グーズベリー
Ribes uva-crispa Gooseberry
グーズベリーは、すずなりにつく、ぷっくりとした実の、甘酸っぱい味わいが楽しめる、涼しい気候を好むベリー類の果樹です。和名を「セイヨウスグリ(...
かんたんに言うと
グーズベリー(セイヨウスグリ)は、甘酸っぱい実がすずなりにつくベリー類の果樹。1本でも実がなり、寒さに強い一方、暑さと高温多湿が苦手で、冷涼な気候(北海道・東北・高原など)向き。暖地は半日陰や鉢で涼しく育てます。生食やジャムに。トゲに注意。
Profile
基本情報
グーズベリーは、すずなりにつく、ぷっくりとした実の、甘酸っぱい味わいが楽しめる、涼しい気候を好むベリー類の果樹です。和名を「セイヨウスグリ(西洋酸塊)」「マルスグリ」といい、緑色の、ややすき通った実が、熟すと、品種によって、緑のまま、あるいは、赤やピンク、紫がかった色に色づきます。
実には、縦に、すじ模様が入り、中には、小さな種が、たくさん。生で食べると、ジューシーで、甘酸っぱく、加熱すると、酸味がやわらいで、ジャムや、お菓子(タルト、パイ、クランブル)、ソースに、よく合います。とくに、ヨーロッパでは、グーズベリーのジャムや、デザートは、昔から親しまれてきた、家庭の味です。
グーズベリーは、ユキノシタ科(スグリ科)の落葉低木で、近縁に、カシス(クロスグリ)があります。背は、それほど高くならず、コンパクトに育つので、庭や、大きめの鉢で、手軽に育てられます。1本でも実がなりやすく、受粉樹も不要。寒さには非常に強い一方、暑さと、高温多湿が苦手で、これが、日本での栽培の、いちばんのポイント。
冷涼な気候を好むので、北海道や、東北、高原などの、夏が涼しい地域で、よく育ちます。暖地では、夏の暑さで、株が弱りやすいので、半日陰の、涼しい場所を選んだり、鉢で、夏は涼しい場所に移したりする工夫が必要です。トゲのある品種が多いので、扱いには注意。涼しい地域なら、丈夫で育てやすく、すずなりの実を収穫できる、楽しいベリーです。
💡豆知識
グーズベリーは、ヨーロッパでは、たいへんなじみ深いベリーで、とくにイギリスでは、古くから、家庭の庭で育てられ、グーズベリーのパイや、クランブル、ジャム、そして、グーズベリーソースを添えた料理が、伝統的な家庭料理として、親しまれてきました。19世紀のイギリスでは、グーズベリーの、大きさを競う品評会が、各地で開かれるほど、人気の果樹だったといいます。
「グーズ(goose=ガチョウ)ベリー」という、おもしろい名前の由来には、ガチョウ料理に、グーズベリーソースを添えたから、という説など、いくつかの説がありますが、はっきりとは分かっていません。和名の「スグリ(酸塊)」は、酸っぱい実が、塊(かたまり)になってつくことに由来するといわれます。
グーズベリーは、寒さに非常に強く、ヨーロッパや、北アメリカの、涼しい地域では、とても丈夫に育つ果樹ですが、日本の、蒸し暑い夏は、苦手。そのため、日本では、夏が涼しい、北海道や、高原などで、よく育てられてきました。暖地でも、夏の暑さ対策をすれば、育てられないことはありませんが、冷涼地のほうが、断然、育てやすく、おいしい実がなります。すき通るような実が、すずなりにつく姿は、収穫の楽しみも大きく、自家製ジャムやデザートを楽しめる、家庭果樹です。
Calendar
育成カレンダー
| 作業 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 植え付け | 12月は植え付け | |||||||||||
| 収穫 | 6月は収穫 | |||||||||||
| 剪定 | 1月は剪定 | |||||||||||
| 病害虫注意 | 7月は病害虫注意 |
| 作業 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 植え付け | 12月は植え付け | |||||||||||
| 収穫 | 6月は収穫 | |||||||||||
