クリ
Castanea crenata Japanese Chestnut
クリ(栗)は、秋の味覚を代表する、ほくほくとした、あまい実をつける、落葉性の果樹です。とげだらけの、いが(毬)に包まれた実が、秋に熟して、い...
かんたんに言うと
クリ(栗)は、秋にほくほくの実をつける落葉果樹。日当たり・水はけのよい場所を好み、寒さに強く丈夫です。1本では実がなりにくいので、異なる品種を2本以上植えると実つきがよくなります。植え付けから収穫まで数年かかりますが、実り始めると毎年たくさん穫れます。とげのあるいがの扱いに注意。
Profile
基本情報
クリ(栗)は、秋の味覚を代表する、ほくほくとした、あまい実をつける、落葉性の果樹です。とげだらけの、いが(毬)に包まれた実が、秋に熟して、いがが割れ、つやつやとした、こげ茶色の実が顔を出す姿は、日本の秋の、風物詩。栗ごはんや、甘露煮、焼き栗、モンブランなど、和洋を問わず、秋のおいしい味わいを楽しませてくれる、人気の果樹です。
日本に古くから自生・栽培されてきた「ニホングリ(日本栗)」は、実が大きく、香りがよいのが特徴。ほかに、渋皮がむきやすい「中国栗(甘栗で有名)」や、ヨーロッパの「ヨーロッパグリ(マロン)」などがあります。クリは、ブナ科の落葉高木で、放っておくと、10m以上の大木になりますが、家庭果樹用には、コンパクトに育つ品種や、剪定で、樹高を抑えて育てる方法もあります。
日当たりと、水はけのよい場所を好み、やせ地でも、比較的よく育つ、丈夫な果樹。寒さにも強く、北海道南部から、九州まで、幅広く栽培できます。クリ栽培で、大切なポイントが、受粉。クリは、1本だけでは、実がなりにくい(自家不和合性が強い)性質があるため、異なる品種を、2本以上、近くに植えて、たがいに受粉させると、実つきが、ぐんとよくなります。
植え付けから、収穫まで、数年かかりますが、いったん実り始めると、毎年秋に、たくさんの栗を、収穫できる、楽しみの大きい果樹。とげのある、いがの扱いには、注意が必要ですが、自分で育てた、とれたての栗の味は、格別です。
💡豆知識
クリは、縄文時代の遺跡からも、大量の栗が見つかるほど、日本人と、たいへん古くから、関わりの深い植物です。青森県の、三内丸山遺跡では、縄文人が、栗の木を、計画的に栽培・管理していたとも考えられており、栗は、主食に近い、重要な食料だったとされます。
木材としても、クリは、たいへん優秀で、水や、湿気に強く、腐りにくいため、家の土台や、鉄道の枕木、線路などに、古くから使われてきました。「栗(くり)」の語源には、実の色が、黒色(くろ)に由来するという説などがあります。栗を、毬(いが)が包んでいるのは、まだ熟していない、大切な種(実)を、動物などから守るため。
あの、無数のとげは、実を守る、よろいの役目をしています。秋に、実が熟すと、いがが、自然に割れて、中の実が、ぽろりと落ちる仕組みです。栗の「渋皮(しぶかわ)」を、きれいに残して煮る「渋皮煮」は、手間のかかる、秋の贅沢な味覚。一方、中国栗から作られる「甘栗(天津甘栗)」は、渋皮が、するりとむけるのが特徴です。
栗は、でんぷんが豊富で、栄養価が高く、ビタミンや、ミネラル、食物繊維も含む、栄養満点の秋の味覚。フランスでは「マロン」と呼ばれ、マロングラッセや、モンブランなど、洗練されたお菓子になります。世界中で、秋の恵みとして、愛される果樹です。
Calendar
育成カレンダー
| 作業 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 植え付け | 12月は植え付け | |||||||||||
| 収穫 | 9月は収穫 | |||||||||||
| 剪定 | 1月は剪定 | |||||||||||
| 病害虫注意 | 6月は病害虫注意 |
| 作業 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 植え付け | 12月は植え付け | |||||||||||
| 収穫 | 9月は収穫 | |||||||||||
| 剪定 | 1月は剪定 | |||||||||||
| 病害虫注意 | 6月は病害虫注意 |
