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植物図鑑
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ロゼット状の葉とすみれ似の花を咲かせたムシトリスミレ
🪰 食虫植物

ムシトリスミレ

Pinguicula Butterwort

やさしい 難易度2(5段階中): やさしい 💰 鉢植えは800〜3000円

ムシトリスミレは、ロゼット状に広がる、しっとりとした葉の表面の粘液で、小さな虫をとらえる食虫植物です。葉はやや肉厚で、表面が、ごく細かい粘液...

かんたんに言うと

ムシトリスミレ(ピンギキュラ)は、しっとりした葉の粘液で小さな虫をとらえる食虫植物。すみれ似の花も美しい。明るい半日陰とやや控えめの水やりを好み、肥料は厳禁。メキシカン種は育てやすく室内向き。水道水のミネラルは避けます。

Profile

基本情報

ムシトリスミレは、ロゼット状に広がる、しっとりとした葉の表面の粘液で、小さな虫をとらえる食虫植物です。葉はやや肉厚で、表面が、ごく細かい粘液でうっすらと湿っており、コバエなどの小さな虫がくっつくと、消化して栄養にします。モウセンゴケのような目立つ粘液の玉はなく、一見すると、ふつうの多肉質の草のように見えますが、れっきとした食虫植物です。

名前のとおり、すみれに似た、紫やピンク、白の愛らしい花を咲かせるのも大きな魅力で、花の美しさから「食虫植物の花の女王」とも呼ばれます。なかでも、メキシコ原産の「メキシカン・ピンギキュラ」は、種類が豊富で花も美しく、比較的育てやすいことから、近年とても人気があります。

日本の高山などに自生する種類もあります。育て方は、ほかの食虫植物と同じく、肥料を与えず、水道水のミネラルを避けるのが基本ですが、ムシトリスミレ(とくにメキシカン)は、ほかの食虫植物ほど強い日光や深い腰水を必要とせず、明るい半日陰と、やや控えめの水やりを好むものが多いのが特徴。

多肉植物に近い感覚で、室内の明るい窓辺でも育てやすく、食虫植物の入門としても向きます。メキシカン・ピンギキュラには、季節によって、虫をとらえる粘着葉の時期と、乾燥に耐える多肉質の葉(冬芽)の時期があるなど、変化を楽しめる面も。小さくて愛らしく、花も楽しめる、親しみやすい食虫植物です。

分類
食虫植物 / 粘着わな(モウセンゴケ・ムシトリスミレ)
原産地
メキシコ、日本、ヨーロッパ
別名
ムシトリスミレ、ピンギキュラ、バターワート、ピンギ
価格目安
鉢植えは800〜3000円

💡豆知識

ムシトリスミレの葉の粘液は、モウセンゴケのような目立つ玉ではなく、葉の表面全体をうっすらおおう、ごく細かい粘液です。そのため、葉は触ると、しっとり・ベタッとした感触があります。小さな虫がくっつくと、葉の表面から消化液がしみ出して、ゆっくり分解し、栄養を吸収します。

葉のふちが、ほんの少し内側に巻いて、獲物を抱え込む種類もあります。人気のメキシカン・ピンギキュラは、季節によって姿を変えるのがおもしろく、雨季にあたる生育期は、粘液を出して虫をとらえる「食虫葉」を広げますが、乾季にあたる時期は、粘液を出さず、乾燥に耐える多肉質の葉(サキュレントリーフ)が重なった、まるで多肉植物のような姿(冬芽)になります。

この姿の変化は、原産地の乾季・雨季のリズムに適応したもの。属名の「ピンギキュラ」は、ラテン語で「小さく脂(あぶら)っぽい」という意味で、葉の粘液の質感に由来します。花の美しさと、小さく場所をとらない手軽さ、そして姿の変化と、見どころの多い食虫植物です。