| 剪定 | 1月は剪定 | |||||||||||
| 病害虫注意 | 7月は病害虫注意 |
| 作業 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 植え付け | 12月は植え付け | |||||||||||
| 収穫 | 6月は収穫 | |||||||||||
| 剪定 | 1月は剪定 | |||||||||||
| 病害虫注意 | 7月は病害虫注意 |
数字は月を表します。色帯のある月がその作業の適期です。上のタブで地域を切り替えられます。
At a glance
ひと目でわかる特徴
Specs
形態と環境条件
形態
- 草丈
- 80〜150cm
- 株張り
- 80〜150cm
- 花のサイズ
- 緑がかった目立たない小花(春)
- 実のサイズ
- 直径1〜2.5cmの実(緑・赤・紫)
環境条件
- 日照
- 半日陰
- 耐寒温度
- -25℃
- 耐暑温度
- 32℃
- 土壌pH
- 6.0〜7.0
- 水やり
- 乾燥を嫌う。土が乾いたらたっぷり。夏は乾かしすぎない。
- 肥料
- 緩効性化成肥料・有機質肥料(寒肥)
How to grow
育て方ステップ
-
1
植え付け(涼しい場所を選ぶ)
約14日グーズベリーの植え付けの適期は、落葉している休眠期、11月〜翌3月ごろ。寒さに非常に強いので、寒冷地でも、休眠期に植えられます。植え付けで、いちばん大切なのが、場所選び。グーズベリーは、暑さと、高温多湿が、とても苦手なので、植え場所の涼しさが、栽培の成否を分けます。
北海道や、東北、高原などの、夏が涼しい冷涼地では、日当たりのよい場所に植えられます。一方、暖地(関東以西の平地など)では、真夏の、強い直射日光と暑さを避けるため、午前中だけ日が当たる半日陰や、落葉樹の木陰など、夏に涼しくなる場所を選ぶのが、夏越しのコツです。
鉢植えにすると、夏は、涼しい場所(北側や、風通しのよい日陰)に、移動できるので、暖地では、鉢植えがおすすめ。土質は、水はけと、適度な水もちのある、肥えた土が向きます。グーズベリーは、乾燥も、やや苦手なので、極端に乾く場所は避けます。植え付け前に、堆肥や腐葉土をすき込んで、ふかふかの土をつくっておきます。
トゲのある品種が多いので、植え付けや作業のときは、革手袋をして、ケガに注意します。1本でも実がなりやすいので、1本から始められます。背が高くならず、コンパクトに育つので、狭いスペースでも育てられます。
💡落葉期(11〜3月)に植える。暑さが苦手なので冷涼地は日なた、暖地は半日陰や木陰へ。暖地は鉢で夏に移動が◎。トゲに注意。
-
2
水やりと肥料
約60日グーズベリーは、乾燥を、やや嫌うので、水やりは、土を乾かしすぎないように行います。植え付けてから根づくまでの最初の1年は、とくに、土が乾いたら、たっぷりと水を与えて、根づきを助けます。根づいたあとも、グーズベリーは、極端な乾燥に弱いので、とくに、実が太る初夏や、暑く乾燥する夏は、株元に、たっぷりと水を与えて、水切れさせないようにします。
水が不足すると、実が、小さくなったり、落ちたりします。ただし、過湿で根を傷めないよう、水はけのよさは保ちます。株元に、わら(敷きわら)や、バークチップを敷く「マルチング」をすると、土の乾燥を防ぎ、地温の上昇も、ある程度抑えられるので、暑さの苦手なグーズベリーには、とくに効果的です。
鉢植えは乾きやすいので、夏は、こまめに水やりします。肥料は、それほど多くは必要ありません。冬(落葉期)に、株元に、堆肥や有機質肥料を施す「寒肥(かんごえ)」を中心に与え、さらに、花後や、収穫後に、お礼肥として、少量を与えると、木が充実します。
肥料の与えすぎは、かえって、枝葉が茂りすぎて、蒸れたり、病気が出やすくなったりするので、控えめにします。涼しさを保ち、乾かさず、適度な肥料で、健康な株に育てましょう。
💡乾燥をやや嫌うので乾かしすぎない。夏は水切れ注意。敷きわらやバークで乾燥・地温上昇を防ぐ。肥料は冬の寒肥中心に控えめ。
-
3
