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植物図鑑
🫐
枝に育つクリ(栗)の若いいが(毬)と葉
🫐 果樹

クリ

Castanea crenata Japanese Chestnut

普通 難易度3(5段階中): 普通 💰 苗は1500〜4000円

クリ(栗)は、秋の味覚を代表する、ほくほくとした、あまい実をつける、落葉性の果樹です。とげだらけの、いが(毬)に包まれた実が、秋に熟して、い...

かんたんに言うと

クリ(栗)は、秋にほくほくの実をつける落葉果樹。日当たり・水はけのよい場所を好み、寒さに強く丈夫です。1本では実がなりにくいので、異なる品種を2本以上植えると実つきがよくなります。植え付けから収穫まで数年かかりますが、実り始めると毎年たくさん穫れます。とげのあるいがの扱いに注意。

Profile

基本情報

クリ(栗)は、秋の味覚を代表する、ほくほくとした、あまい実をつける、落葉性の果樹です。とげだらけの、いが(毬)に包まれた実が、秋に熟して、いがが割れ、つやつやとした、こげ茶色の実が顔を出す姿は、日本の秋の、風物詩。栗ごはんや、甘露煮、焼き栗、モンブランなど、和洋を問わず、秋のおいしい味わいを楽しませてくれる、人気の果樹です。

日本に古くから自生・栽培されてきた「ニホングリ(日本栗)」は、実が大きく、香りがよいのが特徴。ほかに、渋皮がむきやすい「中国栗(甘栗で有名)」や、ヨーロッパの「ヨーロッパグリ(マロン)」などがあります。クリは、ブナ科の落葉高木で、放っておくと、10m以上の大木になりますが、家庭果樹用には、コンパクトに育つ品種や、剪定で、樹高を抑えて育てる方法もあります。

日当たりと、水はけのよい場所を好み、やせ地でも、比較的よく育つ、丈夫な果樹。寒さにも強く、北海道南部から、九州まで、幅広く栽培できます。クリ栽培で、大切なポイントが、受粉。クリは、1本だけでは、実がなりにくい(自家不和合性が強い)性質があるため、異なる品種を、2本以上、近くに植えて、たがいに受粉させると、実つきが、ぐんとよくなります。

植え付けから、収穫まで、数年かかりますが、いったん実り始めると、毎年秋に、たくさんの栗を、収穫できる、楽しみの大きい果樹。とげのある、いがの扱いには、注意が必要ですが、自分で育てた、とれたての栗の味は、格別です。

ブナ科
分類
果樹 / 落葉果樹
原産地
日本、朝鮮半島、中国
別名
クリ、栗、ニホングリ、チェスナット
適期
植え付けは12月
価格目安
苗は1500〜4000円

💡豆知識

クリは、縄文時代の遺跡からも、大量の栗が見つかるほど、日本人と、たいへん古くから、関わりの深い植物です。青森県の、三内丸山遺跡では、縄文人が、栗の木を、計画的に栽培・管理していたとも考えられており、栗は、主食に近い、重要な食料だったとされます。

木材としても、クリは、たいへん優秀で、水や、湿気に強く、腐りにくいため、家の土台や、鉄道の枕木、線路などに、古くから使われてきました。「栗(くり)」の語源には、実の色が、黒色(くろ)に由来するという説などがあります。栗を、毬(いが)が包んでいるのは、まだ熟していない、大切な種(実)を、動物などから守るため。

あの、無数のとげは、実を守る、よろいの役目をしています。秋に、実が熟すと、いがが、自然に割れて、中の実が、ぽろりと落ちる仕組みです。栗の「渋皮(しぶかわ)」を、きれいに残して煮る「渋皮煮」は、手間のかかる、秋の贅沢な味覚。一方、中国栗から作られる「甘栗(天津甘栗)」は、渋皮が、するりとむけるのが特徴です。

栗は、でんぷんが豊富で、栄養価が高く、ビタミンや、ミネラル、食物繊維も含む、栄養満点の秋の味覚。フランスでは「マロン」と呼ばれ、マロングラッセや、モンブランなど、洗練されたお菓子になります。世界中で、秋の恵みとして、愛される果樹です。

Calendar

育成カレンダー

全国の月別育成カレンダー
作業 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
植え付け
12月は植え付け
収穫
9月は収穫
剪定
1月は剪定
病害虫注意
6月は病害虫注意
関東の月別育成カレンダー
作業 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
植え付け
12月は植え付け
収穫
9月は収穫
剪定
1月は剪定
病害虫注意
6月は病害虫注意
近畿の月別育成カレンダー
作業 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
植え付け
12月は植え付け
収穫
9月は収穫
剪定
1月は剪定
病害虫注意
6月は病害虫注意

