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植物図鑑
🪰
トゲの並んだ二枚貝のような葉を開いたハエトリソウ
🪰 食虫植物

ハエトリソウ

Dionaea muscipula Venus flytrap

普通 難易度3(5段階中): 普通 💰 鉢植えは800〜3000円

ハエトリソウは、二枚貝のような形をした葉で虫をパチンと挟みとらえる、もっとも有名な食虫植物です。葉のふちに並んだトゲと、内側にある感覚毛(セ...

かんたんに言うと

ハエトリソウは虫を葉で挟みとらえる人気の食虫植物。腰水で用土を常に湿らせ(できれば雨水・精製水)、肥料は厳禁、日光を好みます。温帯性で冬は寒さに当てて休眠させます。わなを無駄に閉じさせないのが長持ちのコツ。

Profile

基本情報

ハエトリソウは、二枚貝のような形をした葉で虫をパチンと挟みとらえる、もっとも有名な食虫植物です。葉のふちに並んだトゲと、内側にある感覚毛(センサーの役割をする細い毛)が特徴で、虫がこの毛に続けて触れると、わずか0.1秒ほどで葉を閉じて、獲物を逃しません。

その劇的な動きから、子どもにも大人にも大人気で、食虫植物の入門種として親しまれています。原産は北アメリカ(アメリカ南東部)の、栄養の乏しい湿地。土から十分な栄養がとれない環境で生き抜くため、虫をとらえて栄養を補うように進化しました。そのため、育て方も一般の植物とは大きく異なります。

最大のコツは水やりで、鉢を水を張った受け皿に浸けっぱなしにする「腰水(こしみず)」で、用土を常に湿らせて育てます。このとき、水道水に含まれるミネラルを嫌うので、雨水や精製水を使うのが理想です。また、根から肥料を吸うと枯れてしまうため、肥料は絶対に与えません。

日光が大好きで、よく日に当てると葉が赤く色づき、わなも元気に育ちます。さらに、温帯性の植物なので、冬は寒さに当てて休眠させる必要があります。やや個性的な管理は必要ですが、虫をとらえる瞬間の感動は格別。仕組みを知って育てれば、長く付き合える、魅力あふれる食虫植物です。

分類
食虫植物 / 挟みわな(ハエトリソウ)
原産地
アメリカ
別名
ハエトリグサ、ディオネア、ハエジゴク、ヴィーナスフライトラップ
価格目安
鉢植えは800〜3000円

💡豆知識

ハエトリソウのわなが閉じる仕組みは、植物のなかでもとくに巧妙です。葉の内側には「感覚毛」と呼ばれる細い毛が数本あり、虫がこの毛に、短い時間のうちに2回続けて触れると、はじめてわなが閉じます。1回だけの刺激では閉じないのは、雨つぶやゴミなど、獲物でないものに反応して、むだにエネルギーを使わないための仕組みです。

さらに、閉じたあとも、中で獲物が動き続けて刺激が加わると、ぴったりと密閉して消化を始めますが、ゴミだったと判断すれば、数日で再び開きます。ひとつのわなが閉じたり開いたりできる回数には限りがあり、何度もむだに閉じさせると、その葉は黒くなって枯れてしまいます。

そのため、おもしろがって指で何度もつついて閉じさせるのは、株を弱らせる原因に。観賞は、自然に虫をとらえる様子を楽しむのが基本です。「ハエトリ」の名前どおり、ハエなどの小さな虫をとらえますが、無理にエサを与えなくても、日光と水の管理さえ正しければ、光合成で十分に育ちます。

Calendar

育成カレンダー

全国の月別育成カレンダー
作業 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
植え替え
3月は植え替え
開花
6月は開花
病害虫注意
7月は病害虫注意
12月は病害虫注意
関東の月別育成カレンダー
作業 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
植え替え
3月は植え替え
開花
6月は開花
病害虫注意
7月は病害虫注意
12月は病害虫注意
近畿の月別育成カレンダー
作業 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
植え替え
3月は植え替え
開花
6月は開花
病害虫注意
7月は病害虫注意
12月は病害虫注意