剪定と病気対策
約30日グーズベリーを、健康に育て、たくさん収穫するには、剪定と、病気対策が大切です。剪定の適期は、落葉している休眠期、12月〜2月ごろ。グーズベリーは、株元から、たくさんの枝(シュート)を出して、こんもりとした株立ちに育ちます。剪定では、まず、枯れ枝、混み合った古い枝、内側に伸びる枝、地面に近い枝などを、付け根から取り除いて、株の中まで、風通しと日当たりがよくなるようにします。
グーズベリーの実は、2〜3年枝に、よくつくので、古くなりすぎた枝を、間引きながら、適度に、新しい枝に更新していくと、実つきがよく保てます。風通しをよくすることは、後述の病気の予防にも、とても重要です。グーズベリーが、とくにかかりやすいのが「うどんこ病」。
葉や、実、枝が、白い粉をまぶしたようになる病気で、高温多湿で、株が蒸れると、発生しやすくなります。暑さの苦手なグーズベリーは、日本の梅雨〜夏に、うどんこ病が出やすいので、剪定で、株の中まで風が通るようにし、過湿を避け、混み合いを防ぐことが、いちばんの予防策。
発病したら、白くなった部分を、早めに取り除き、広がりを防ぎます。トゲのある品種は、剪定の際、革手袋をして、ケガに注意します。風通しのよい、すっきりとした株に仕立てることが、病気を防ぎ、よい実を収穫する、コツです。
💡落葉期(12〜2月)に、混み枝・古枝を間引いて風通しよく。うどんこ病に注意し、蒸れを防ぐ。トゲは革手袋で。
-
4
実を収穫する
約30日グーズベリーは、春に、目立たない花が咲いたあと、初夏(6〜7月ごろ)に、実が熟します。実は、最初は、かたく緑色で、熟すにつれて、ふっくらと、ぷっくりふくらみ、品種によって、緑のまま、あるいは、赤やピンク、紫がかった色に、色づきます。収穫の時期は、楽しみ方によって、選べます。
まだ、かたく、緑色で、酸味の強いうちに収穫すると、ジャムや、お菓子(タルト、パイ、クランブル)、ソースなど、加熱調理向き。加熱すると、酸味がやわらいで、独特の風味が引き立ちます。一方、しっかり熟して、やわらかく、甘みがのったものは、生食でも、ジューシーで、甘酸っぱく楽しめます。
生食を楽しむなら、完熟を待って、熟したものから、順に収穫します。実は、すずなりにつくので、収穫の楽しみも大きいですが、トゲのある品種は、実を摘むときに、トゲが、じゃまになるので、革手袋をするか、ていねいに、トゲをよけながら、ハサミや手で、摘み取ります。
とれたての実は、生食はもちろん、なんといっても、自家製のジャムが、おすすめ。砂糖と煮るだけで、市販品とは違う、フレッシュな、グーズベリージャムができます。お菓子や、肉料理のソースにも使え、家庭果樹ならではの、ヨーロッパの味を、楽しめます。たくさん収穫できたら、冷凍保存もできます。
💡6〜7月に熟す。加熱調理(ジャム等)なら緑の酸味の強いうち、生食なら完熟を待つ。トゲをよけて摘む。冷凍保存も可。
-
5
夏越し(最大の関門)・冬越し
約90日グーズベリー栽培、とくに暖地での栽培で、最大の関門が「夏越し」です。グーズベリーは、暑さと、高温多湿が、とても苦手で、日本の、蒸し暑い夏に、株が弱ったり、枯れたりすることが、いちばんの失敗の原因。冷涼地(北海道・東北・高原など)では、夏も涼しいので、問題なく育ちますが、暖地では、夏越しに、工夫が必要です。
鉢植えなら、夏は、直射日光の当たらない、風通しのよい、涼しい日陰(建物の北側など)に移動させ、暑さから守ります。地植えの場合は、前述のとおり、もともと、夏に涼しくなる、半日陰や、落葉樹の木陰に植えておくことが大切。あわせて、株元の、敷きわらやマルチングで、地温の上昇を抑え、乾燥を防ぎます。
夏のあいだは、水切れにも注意し、涼しく、乾かしすぎず、風通しよく、を心がけて、なんとか、暑さを乗り切らせます。一方、冬越しは、まったく心配いりません。グーズベリーは、寒さに非常に強く(マイナス20度以上にも耐える品種が多い)、落葉して休眠するので、防寒は不要。