数字は月を表します。色帯のある月がその作業の適期です。上のタブで地域を切り替えられます。

At a glance

ひと目でわかる特徴

育てやすさ 普通
収穫・開花の早さ
手軽さ(コスト) 高め

Specs

形態と環境条件

形態

草丈
200〜1000cm
株張り
200〜600cm
花のサイズ
黄白色の穂状の花(初夏・独特の香り)
実のサイズ
いがに包まれた実(径2〜4cm)

環境条件

日照
日なた
耐寒温度
-20℃
耐暑温度
35℃
土壌pH
5.5〜6.5
水やり
根づけば降雨で足りる。植え付け後と乾燥時はたっぷり。
肥料
有機質肥料・化成肥料(寒肥)

How to grow

育て方ステップ

  1. 1

    植え付け(2品種以上を選ぶ)

    約21日

    クリの植え付けの適期は、落葉している休眠期、11月〜翌3月ごろ。寒さに強いので、寒冷地でも、休眠期に植えられます。クリ栽培で、いちばん大切なポイントが、品種選びです。クリは、1本だけでは、実がなりにくい「自家不和合性」が強い果樹なので、必ず、開花期の合う、異なる2品種以上を、近く(10m以内が目安)に植えて、たがいに、受粉させるようにします。

    1品種だけだと、花は咲いても、ほとんど実がつかないことが多いので、注意します。家庭でおすすめの品種には、「丹沢(たんざわ)」「筑波(つくば)」「銀寄(ぎんよせ)」「利平(りへい)」などがあり、開花期の合う組み合わせを選びます。植え付け場所は、日当たりと、水はけのよい場所を選びます。

    クリは、放っておくと、10m以上の大木になるので、十分なスペースのある、広い庭や、畑が向きます。やせ地でも、比較的よく育つ、丈夫な果樹ですが、酸性〜弱酸性の土を好みます。植え付け前に、堆肥をすき込んで、土づくりをしておきます。苗木は、根を広げて植え、支柱を立てて、風で、ぐらつかないように固定します。植え付け後、たっぷり水を与え、苗の高さを、50〜70cmほどで、切り戻しておくと、その後の、枝の形を、整えやすくなります。

    💡最重要は2品種以上を10m以内に植えて受粉させること(1本では実りにくい)。日当たり・水はけのよい広い場所へ。休眠期に植える。

  2. 2

    水やりと肥料

    約60日

    クリは、丈夫で、乾燥にも、比較的強い果樹です。地植えで、根づいたあとは、よほど、乾燥が続かないかぎり、自然の雨だけでも育つので、ひんぱんな水やりは、必要ありません。ただし、植え付けてから、根づくまでの最初の1〜2年は、土が乾いたら、たっぷりと水を与えて、根づきを助けます。

    また、実がなり始めてからは、夏の、実が太る時期に、極端に乾燥すると、実が、小さくなったり、落ちたりするので、夏の日照りが続くときは、水を与えます。鉢植えの場合は、地植えより乾きやすいので、土の表面が乾いたら、たっぷりと水やりします。肥料は、それほど多くは必要ありません。

    クリは、やせ地でも育つので、肥料の与えすぎは、かえって、枝葉ばかり茂って、実つきが悪くなることがあります。基本は、冬(落葉期)に、株元に、堆肥や、有機質肥料を施す「寒肥(かんごえ)」を中心に与えます。この寒肥が、春の芽出しと、その年の生育を支えます。

    さらに、収穫後に、お礼肥として、少量の肥料を与えると、木が、疲れを回復し、翌年の実つきが、よくなります。日当たりと、適度な肥料で、健康な木に育てることが、毎年、たくさんの栗を、収穫する基本です。

    💡根づけば降雨で足り、水やりはほぼ不要。植え付け1〜2年と夏の実太り期の乾燥時はたっぷり。肥料は冬の寒肥中心に控えめ。

  3. 3

    剪定で樹形を整える

    約30日

    クリは、放っておくと、大木になり、樹高が高くなりすぎて、収穫や、手入れが、たいへんになります。家庭で育てる場合は、剪定で、樹高を、手の届く高さに抑え、風通しと、日当たりのよい樹形に、仕立てます。剪定の適期は、落葉している休眠期、12月〜2月ごろ。

    クリの実は、その年に伸びた、新しい枝(新梢)の先のほうにつくので、やみくもに、枝先を切ると、実がつかなくなるため、注意が必要です。剪定では、まず、枯れ枝や、混み合った枝、内側に向かって伸びる枝、上に強く伸びる徒長枝などを、付け根から、間引いて、樹冠の内部まで、日光と、風が通るようにします。