数字は月を表します。色帯のある月がその作業の適期です。上のタブで地域を切り替えられます。

At a glance

ひと目でわかる特徴

育てやすさ 普通
収穫・開花の早さ
手軽さ(コスト) やや高め

Specs

形態と環境条件

形態

草丈
5〜20cm
株張り
5〜15cm
花のサイズ
白い小花が長い花茎の先に咲く(初夏)

環境条件

日照
日なた
耐寒温度
-5℃
耐暑温度
35℃
土壌pH
4.0〜5.5
水やり
腰水で用土を常に湿らせる。雨水・精製水が理想。
肥料
不要(肥料は根を傷め厳禁)

How to grow

育て方ステップ

  1. 1

    置き場所を決める(日光が大好き)

    約7日

    ハエトリソウは、強い日光を大好きな食虫植物です。原産地の日当たりのよい湿地のように、できるだけよく日の当たる場所に置きましょう。屋外の、雨の当たるベランダや庭が理想的で、たっぷり日に当てると、わなの内側が鮮やかな赤色に色づき、株もがっしりと丈夫に育ちます。

    日照が不足すると、葉が間延びして緑色のまま弱々しくなり、わなも小さく元気がなくなります。室内で育てる場合は、一日を通してよく日が入る、明るい窓辺に置きますが、ガラス越しでは光が不足しがちなので、できるだけ屋外で育てるのがおすすめです。また、ハエトリソウは風通しのよい環境を好み、密閉された蒸れた場所では弱りやすいので、屋外の風の通る場所が向いています。

    生育に適した温度は、春から秋の生育期で20〜30度ほど。暑さにはある程度耐えますが、真夏の高温多湿で蒸れると傷むことがあるので、真夏は風通しを確保します。

    💡よく日に当てるとわなが赤く色づき丈夫に。屋外の風通しのよい場所が理想。日照不足は徒長。

  2. 2

    水やり(腰水で常に湿らせる)

    約30日

    ハエトリソウの水やりは、一般の植物とまったく違い、「腰水(こしみず)」で育てるのが基本です。腰水とは、鉢を、水を張った受け皿やトレーに浸けっぱなしにして、鉢底から水を吸わせ、用土を常に湿った状態に保つ方法。原産地が、いつも水のしみ出す湿地なので、土を乾かさないことが大切です。

    受け皿の水は、深さ1〜3cmほどをいつもためておき、なくなったら足します。とくに大切なのが水の種類で、ハエトリソウは水道水に含まれるカルシウムなどのミネラルを嫌い、これがたまると弱ってしまいます。理想は、雨水や、精製水(純水)、市販の軟水。

    どうしても水道水を使う場合は、ミネラルの少ないものを選びます。夏は水温が上がりすぎないよう、受け皿の水をこまめに替え、明るい日陰に避けるなどの工夫を。冬の休眠期は、生育期ほど水を必要としないので、腰水を浅くするか、用土が乾かない程度に控えめにします。

    💡腰水で用土を常に湿らせる。水は雨水・精製水が理想で、水道水のミネラルは嫌う。

  3. 3

    用土と植え替え(肥料は厳禁)

    約14日

    ハエトリソウには、栄養分のない、酸性の用土を使います。一般の培養土や、肥料の入った土を使うと、根が傷んで枯れてしまうので絶対に使いません。適した用土は、水苔(みずごけ)単用か、ピートモスに鹿沼土やパーライトを混ぜた、水もちがよく酸性で無肥料のもの。

    市販の「食虫植物の土」を使うのが手軽で確実です。鉢は、腰水で深さを保ちやすい、底穴のあるプラスチック鉢などが向きます。植え替えは、1〜2年に一度を目安に、生育の始まる早春(休眠明け)に行います。古い水苔や用土を落とし、傷んだ根を整理して、新しい用土に植え直します。