寒冷地でも、屋外で、楽に冬を越せます。落葉期の冬は、前述の剪定や、寒肥を施す、よいタイミング。グーズベリーは、「冬は楽勝、夏が勝負」という、暑さの苦手な果樹。涼しい環境さえ確保できれば、丈夫で、毎年、すずなりの実を、楽しませてくれます。涼しい地域にお住まいなら、ぜひ、おすすめしたいベリーです。
💡暑さが最大の弱点。暖地は夏に鉢を涼しい日陰へ、地植えは半日陰+マルチで地温を下げる。冬は寒さに強く防寒不要。
Checklist
育てる前のチェックリスト
-
✓1,000〜3,500円
グーズベリーの苗木
落葉期に出回る。トゲなし品種もある。
-
○400〜1,200円
堆肥・腐葉土(土づくり) (任意)
植え穴に混ぜて根づきをよくする。
-
○300〜1,000円
敷きわら・バークチップ (任意)
地温の上昇と乾燥を防ぐマルチング材。
-
○400〜1,200円
有機質肥料(寒肥) (任意)
冬の寒肥を中心に。
Pests & Diseases
かかりやすい病害虫
アブラムシ
時々症状: 新芽が縮れる、葉がべたつく、すす病を誘発。
予防: 風通しを良くし、窒素過多を避ける。シルバーマルチで忌避。
対処: 見つけ次第捕殺、牛乳スプレーや薬剤で防除。
うどんこ病
よく発生症状: 葉表が白い粉をまぶしたようになる。
予防: 風通しと日当たりを確保、過湿を避ける。
対処: 罹病部を除去し、重曹スプレーや殺菌剤を散布する。
Harvest
収穫の情報
Common mistakes
失敗あるある TOP3
⚠ 夏の暑さ・高温多湿で弱る・枯れる
夏に株が弱り、葉が傷み、枯れることがあります。
原因: 暑さと高温多湿が苦手なのに、暑い場所で育てた。
対策: 暖地は鉢で夏に涼しい日陰へ、地植えは半日陰+マルチで涼しく育てます。
⚠ うどんこ病
葉・実・枝が白い粉をまぶしたようになります。
原因: 高温多湿・蒸れ・風通しの悪さ。
対策: 剪定で風通しをよくし過湿を避け、白くなった部分を早めに除きます。
⚠ 乾燥で実が落ちる・小さい
実が落ちる、十分に太りません。
原因: 乾燥をやや嫌うのに、夏に水が不足した。
対策: 夏は水切れさせず、敷きわらやマルチで乾燥を防ぎます。
FAQ
よくある質問
冷涼地(北海道・東北・高原など)なら、1本で実がなり、寒さに強く、コンパクトで育てやすいベリーです。ただし、暑さと高温多湿が苦手なので、暖地では夏越しに工夫が必要で、やや難しめ。暖地で育てるなら、鉢植えにして、夏は涼しい日陰に移すのがおすすめです。
育てられないことはありませんが、暑さが苦手なので工夫が必要です。鉢植えにして、夏は直射の当たらない涼しい日陰に移動させるのが確実。地植えなら、午前だけ日が当たる半日陰や落葉樹の木陰に植え、株元をマルチングして地温を下げます。冷涼地のほうが断然育てやすく、おいしい実がなります。
初夏(6〜7月ごろ)です。楽しみ方で時期を選べ、ジャムやお菓子など加熱調理なら、かたく緑色で酸味の強いうちに、生食なら、しっかり熟してやわらかく甘みがのったものを収穫します。すずなりにつくので収穫の楽しみも大きいです。トゲのある品種は手袋で。
はい、グーズベリーは1本でも実がなりやすいので、受粉樹を用意しなくても、1本から始められます。背が高くならず、コンパクトに育つので、庭や大きめの鉢で、狭いスペースでも育てられます。
うどんこ病です。グーズベリーがかかりやすい病気で、高温多湿・蒸れ・風通しの悪さで発生します。白くなった部分を早めに取り除き、剪定で株の中まで風が通るようにして、過湿を避けます。暑さの苦手なグーズベリーは、梅雨〜夏に出やすいので、涼しく風通しよく育てることが、いちばんの予防です。
いいえ、冬越しはまったく心配いりません。グーズベリーは寒さに非常に強く、落葉して休眠するので、防寒は不要。寒冷地でも屋外で楽に冬を越せます。むしろ難しいのは夏で、「冬は楽勝、夏が勝負」の果樹です。落葉期の冬は、剪定や寒肥を施すよいタイミングです。
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