。加熱すると独特の豊かな香りが立ち、料理がぐっとおいしくなります。自分で育てた、大きく香り高いマイタケの株を手にする達成感は、格別です。
💡かさが開ききる手前が収穫適期。株ごと根元から切り取る。育てすぎると硬く香りも落ちる。
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5
雑菌・蒸れ・乾燥を防いで楽しむ
約30日マイタケを上手に育てるには、温度・湿度・風通し・明るさの、四つのバランスをとることが大切です。マイタケは、きのこのなかでも管理がやや繊細で、これらの条件が崩れると、うまく発生しなかったり、株が傷んだりします。まず、栽培に使う手や道具は清潔に保ちます。
菌床に、緑色や黒、ピンクなどの、マイタケ以外の目立つカビが出てきたら、雑菌に侵されたサイン。早めにその部分を取り除くか、ひどい場合は処分して、広がりを防ぎます。マイタケは、過湿で蒸れると雑菌が出やすく、株のひだの奥が傷みやすい一方、乾燥すると生長が止まります。
高めの湿度を保ちつつ、ときどき空気を入れ替えて、蒸れと乾燥のどちらも避けるのがコツです。温度は15〜20度前後を保ち、ほんのり明るい日陰に置きます。一度収穫したあとは、ふつう同じ菌床から大きな株を再び育てるのは難しいことが多いですが、条件がよければ小さな二番が出ることもあります。すこし手はかかりますが、その分、香り高い大きな株を収穫できたときの満足感は大きい、育てがいのあるきのこです。
💡温度・湿度・風通し・明るさの四つのバランスが要。蒸れと乾燥の両方を避け、清潔に管理する。
Checklist
育てる前のチェックリスト
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✓1,200〜3,000円
マイタケの菌床栽培キット
菌が回った菌床ブロック。届いてすぐ栽培できる。
-
✓200〜800円
霧吹き
菌床の保湿に必須。
-
○100〜800円
受け皿・トレー (任意)
菌床を置き、水受けにする。
Pests & Diseases
かかりやすい病害虫
うどんこ病
まれ症状: 葉表が白い粉をまぶしたようになる。
予防: 風通しと日当たりを確保、過湿を避ける。
対処: 罹病部を除去し、重曹スプレーや殺菌剤を散布する。
ナメクジ
時々症状: 不規則な食害痕とテカった粘液の跡。
予防: 鉢の下など隠れ家を減らし乾燥を保つ。
対処: 夜間に捕殺、誘殺剤を設置。
Common mistakes
失敗あるある TOP3
⚠ 蒸れ・雑菌で株が傷む
株のひだの奥が黒ずむ、緑などのカビが出ます。
原因: 密閉・過湿で蒸れた、株に水をかけすぎた、不衛生。
対策: 高湿度を保ちつつ風を通し、株に直接かけすぎない。汚染部は早めに除きます。
⚠ 乾燥で発生・生長が止まる
こぶが大きくならず、株が育ちません。
原因: 菌床の乾燥、湿度不足。
対策: 霧吹きで菌床と周囲の湿り気を保ち、高めの湿度を維持します。
⚠ 高温・暗所で発生しない
きのこが出ない、または色や形が悪い。
原因: 発生適温(15〜20度前後)から外れている、暗すぎる。
対策: 涼しい秋に、ほんのり明るい日陰の適温の場所で育てます。
FAQ
よくある質問
菌床栽培キットを使えば家庭でも育てられますが、マイタケはシイタケやヒラタケに比べて温度・湿度・風通し・明るさの管理にやや繊細さが求められ、きのこ栽培のなかではすこし上級者向けです。まずシイタケやヒラタケで慣れてから挑戦すると、香り高い大きな株を収穫しやすくなります。
マイタケは、発生のときにほどよい光(明るさ)を必要とする点が特徴で、真っ暗より、ほんのり明るい日陰が向きます。また、過湿で蒸れると傷みやすいので、高めの湿度を保ちつつ、適度な風通しも確保する必要があります。温度は15〜20度前後の秋が適期です。
おおむね15〜20度前後で、秋が育てやすい季節です。気温が安定して涼しくなったころに育て始めると、失敗が少なくなります。真夏の高温は発生しにくく雑菌も出やすいので避け、真冬の低温も発生が鈍るため、涼しい秋に合わせるのがおすすめです。
直射日光は不要ですが、マイタケはほかのきのこと違い、発生のときにほどよい明るさを必要とします。真っ暗な場所より、直射の当たらない、やわらかい光の入る「ほんのり明るい日陰」が向きます。直射と乾燥は避けつつ、適度な明るさを確保しましょう。
肥料は不要で、乾かさないことが大切です。霧吹きで菌床と周囲の湿り気をこまめに保ち、高めの湿度を維持します。ただしマイタケは蒸れに弱く、ひだの奥に水がたまると傷むので、株に強くかけるより周囲を湿らせ、適度な風通しも確保します。乾燥と過湿の両方を避けるのがコツです。
マイタケには、たんぱく質を分解する酵素が含まれ、これが卵の固まる働きを妨げるためです。生のマイタケを茶わん蒸しやプリンに入れると固まらないことがあります。さっと加熱してから加えると酵素の働きが止まり、防げます。肉をやわらかくする下ごしらえにも、この性質が利用されます。
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