ウツボカズラ
Nepenthes Tropical pitcher plant
ウツボカズラは、葉の先につるを伸ばし、その先端に「捕虫袋(ほちゅうぶくろ)」と呼ばれる袋をぶら下げて、虫をとらえる、つる性の食虫植物です。袋...
かんたんに言うと
ウツボカズラ(ネペンテス)は袋状のわなで虫をとらえる熱帯性のつる性食虫植物。寒さに弱く冬も15度以上で暖かく保ち、明るい半日陰と高めの湿度を好みます。乾燥すると袋がつきにくいので湿度がカギ。肥料は不要。
Profile
基本情報
ウツボカズラは、葉の先につるを伸ばし、その先端に「捕虫袋(ほちゅうぶくろ)」と呼ばれる袋をぶら下げて、虫をとらえる、つる性の食虫植物です。袋の中には消化液がたまっていて、ふちのすべりやすい部分に足をすべらせた虫が、袋の中に落ちて消化される、「落とし穴わな」の仕組みをもちます。
ぶら下がる袋の、ユニークで愛嬌のある姿が人気で、観葉植物のように吊るして飾る楽しみ方もあり、食虫植物のなかでも独特の存在感があります。原産は東南アジアの熱帯雨林などで、ハエトリソウやサラセニアといった温帯性の食虫植物とは、育て方の前提が大きく違います。
最大の違いは、ウツボカズラが熱帯性で寒さに弱いこと。冬も休眠させず、暖かく保つ必要があり、最低でも15度ほど、できれば温かい環境を保ちます。また、強い直射日光より、明るい半日陰を好み、空気中の湿度が高い環境を好むのも特徴です。乾燥すると袋がつきにくくなるので、湿度を保つのがきれいな袋を育てるコツ。
水やりは、用土を乾かさないようにしますが、熱帯の高地性・低地性など種類によって好む環境が異なります。肥料は基本的に与えず、袋でとらえる虫と光合成で育ちます。ぶら下がる袋を眺める楽しさは格別で、つる性ならではの飾り方も楽しめる、個性派の食虫植物です。
💡豆知識
ウツボカズラの「捕虫袋」は、じつは葉の一部が変化したもの。葉の先端から伸びたつる(巻きひげ)の先がふくらんで、袋状になっています。袋のふちは「襟(えり)」と呼ばれ、つるつるとすべりやすく、甘いみつで虫を誘い、足をすべらせて中へ落とします。袋の内側もワックス状で登れず、底にたまった消化液で、落ちた虫はゆっくり分解されて栄養になります。
袋には、上向きにつく「上位袋」と、地面近くにつく「下位袋」があり、同じ株でも形や色が違うことがあります。種類は非常に多く、標高の高い涼しい山地に育つ「高地性」と、低地の暑い場所に育つ「低地性」があり、好む温度が異なるため、種類に合わせた管理が大切です。
なかには、袋が大きく、小動物が落ちることもあるほど大型になる種類も。東南アジアでは、袋にもち米を詰めて蒸す郷土料理に使う地域もあるなど、暮らしと結びついた一面もあります。ぶら下がる袋のユニークさで、観賞用としても世界中で愛されています。
Calendar
育成カレンダー
| 作業 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 植え替え | 6月は植え替え | |||||||||||
| 開花 | 8月は開花 | |||||||||||
| 病害虫注意 | 7月は病害虫注意 | 12月は病害虫注意 |
| 作業 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
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| 植え替え | 6月は植え替え | |||||||||||
| 開花 | 8月は開花 | |||||||||||
| 病害虫注意 | 7月は病害虫注意 | 12月は病害虫注意 |
| 作業 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 植え替え | 6月は植え替え | |||||||||||
| 開花 | 8月は開花 | |||||||||||
| 病害虫注意 | 7月は病害虫注意 | 12月は病害虫注意 |
数字は月を表します。色帯のある月がその作業の適期です。上のタブで地域を切り替えられます。
At a glance
ひと目でわかる特徴
Specs
形態と環境条件
形態
- 草丈
- 20〜150cm
- 株張り
- 20〜80cm
- 花のサイズ
- 小さく目立たない花が穂状に咲く
環境条件
- 日照
- 半日陰
- 耐寒温度
- 12℃
- 耐暑温度
- 35℃
- 土壌pH
- 4.5〜6.0
- 水やり
- 用土を乾かさないよう湿らせ、葉水で湿度を保つ。
- 肥料
- 不要(袋でとらえる虫と光合成で育つ)
How to grow
育て方ステップ
-
1
置き場所を決める(明るい半日陰)