Calendar

育成カレンダー

全国の月別育成カレンダー
作業 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
植え替え
4月は植え替え
開花
5月は開花
病害虫注意
7月は病害虫注意
12月は病害虫注意
関東の月別育成カレンダー
作業 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
植え替え
4月は植え替え
開花
5月は開花
病害虫注意
7月は病害虫注意
12月は病害虫注意
近畿の月別育成カレンダー
作業 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
植え替え
4月は植え替え
開花
5月は開花
病害虫注意
7月は病害虫注意
12月は病害虫注意

数字は月を表します。色帯のある月がその作業の適期です。上のタブで地域を切り替えられます。

At a glance

ひと目でわかる特徴

育てやすさ やさしい
収穫・開花の早さ
手軽さ(コスト) やや高め

Specs

形態と環境条件

形態

草丈
3〜15cm
株張り
3〜15cm
花のサイズ
紫・ピンク・白のすみれ似の花が花茎の先に咲く

環境条件

日照
半日陰
耐寒温度
5℃
耐暑温度
32℃
土壌pH
5.5〜7.0
水やり
用土を湿らせる(浅めの腰水〜表面が乾いたら)。雨水・精製水が理想。
肥料
不要(肥料は根を傷め厳禁)

How to grow

育て方ステップ

  1. 1

    置き場所を決める(明るい半日陰)

    約7日

    ムシトリスミレ、とくに人気のメキシカン・ピンギキュラは、ほかの食虫植物ほど強い直射日光を必要とせず、明るい半日陰を好みます。室内なら、レースカーテン越しのやわらかい光が入る、明るい窓辺が理想的。直射日光が強く当たる場所は、しっとりした葉が傷んだり、焼けたりすることがあるので避けます。

    反対に、暗すぎる場所では、葉が間延びして弱々しくなり、花も咲きにくくなるので、「直射は避けつつ、できるだけ明るく」がポイントです。この、明るい半日陰でよいという性質のおかげで、強い日光を確保しにくい室内でも育てやすく、食虫植物の入門として人気があります。

    屋外に出す場合も、直射の当たらない明るい日陰に置きます。生育に適した温度は、種類によりますが、メキシカン・ピンギキュラはおおむね15〜28度ほどで、極端な暑さ・寒さは苦手。室内の、年間を通して穏やかな環境がよく合います。テラリウムや、まわりを囲った湿度の保てる場所も、葉が乾きすぎず育てやすい環境です。

    💡直射は避け、レースカーテン越しの明るい半日陰へ。室内で育てやすい。暗すぎると徒長し花が減る。

  2. 2

    水やり(やや控えめに湿らせる)

    約30日

    ムシトリスミレの水やりは、ハエトリソウやサラセニアのような深い腰水ではなく、やや控えめが基本です。とくにメキシカン・ピンギキュラは、用土が常にびしょびしょだと根が傷みやすいので、「用土を湿らせるが、過湿にしすぎない」バランスを意識します。浅めの腰水(受け皿に1cm程度)にするか、用土の表面が乾きかけたら、下から水を吸わせる方法が向きます。

    水の種類は、ほかの食虫植物と同じく、水道水のミネラルを避け、雨水や精製水、軟水が理想です。ムシトリスミレは比較的、水質にうるさくない種類もありますが、できるだけミネラルの少ない水のほうが安心です。葉に粘液があるため、葉の上から水をかけると粘液が流れたり、葉が傷んだりすることがあるので、水は株元や、下から吸わせるように与えます。

    なお、メキシカン・ピンギキュラは、後述のとおり、乾季にあたる時期(冬芽の多肉質の葉のとき)は、水やりをぐっと減らして乾かし気味にします。季節による水やりの調整が、上手に育てるコツです。

    💡深い腰水より控えめに。浅い腰水か下から吸わせる。葉の上からかけない。乾季は乾かし気味に。

  3. 3

    用土と植え替え(肥料は厳禁)