| 作業 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 植え付け | 12月は植え付け | |||||||||||
| 収穫 | 9月は収穫 | |||||||||||
| 剪定 | 1月は剪定 | |||||||||||
| 病害虫注意 | 6月は病害虫注意 |
数字は月を表します。色帯のある月がその作業の適期です。上のタブで地域を切り替えられます。
At a glance
ひと目でわかる特徴
Specs
形態と環境条件
形態
- 草丈
- 200〜1000cm
- 株張り
- 200〜600cm
- 花のサイズ
- 黄白色の穂状の花(初夏・独特の香り)
- 実のサイズ
- いがに包まれた実(径2〜4cm)
環境条件
- 日照
- 日なた
- 耐寒温度
- -20℃
- 耐暑温度
- 35℃
- 土壌pH
- 5.5〜6.5
- 水やり
- 根づけば降雨で足りる。植え付け後と乾燥時はたっぷり。
- 肥料
- 有機質肥料・化成肥料(寒肥)
How to grow
育て方ステップ
-
1
植え付け(2品種以上を選ぶ)
約21日クリの植え付けの適期は、落葉している休眠期、11月〜翌3月ごろ。寒さに強いので、寒冷地でも、休眠期に植えられます。クリ栽培で、いちばん大切なポイントが、品種選びです。クリは、1本だけでは、実がなりにくい「自家不和合性」が強い果樹なので、必ず、開花期の合う、異なる2品種以上を、近く(10m以内が目安)に植えて、たがいに、受粉させるようにします。
1品種だけだと、花は咲いても、ほとんど実がつかないことが多いので、注意します。家庭でおすすめの品種には、「丹沢(たんざわ)」「筑波(つくば)」「銀寄(ぎんよせ)」「利平(りへい)」などがあり、開花期の合う組み合わせを選びます。植え付け場所は、日当たりと、水はけのよい場所を選びます。
クリは、放っておくと、10m以上の大木になるので、十分なスペースのある、広い庭や、畑が向きます。やせ地でも、比較的よく育つ、丈夫な果樹ですが、酸性〜弱酸性の土を好みます。植え付け前に、堆肥をすき込んで、土づくりをしておきます。苗木は、根を広げて植え、支柱を立てて、風で、ぐらつかないように固定します。植え付け後、たっぷり水を与え、苗の高さを、50〜70cmほどで、切り戻しておくと、その後の、枝の形を、整えやすくなります。
💡最重要は2品種以上を10m以内に植えて受粉させること(1本では実りにくい)。日当たり・水はけのよい広い場所へ。休眠期に植える。
-
2
水やりと肥料
約60日クリは、丈夫で、乾燥にも、比較的強い果樹です。地植えで、根づいたあとは、よほど、乾燥が続かないかぎり、自然の雨だけでも育つので、ひんぱんな水やりは、必要ありません。ただし、植え付けてから、根づくまでの最初の1〜2年は、土が乾いたら、たっぷりと水を与えて、根づきを助けます。
また、実がなり始めてからは、夏の、実が太る時期に、極端に乾燥すると、実が、小さくなったり、落ちたりするので、夏の日照りが続くときは、水を与えます。鉢植えの場合は、地植えより乾きやすいので、土の表面が乾いたら、たっぷりと水やりします。肥料は、それほど多くは必要ありません。
クリは、やせ地でも育つので、肥料の与えすぎは、かえって、枝葉ばかり茂って、実つきが悪くなることがあります。基本は、冬(落葉期)に、株元に、堆肥や、有機質肥料を施す「寒肥(かんごえ)」を中心に与えます。この寒肥が、春の芽出しと、その年の生育を支えます。
さらに、収穫後に、お礼肥として、少量の肥料を与えると、木が、疲れを回復し、翌年の実つきが、よくなります。日当たりと、適度な肥料で、健康な木に育てることが、毎年、たくさんの栗を、収穫する基本です。
💡根づけば降雨で足り、水やりはほぼ不要。植え付け1〜2年と夏の実太り期の乾燥時はたっぷり。肥料は冬の寒肥中心に控えめ。
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3
剪定で樹形を整える
約30日クリは、放っておくと、大木になり、樹高が高くなりすぎて、収穫や、手入れが、たいへんになります。家庭で育てる場合は、剪定で、樹高を、手の届く高さに抑え、風通しと、日当たりのよい樹形に、仕立てます。剪定の適期は、落葉している休眠期、12月〜2月ごろ。