    樹高が、高くなりすぎた場合は、主幹や、太い枝を、適度な高さで切り詰めて、樹高を抑えます。クリは、若木のうちは、骨格となる、主要な枝(主枝)を、配置よく作りながら、徐々に、樹形を整えていきます。実をつける枝を、残しながら、全体を、すかして、コンパクトに保つのが、家庭栽培のコツ。

    剪定で、風通しをよくすることは、後述の、病害虫の予防にも役立ちます。大きくなる木なので、高い枝の剪定には、脚立や、高枝切りばさみを使い、安全に作業します。適切な剪定で、毎年、収穫しやすく、実つきのよい木を、保ちましょう。

    💡休眠期(12〜2月)に剪定。実は新梢の先につくので切りすぎ注意。混み枝・徒長枝を間引き、樹高を抑えて日当たり・風通しよく。

  4. 4

    受粉・害虫対策と実の管理

    約60日

    クリは、初夏(6月ごろ)に、黄白色の、ひものような、独特の花を、穂のように咲かせます。このとき、特有の、強い香りがします。前述のとおり、クリは、2品種以上を、近くに植えていれば、虫(昆虫)が、花粉を運んで、自然に受粉してくれるので、人工受粉は、基本的に不要です。

    受粉がうまくいくと、夏のあいだに、とげだらけの、いが(毬)が、ふくらんでいき、中で、実が育ちます。クリ栽培で、注意したいのが、害虫です。とくに、収穫した栗の中に、虫がいる、いちばんの原因が「クリシギゾウムシ」や「クリミガ」などの害虫。これらは、まだ若い、いがや実に、卵を産みつけ、幼虫が、実の中を食べて育つため、収穫した栗を割ると、中に、虫がいる、ということが起こります。

    被害を防ぐには、落ちた、いがや実を、こまめに拾って処分し、害虫の発生源を、減らすことや、必要に応じて、適期に、薬剤を使うことが有効です。また、収穫した栗を、すぐに、熱湯に、短時間つけたり、冷蔵・冷凍したりして、虫の発生を抑える方法もあります。

    実が太る時期に、乾燥させないこと、込み合った枝を、剪定で、風通しよく保つことも、健全な実を、育てるのに役立ちます。とげのある、いがの中で、大切に育つ実を、無事に収穫まで、守りましょう。

    💡初夏に独特の香りの花が咲き、2品種あれば虫が受粉。クリシギゾウムシ等の害虫に注意し、落ちたいが・実はこまめに処分。

  5. 5

    いがの収穫と保存

    約30日

    クリの収穫の時期は、秋(9〜10月ごろ)。実が熟すと、とげだらけの、いが(毬)が、自然に、茶色く割れて、中の、つやつやとした、こげ茶色の実が、顔を出し、やがて、いがごと、あるいは、実だけが、地面に落ちてきます。収穫は、この、地面に落ちた、熟した実を、拾い集めるのが基本。

    木についている、まだ青い、いがは、未熟なので、自然に、いがが割れて、落ちるのを待ちます。とげのある、いがを扱うときは、軍手や、革手袋をして、トングや、足で、いがを、そっと開いて、中の実を取り出すと、手を、とげで、けがせずにすみます。落ちた実は、毎日のように、こまめに拾うのがコツ。

    放っておくと、前述の、虫が、入ったり、乾燥して、味が落ちたり、動物に、食べられたりします。収穫した栗は、すぐ食べてもおいしいですが、じつは、収穫直後より、低温で、しばらく貯蔵すると、でんぷんが、糖に変わって、ぐっと、あまくなります。新聞紙などに包んで、ポリ袋に入れ、冷蔵庫のチルド室で、数週間、寝かせると、甘みが増します(虫対策にもなります)。

    すぐ使わない分は、ゆでてから、むき身にして、冷凍保存も、できます。とれたての栗で作る、栗ごはんや、甘露煮、ゆで栗は、家庭果樹ならではの、ぜいたくな、秋の味わい。手をかけて育てた木から、毎年、秋の恵みを、収穫できる喜びは、格別です。

    💡秋に、いがが割れて落ちた熟した実を拾う。とげは軍手・トングで扱う。収穫後、冷蔵で数週間寝かせると糖度が増す。冷凍保存も可。

Checklist

育てる前のチェックリスト

  • クリの苗木(2品種)

    受粉のため開花期の合う別品種を2本以上。

    3,000〜8,000円
  • 堆肥(土づくり) (任意)