    約14日

    ムシトリスミレにも、肥料分のない用土を使い、肥料は与えません。ただし、用土の好みは種類によって幅があり、とくにメキシカン・ピンギキュラは、ほかの食虫植物のような強酸性のピートモスより、鹿沼土や軽石、バーミキュライト、わずかな水苔などを混ぜた、水はけと通気のよい、やや中性寄りの用土を好むものが多いのが特徴です。

    これは、自生地が石灰岩質の岩場であることに由来します。市販の「食虫植物の土」や、専門店ですすめられる配合を使うのが手軽で確実です。一般の培養土や肥料入りの土は使いません。鉢は、小型なので小鉢で十分です。植え替えは、1〜2年に一度を目安に、生育期に行います。

    古い用土を落とし、傷んだ根を整理して、新しい用土に植え直します。メキシカン・ピンギキュラは、葉を1枚はがして用土にのせる「葉挿し」で、比較的簡単にふやせるので、植え替えのときに、はがれた葉を使ってふやす楽しみもあります。肥料は植え替え時も与えません。植え替え後は、明るい半日陰で管理します。

    💡無肥料の用土で。メキシカン種は水はけのよいやや中性寄りの用土も好む。葉挿しでふえる。

  4. 4

    花と虫を楽しむ

    約30日

    ムシトリスミレの大きな魅力が、すみれに似た愛らしい花です。生育がよく、株が充実すると、細い花茎を伸ばして、紫やピンク、白の花を咲かせます。とくにメキシカン・ピンギキュラは、種類によって花色や形が豊富で、長く咲くものもあり、「食虫植物の花の女王」と呼ばれるほど。

    花を楽しむには、明るい半日陰でしっかり育てて、株を充実させることが大切です。花が終わったら、種をとらない場合は花茎を切ると、株の体力を温存できます。虫とのつき合い方は、ほかの食虫植物と同じく、自然にまかせます。ムシトリスミレは、室内に出るコバエやキノコバエなどの、ごく小さな虫をよくとらえるので、人工的にエサを与える必要はありません。

    むしろ、観葉植物の鉢などに発生する小さな虫を、いつのまにかとらえてくれる、頼もしい一面もあります。大きすぎる虫や肉を葉にのせると、消化できず葉を傷めるので避けます。日光(明るい半日陰)と水の管理が正しければ、光合成と自然にとらえる虫で十分に育ち、美しい花を楽しめます。

    💡株が充実するとすみれ似の花が咲く。小さなコバエを自然にとらえる。大きな虫や肉は与えない。

  5. 5

    季節の変化と冬越し

    約120日

    ムシトリスミレ、とくにメキシカン・ピンギキュラは、季節によって姿を変えるのが大きな特徴で、これを理解すると上手に育てられます。雨季にあたる暖かい生育期は、粘液を出して虫をとらえる、平たく広がった「食虫葉」を展開します。一方、乾季にあたる涼しい時期(おおむね晩秋〜冬)になると、粘液を出さず、乾燥に耐える、多肉質でぷっくりした葉が重なった姿(冬芽・サキュレントロゼット)に変わります。

    この多肉質の姿のときは、虫をとらえないので、水やりをぐっと減らして、乾かし気味に管理します。この乾季の管理を間違えて、多肉質の時期に水を与えすぎると、株が腐ることがあるので注意します。春になって暖かくなると、再び平たい食虫葉を広げて、生育を始めます。

    日本産のムシトリスミレなど、温帯性・高山性の種類は、また性質が異なり、冬に休眠するものもあります。いずれにせよ、育てている種類の性質(メキシカンか、温帯性か)を知り、季節に合わせて水やりと置き場所を調整するのが、長く育てるコツです。寒さには弱い種類が多いので、メキシカン種は冬も室内の明るい場所で、凍らせないように管理します。

    💡メキシカン種は冬に多肉質の葉(冬芽)になり乾かし気味に。種類の性質を知り季節で水やりを調整。

Checklist

育てる前のチェックリスト

  • ムシトリスミレの苗(鉢)