クリの実は、その年に伸びた、新しい枝(新梢)の先のほうにつくので、やみくもに、枝先を切ると、実がつかなくなるため、注意が必要です。剪定では、まず、枯れ枝や、混み合った枝、内側に向かって伸びる枝、上に強く伸びる徒長枝などを、付け根から、間引いて、樹冠の内部まで、日光と、風が通るようにします。
樹高が、高くなりすぎた場合は、主幹や、太い枝を、適度な高さで切り詰めて、樹高を抑えます。クリは、若木のうちは、骨格となる、主要な枝(主枝)を、配置よく作りながら、徐々に、樹形を整えていきます。実をつける枝を、残しながら、全体を、すかして、コンパクトに保つのが、家庭栽培のコツ。
剪定で、風通しをよくすることは、後述の、病害虫の予防にも役立ちます。大きくなる木なので、高い枝の剪定には、脚立や、高枝切りばさみを使い、安全に作業します。適切な剪定で、毎年、収穫しやすく、実つきのよい木を、保ちましょう。
💡休眠期(12〜2月)に剪定。実は新梢の先につくので切りすぎ注意。混み枝・徒長枝を間引き、樹高を抑えて日当たり・風通しよく。
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4
受粉・害虫対策と実の管理
約60日クリは、初夏(6月ごろ)に、黄白色の、ひものような、独特の花を、穂のように咲かせます。このとき、特有の、強い香りがします。前述のとおり、クリは、2品種以上を、近くに植えていれば、虫(昆虫)が、花粉を運んで、自然に受粉してくれるので、人工受粉は、基本的に不要です。
受粉がうまくいくと、夏のあいだに、とげだらけの、いが(毬)が、ふくらんでいき、中で、実が育ちます。クリ栽培で、注意したいのが、害虫です。とくに、収穫した栗の中に、虫がいる、いちばんの原因が「クリシギゾウムシ」や「クリミガ」などの害虫。これらは、まだ若い、いがや実に、卵を産みつけ、幼虫が、実の中を食べて育つため、収穫した栗を割ると、中に、虫がいる、ということが起こります。
被害を防ぐには、落ちた、いがや実を、こまめに拾って処分し、害虫の発生源を、減らすことや、必要に応じて、適期に、薬剤を使うことが有効です。また、収穫した栗を、すぐに、熱湯に、短時間つけたり、冷蔵・冷凍したりして、虫の発生を抑える方法もあります。
実が太る時期に、乾燥させないこと、込み合った枝を、剪定で、風通しよく保つことも、健全な実を、育てるのに役立ちます。とげのある、いがの中で、大切に育つ実を、無事に収穫まで、守りましょう。
💡初夏に独特の香りの花が咲き、2品種あれば虫が受粉。クリシギゾウムシ等の害虫に注意し、落ちたいが・実はこまめに処分。
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5
いがの収穫と保存
約30日クリの収穫の時期は、秋(9〜10月ごろ)。実が熟すと、とげだらけの、いが(毬)が、自然に、茶色く割れて、中の、つやつやとした、こげ茶色の実が、顔を出し、やがて、いがごと、あるいは、実だけが、地面に落ちてきます。収穫は、この、地面に落ちた、熟した実を、拾い集めるのが基本。
木についている、まだ青い、いがは、未熟なので、自然に、いがが割れて、落ちるのを待ちます。とげのある、いがを扱うときは、軍手や、革手袋をして、トングや、足で、いがを、そっと開いて、中の実を取り出すと、手を、とげで、けがせずにすみます。落ちた実は、毎日のように、こまめに拾うのがコツ。
放っておくと、前述の、虫が、入ったり、乾燥して、味が落ちたり、動物に、食べられたりします。収穫した栗は、すぐ食べてもおいしいですが、じつは、収穫直後より、低温で、しばらく貯蔵すると、でんぷんが、糖に変わって、ぐっと、あまくなります。新聞紙などに包んで、ポリ袋に入れ、冷蔵庫のチルド室で、数週間、寝かせると、甘みが増します(虫対策にもなります)。
すぐ使わない分は、ゆでてから、むき身にして、冷凍保存も、できます。とれたての栗で作る、栗ごはんや、甘露煮、ゆで栗は、家庭果樹ならではの、ぜいたくな、秋の味わい。手をかけて育てた木から、毎年、秋の恵みを、収穫できる喜びは、格別です。