約7日ウツボカズラは、東南アジアの熱帯雨林などに育つ食虫植物で、強い直射日光は苦手です。ハエトリソウやサラセニアが日光大好きなのとは対照的に、ウツボカズラは明るい半日陰を好みます。室内なら、レースカーテン越しのやわらかい光が入る、明るく暖かい窓辺が理想的。
屋外に出す暖かい時期も、直射日光の当たらない、明るい日陰や木もれ日の下に置きます。真夏の強い直射に当てると、葉が焼けて傷むので注意します。反対に、暗すぎる場所では、葉ばかり茂って袋がつきにくくなるので、「直射は避けつつ、できるだけ明るく」がポイント。
つる性で、つるを長く伸ばして垂れ下がるので、吊り鉢にして高い位置に飾ると、ぶら下がる袋を美しく楽しめます。生育に適した温度は20〜30度ほどで、暖かさを好みます。後述のとおり寒さに弱いので、置き場所は、年間を通して暖かさを保てる場所を選ぶことが大切です。
💡直射は避け、明るく暖かい半日陰へ。暗すぎると袋がつかない。吊り鉢で袋を楽しむのもおすすめ。
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2
水やりと湿度(袋をつけるカギ)
約30日ウツボカズラを上手に育て、きれいな袋をつけさせる最大のコツが、湿度です。原産地の熱帯雨林は、空気中の湿度がとても高く、ウツボカズラはこの高い湿度のなかで袋を発達させます。乾燥した環境では、袋がつきにくくなったり、ついても小さくしぼんだりするので、湿度を高く保つことが大切。
1日に数回、霧吹きで株全体に葉水を与えると、湿度が保てて、袋もつきやすくなります。水やりは、用土を乾かさないように、表面が乾いたらたっぷりと与えます。ハエトリソウのような深い腰水は、種類によっては根を傷めることがあるので、ウツボカズラでは「用土を湿らせるが、過湿で根を腐らせない」バランスを意識します。
受け皿に少し水をためる程度は可。水は、ミネラルの少ない雨水や精製水が理想ですが、ウツボカズラはハエトリソウほど水質に神経質ではありません。なお、袋の中の消化液は、無理に捨てたり、水道水を注いだりせず、そのままにしておきます。
💡高い湿度が袋をつけるカギ。こまめな葉水を。用土は湿らせつつ過湿で根を腐らせない。
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3
用土と植え替え
約14日ウツボカズラには、水もちと通気性のよい、酸性で栄養分の少ない用土を使います。水苔(みずごけ)単用が、保水性と通気性のバランスがよく、よく使われます。ほかに、ピートモスやベラボン(ヤシ殻チップ)、鹿沼土、パーライトなどを組み合わせた、水はけと水もちを両立した用土も向きます。
市販の「食虫植物の土」や「ラン用の水苔」を使うのが手軽です。一般の培養土や肥料入りの土は、根を傷めるので使いません。鉢は、つるが伸びて垂れ下がるので、吊り鉢が人気です。植え替えは、1〜2年に一度を目安に、生育期の暖かい時期(初夏など)に行います。
水苔は時間がたつと分解して通気が悪くなるので、定期的に新しくします。古い水苔を落とし、傷んだ根を整理して、新しい用土でやさしく植え直します。根は繊細なので、傷めないようていねいに扱います。植え替え後は、明るい半日陰で湿度を保ち、株が落ち着くまで直射や乾燥を避けて管理します。
💡水苔単用やヤシ殻系の、酸性・無肥料の用土で。吊り鉢が人気。1〜2年に一度、暖かい時期に植え替え。
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4
冬越し(暖かく保つ)
約120日ウツボカズラ栽培でいちばん注意したいのが冬越しです。ウツボカズラは熱帯性の植物で、寒さに非常に弱く、ハエトリソウやサラセニアのように冬に休眠させてはいけません。これは温帯性の食虫植物との決定的な違いです。気温が下がる秋以降は、暖かい室内に取り込み、最低でも15度ほど、できればもっと暖かい環境を保ちます。
気温が10度を下回るような寒さに当たると、葉が傷んだり、株が弱って枯れたりします。冬の室内では、窓辺の夜間の冷え込みにも注意し、暖房で乾燥しすぎないよう、葉水で湿度を保ちます。暖房の風が直接当たる場所は、乾燥して傷むので避けます。冬は生育がゆるやかになるので、水やりはやや控えめにしますが、用土を乾かしきらないようにします。
種類によって耐寒性に差があり、低地性は暖かさを、高地性はやや涼しさを好むなどの違いもあるので、育てている種類の性質を知っておくと安心です。いずれにせよ、「寒さに当てず、暖かく・湿度を保って」越させるのが基本です。
💡熱帯性で寒さに弱い。冬も休眠させず15度以上の暖かい室内で、葉水で湿度を保つ。
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5
ふやし方・袋を楽しむ