    専門店や通販で入手できる。メキシカン種が人気。

    800〜3,000円
  • 食虫植物の土(メキシカン種は水はけ重視)

    無肥料の用土。鹿沼・軽石主体の配合も向く。

    500〜1,500円
  • 小鉢・受け皿 (任意)

    小型なので小鉢でよい。浅い腰水用の受け皿も。

    100〜1,000円
  • 精製水・軟水 (任意)

    ミネラルの少ない水。雨水でも代用可。

    100〜500円
初期費用の目安(必須のみ) 1,300〜4,500円

Pests & Diseases

かかりやすい病害虫

害虫

アブラムシ

時々

症状: 新芽が縮れる、葉がべたつく、すす病を誘発。

予防: 風通しを良くし、窒素過多を避ける。シルバーマルチで忌避。

対処: 見つけ次第捕殺、牛乳スプレーや薬剤で防除。

病気

灰色かび病

時々

症状: 花弁や果実が褐変し灰色のカビに覆われる。

予防: 枯れ花をこまめに除去、密植を避ける。

対処: 罹病部を処分し殺菌剤を散布。

Common mistakes

失敗あるある TOP3

⚠ 過湿で株元が腐る

株元や葉の付け根が軟らかく黒ずんで腐ります。

原因: 深すぎる腰水や、多肉質の葉の時期の水のやりすぎ。

対策: 控えめに湿らせ、冬の多肉質の時期は乾かし気味にします。

⚠ 水道水・肥料で弱る

葉が傷み、株が弱ります。

原因: 水道水のミネラルの蓄積、または肥料を与えた。

対策: 雨水・精製水を使い、肥料は一切与えません。

⚠ 徒長・花が咲かない

葉が間延びして弱く、花も咲きません。

原因: 暗すぎる場所での日照不足。

対策: 直射は避けつつ、できるだけ明るい半日陰に移します。

FAQ

よくある質問

はい、とくにメキシカン・ピンギキュラは、強い日光や深い腰水を必要とせず、明るい半日陰の室内で育てやすいので、食虫植物の入門に向きます。すみれ似の花も楽しめます。基本は、肥料を与えない、水道水のミネラルを避ける、過湿にしすぎない、の3点。季節で姿が変わる種類は、その変化に合わせて水やりを調整します。

深い腰水ではなく、やや控えめに用土を湿らせます。浅い腰水(受け皿に1cm程度)か、表面が乾きかけたら下から吸わせる方法が向きます。葉に粘液があるので、葉の上からかけず、株元や下から与えます。メキシカン種は、冬の多肉質の葉のときは乾かし気味にします。水は雨水・精製水が理想です。

はい、それが正常です。ムシトリスミレの葉は、表面全体をおおうごく細かい粘液で、小さな虫をとらえます。モウセンゴケのような目立つ玉はありませんが、しっとり・ベタッとした感触があるのが食虫植物としての働きの証拠。コバエなどがくっついて消化されている様子も見られます。

枯れたのではなく、メキシカン・ピンギキュラの季節変化です。乾季にあたる涼しい時期は、粘液を出さず、乾燥に耐える多肉質の葉(冬芽)に変わります。この時期は水やりを減らして乾かし気味に。春に暖かくなると、再び平たい食虫葉を広げて生育を始めます。

肥料は与えません。根から肥料を吸うと傷みます。エサも基本不要で、室内のコバエなどの小さな虫を自然にとらえ、光合成と合わせて十分に育ちます。大きすぎる虫や肉を葉にのせると消化できず葉を傷めるので避けます。観葉植物のコバエ取りとして役立つ一面もあります。

メキシカン・ピンギキュラは、強い日光や深い腰水が不要で、明るい半日陰の室内で育てられるため、ハエトリソウやサラセニアより、住環境によっては育てやすいと感じる人も多いです。ただし種類の性質(メキシカンか温帯性か)で管理が変わるので、育てる種類を確認しておくと安心です。

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