💡秋に、いがが割れて落ちた熟した実を拾う。とげは軍手・トングで扱う。収穫後、冷蔵で数週間寝かせると糖度が増す。冷凍保存も可。
Checklist
育てる前のチェックリスト
-
✓3,000〜8,000円
クリの苗木(2品種)
受粉のため開花期の合う別品種を2本以上。
-
○500〜1,500円
堆肥(土づくり) (任意)
植え穴に混ぜて根づきをよくする。
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○300〜1,000円
支柱 (任意)
植え付け直後の苗の固定に。
-
○500〜1,500円
革手袋・トング (任意)
とげのあるいがの収穫・処理に。
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○500〜1,500円
有機質肥料(寒肥) (任意)
冬の寒肥と収穫後のお礼肥に。
Pests & Diseases
かかりやすい病害虫
アブラムシ
まれ症状: 新芽が縮れる、葉がべたつく、すす病を誘発。
予防: 風通しを良くし、窒素過多を避ける。シルバーマルチで忌避。
対処: 見つけ次第捕殺、牛乳スプレーや薬剤で防除。
ヨトウムシ
時々症状: 葉に大きな食害痕、株元の地中に潜む。
予防: 防虫ネットで産卵を防ぐ。
対処: 夜間または株元を掘って捕殺、薬剤を使用。
Harvest
収穫の情報
Common mistakes
失敗あるある TOP3
⚠ 1品種で実がつかない
花は咲くのに実がほとんどなりません。
原因: 自家不和合性が強く、受粉樹(別品種)がない。
対策: 開花期の合う異なる2品種以上を10m以内に植え、たがいに受粉させます。
⚠ 収穫した実に虫が入る
栗を割ると中に幼虫がいます。
原因: クリシギゾウムシ・クリミガなどの食害。
対策: 落ちたいが・実をこまめに処分し、収穫後は熱湯処理や冷蔵・冷凍で防ぎます。
⚠ 木が大きくなりすぎ実が減る
樹高が高くなり収穫しにくく、実つきも落ちます。
原因: 剪定不足、または剪定で新梢を切りすぎた。
対策: 休眠期に混み枝・徒長枝を間引いて樹高を抑え、実のつく新梢は残します。
FAQ
よくある質問
クリは1本だけでは実がなりにくい「自家不和合性」が強い果樹です。花は咲いても、ほとんど実がつかないことが多いので、必ず、開花期の合う異なる2品種以上を、近く(10m以内が目安)に植えて、たがいに受粉させます。丹沢・筑波・銀寄・利平などから、開花期の合う組み合わせを選ぶと、実つきがよくなります。
クリは丈夫で寒さに強く、やせ地でもよく育つので、広い場所と2品種を植えるスペースがあれば、育てやすい果樹です。ただし大木になるため剪定が必要で、いがのとげや、実に入る害虫への対策も要ります。植え付けから収穫まで数年かかりますが、実り始めると毎年たくさん穫れます。
クリシギゾウムシなどの害虫が、若いいがや実に卵を産み、幼虫が実の中を食べるのが原因です。落ちたいがや実をこまめに拾って処分し発生源を減らすこと、必要に応じて適期の薬剤散布が有効です。収穫後すぐに熱湯に短時間つけたり、冷蔵・冷凍したりすると、虫の発生を抑えられます。
秋(9〜10月ごろ)、いがが自然に茶色く割れて、実が地面に落ちてきたら収穫適期です。落ちた熟した実を拾い集めます。木の青いいがは未熟なので、割れて落ちるのを待ちます。とげのあるいがは、軍手や革手袋、トングを使って扱い、けがを防ぎます。落ちた実は毎日こまめに拾うのがコツです。
はい、収穫直後より、低温で寝かせると甘くなります。新聞紙に包んでポリ袋に入れ、冷蔵庫のチルド室で数週間貯蔵すると、でんぷんが糖に変わって甘みが増し、虫対策にもなります。すぐ使わない分は、ゆでてむき身にして冷凍保存もできます。とれたてより、ひと手間で、よりおいしくなります。
クリは放っておくと10m以上の大木になります。家庭では、休眠期(12〜2月)の剪定で、樹高を手の届く高さに抑え、混み合った枝や徒長枝を間引いて、風通しと日当たりのよい樹形に仕立てます。ただし実は新梢の先につくので、切りすぎると実がつかなくなる点に注意します。わい性品種を選ぶ方法もあります。
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