約60日ウツボカズラは、つるを切って挿す「挿し木(挿し芽)」でふやせます。適期は、生育期の暖かい時期。葉を数枚つけた茎を切り取り、水苔に挿して、明るい半日陰で湿度を高く保つと、やがて発根します。発根までは乾かさないよう、ビニールなどで覆って湿度を保つと成功しやすくなります。
ウツボカズラの楽しみは、なんといっても、ぶら下がる袋を眺めること。袋は、株が元気で、湿度と明るさが十分なときによくつきます。逆に、環境が合わないと、葉ばかり茂って袋がつかないので、袋がつかないときは、湿度・明るさ・暖かさを見直すサインと考えましょう。
袋には寿命があり、古くなると枯れて茶色くなりますが、株が元気なら次々と新しい袋がつきます。肥料は基本的に与えず、袋に自然に入る虫と、光合成で育ちます。無理に虫や肉を入れると、袋が傷むことがあるので避けます。つるを伸ばし、ユニークな袋を次々とぶら下げていく姿を、長く楽しみましょう。
💡挿し木でふやせる。袋は湿度・明るさ・暖かさが十分なときによくつく。エサの入れすぎは禁物。
Checklist
育てる前のチェックリスト
-
✓1,000〜8,000円
ウツボカズラの苗(鉢・吊り鉢)
園芸店やホームセンターで入手できる。
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✓500〜1,500円
水苔・食虫植物の土
酸性・無肥料の用土。ラン用水苔でも可。
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○300〜2,000円
吊り鉢・鉢 (任意)
垂れ下がる袋を楽しむなら吊り鉢が人気。
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○200〜800円
霧吹き (任意)
葉水で湿度を保つのに使う。
Pests & Diseases
かかりやすい病害虫
アブラムシ
時々症状: 新芽が縮れる、葉がべたつく、すす病を誘発。
予防: 風通しを良くし、窒素過多を避ける。シルバーマルチで忌避。
対処: 見つけ次第捕殺、牛乳スプレーや薬剤で防除。
ハダニ
時々症状: 葉に白いかすり状の斑点、ひどいと葉が枯れる。
予防: 葉裏への葉水で乾燥を防ぐ。
対処: 葉裏への葉水を継続し、専用の殺ダニ剤を使用する。
Common mistakes
失敗あるある TOP3
⚠ 寒さで葉が傷み枯れる
葉が黒ずんで傷み、株が弱ります。
原因: 熱帯性なのに低温(10度以下)に当てた、冬に休眠させようとした。
対策: 冬も15度以上の暖かい室内で管理し、寒さに当てません。
⚠ 乾燥で袋がつかない
葉ばかり茂り、袋がつかない・小さくしぼむ。
原因: 空気の湿度不足、暗すぎる、寒い。
対策: こまめな葉水で湿度を保ち、明るく暖かい場所に置きます。
⚠ 葉焼け
葉が茶色く焼けて傷みます。
原因: 強い直射日光に当てた。
対策: レースカーテン越しなど、明るい半日陰に移します。
FAQ
よくある質問
ぶら下がる袋が魅力で人気ですが、熱帯性のため寒さに弱く、冬も暖かく保つこと、湿度を高く保つことがポイントです。これらを守れば、明るい半日陰で育てやすく、吊るして飾る楽しみもあります。ハエトリソウなどと違い、冬の休眠はさせず暖かく越させる点に注意します。
多くは湿度・明るさ・暖かさの不足が原因です。ウツボカズラは空気中の湿度が高い環境で袋を発達させるので、乾燥すると袋がつきにくくなります。こまめな葉水で湿度を保ち、直射は避けつつできるだけ明るく、暖かい場所に置きましょう。環境が合えば、新しい袋が次々とつきます。
袋の中には消化液がたまっており、これがウツボカズラの「胃」のような役割をします。無理に捨てたり、水道水を注いだりせず、そのままにしておきます。袋に自然に入る虫を消化して栄養にするので、人工的に肉や大きな虫を入れる必要はなく、入れると袋が傷むことがあります。
用土を乾かさないよう、表面が乾いたらたっぷり与えます。ハエトリソウのような深い腰水は根を傷めることがあるので、過湿で根を腐らせないバランスを意識します。加えて、こまめな葉水で空気の湿度を高く保つのが、袋をつけるコツ。水は雨水や精製水が理想ですが、水質にはそれほど神経質でなくても育ちます。
熱帯性で寒さに弱いので、冬は休眠させず、暖かい室内に取り込んで最低15度ほどを保ちます。10度を下回る寒さに当たると傷みます。暖房の乾燥には葉水で対応し、暖房の風が直接当たる場所は避けます。温帯性のハエトリソウとは逆に、「暖かく越させる」のが正解です。
生育期の暖かい時期に、つるを切って水苔に挿す挿し木でふやせます。葉を数枚つけた茎を切り、明るい半日陰で湿度を高く保つと発根します。発根までは乾かさないよう、ビニールで覆って湿度を保つと成功しやすくなります。
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