    植え穴に混ぜて根づきをよくする。

    500〜1,500円
  • 支柱 (任意)

    植え付け直後の苗の固定に。

    300〜1,000円
  • 革手袋・トング (任意)

    とげのあるいがの収穫・処理に。

    500〜1,500円
  • 有機質肥料(寒肥) (任意)

    冬の寒肥と収穫後のお礼肥に。

    500〜1,500円
初期費用の目安(必須のみ) 3,000〜8,000円

Pests & Diseases

かかりやすい病害虫

害虫

アブラムシ

まれ

症状: 新芽が縮れる、葉がべたつく、すす病を誘発。

予防: 風通しを良くし、窒素過多を避ける。シルバーマルチで忌避。

対処: 見つけ次第捕殺、牛乳スプレーや薬剤で防除。

害虫

ヨトウムシ

時々

症状: 葉に大きな食害痕、株元の地中に潜む。

予防: 防虫ネットで産卵を防ぐ。

対処: 夜間または株元を掘って捕殺、薬剤を使用。

Harvest

収穫の情報

収穫までの年数
苗木から3〜5年で実がなり始める
受粉樹
必要(開花期の合う別品種を2本以上(丹沢・筑波・銀寄・利平など))
収穫量の目安
成木1本で数kg〜数十kg
樹の寿命
落葉高木(50年以上の長寿)
剪定時期
休眠期(12〜2月)に間引き剪定。新梢の先に実がつく点に注意

Common mistakes

失敗あるある TOP3

⚠ 1品種で実がつかない

花は咲くのに実がほとんどなりません。

原因: 自家不和合性が強く、受粉樹(別品種)がない。

対策: 開花期の合う異なる2品種以上を10m以内に植え、たがいに受粉させます。

⚠ 収穫した実に虫が入る

栗を割ると中に幼虫がいます。

原因: クリシギゾウムシ・クリミガなどの食害。

対策: 落ちたいが・実をこまめに処分し、収穫後は熱湯処理や冷蔵・冷凍で防ぎます。

⚠ 木が大きくなりすぎ実が減る

樹高が高くなり収穫しにくく、実つきも落ちます。

原因: 剪定不足、または剪定で新梢を切りすぎた。

対策: 休眠期に混み枝・徒長枝を間引いて樹高を抑え、実のつく新梢は残します。

FAQ

よくある質問

クリは1本だけでは実がなりにくい「自家不和合性」が強い果樹です。花は咲いても、ほとんど実がつかないことが多いので、必ず、開花期の合う異なる2品種以上を、近く(10m以内が目安)に植えて、たがいに受粉させます。丹沢・筑波・銀寄・利平などから、開花期の合う組み合わせを選ぶと、実つきがよくなります。

クリは丈夫で寒さに強く、やせ地でもよく育つので、広い場所と2品種を植えるスペースがあれば、育てやすい果樹です。ただし大木になるため剪定が必要で、いがのとげや、実に入る害虫への対策も要ります。植え付けから収穫まで数年かかりますが、実り始めると毎年たくさん穫れます。

クリシギゾウムシなどの害虫が、若いいがや実に卵を産み、幼虫が実の中を食べるのが原因です。落ちたいがや実をこまめに拾って処分し発生源を減らすこと、必要に応じて適期の薬剤散布が有効です。収穫後すぐに熱湯に短時間つけたり、冷蔵・冷凍したりすると、虫の発生を抑えられます。

秋(9〜10月ごろ)、いがが自然に茶色く割れて、実が地面に落ちてきたら収穫適期です。落ちた熟した実を拾い集めます。木の青いいがは未熟なので、割れて落ちるのを待ちます。とげのあるいがは、軍手や革手袋、トングを使って扱い、けがを防ぎます。落ちた実は毎日こまめに拾うのがコツです。

はい、収穫直後より、低温で寝かせると甘くなります。新聞紙に包んでポリ袋に入れ、冷蔵庫のチルド室で数週間貯蔵すると、でんぷんが糖に変わって甘みが増し、虫対策にもなります。すぐ使わない分は、ゆでてむき身にして冷凍保存もできます。とれたてより、ひと手間で、よりおいしくなります。

クリは放っておくと10m以上の大木になります。家庭では、休眠期(12〜2月)の剪定で、樹高を手の届く高さに抑え、混み合った枝や徒長枝を間引いて、風通しと日当たりのよい樹形に仕立てます。ただし実は新梢の先につくので、切りすぎると実がつかなくなる点に注意します。わい性品種を選ぶ方法もあります。

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