    水苔は時間がたつと分解して水はけや通気が悪くなるので、定期的な植え替えで新しくするのが、株を健康に保つコツです。繰り返しになりますが、肥料は根を傷めるので、植え替え時も肥料は混ぜません。栄養は、自然にとらえる虫と、日光による光合成で十分にまかなえます。植え替え後は、明るい場所で腰水管理に戻します。

    💡無肥料・酸性の水苔やピートモス系で。市販の食虫植物の土が手軽。肥料は絶対に与えない。

  4. 4

    わなとのつき合い方

    約30日

    ハエトリソウの最大の魅力が、虫をとらえるわなですが、つき合い方にはコツがあります。まず、おもしろがって指や棒でわなを何度もつついて閉じさせるのは厳禁です。わなを閉じるには大きなエネルギーを使い、ひとつのわなが開閉できる回数には限りがあります。

    むだに閉じさせると、その葉は黒くなって早く枯れてしまうので、観賞は、自然に虫がかかる様子を楽しむのが基本です。屋外で育てていれば、放っておいても自然に小さな虫をとらえるので、わざわざエサを与える必要はありません。日光と水の管理さえ正しければ、光合成で十分に育ちます。

    もし人工的にエサを与えたい場合も、生きた小さな虫を、ごくたまに与える程度にとどめ、肉や大きすぎる虫は、消化しきれずに葉を腐らせるので与えません。閉じたわなが黒くなってきたら、それは寿命なので、自然に枯れるのにまかせ、無理に取り除かなくても、新しい葉が次々と出てきます。仕組みを理解し、わなをいたわって育てるのが、長く楽しむ秘訣です。

    💡指で何度も閉じさせない(葉が早く枯れる)。屋外なら自然に虫をとらえ、エサやりは不要。

  5. 5

    冬の休眠と冬越し

    約120日

    ハエトリソウは、北アメリカの温帯に育つ植物なので、冬に寒さに当てて休眠させる必要があります。これは、ほかの多くの食虫植物(熱帯性のウツボカズラなど)と大きく違う点です。秋に気温が下がってくると、ハエトリソウは生育を止め、わなが小さくなって、地面に張りつくような姿で休眠に入ります。

    これは枯れたのではなく、冬を越すための自然な姿。休眠中は、室内の暖かい場所に取り込まず、屋外の、霜よけ程度はしつつも、しっかり寒さに当たる場所で越させるのが大切です。暖かい室内で冬を越させると、休眠できずに株が弱り、翌年の生育が悪くなったり、枯れてしまったりします。

    休眠期は、生育期ほど水を必要としないので、腰水を浅くするか、用土が乾かない程度に控えめにします。凍結が心配な地域では、軒下や、簡単な霜よけで保護しますが、あくまで「寒さに当てて休ませる」のが基本です。春になって暖かくなると、再び新しいわなを広げて生育を始めます。この冬の休眠を毎年きちんと与えることが、ハエトリソウを長生きさせる、いちばん大切なポイントです。

    💡温帯性なので冬は屋外で寒さに当てて休眠させる。暖かい室内で越冬させると弱る。

Checklist

育てる前のチェックリスト

  • ハエトリソウの苗(鉢)

    園芸店やホームセンターで手頃に入手できる。

    800〜3,000円
  • 食虫植物の土(水苔・ピートモス系)

    無肥料・酸性の専用用土。

    500〜1,500円
  • 腰水用の受け皿・トレー

    鉢を浸けて用土を湿らせる。

    100〜1,000円
  • 精製水・軟水 (任意)

    ミネラルの少ない水。雨水でも代用可。

    100〜500円
初期費用の目安(必須のみ) 1,400〜5,500円

Pests & Diseases

かかりやすい病害虫

害虫

アブラムシ

時々

症状: 新芽が縮れる、葉がべたつく、すす病を誘発。

予防: 風通しを良くし、窒素過多を避ける。シルバーマルチで忌避。

対処: 見つけ次第捕殺、牛乳スプレーや薬剤で防除。

病気

灰色かび病

時々

症状: 花弁や果実が褐変し灰色のカビに覆われる。

予防: 枯れ花をこまめに除去、密植を避ける。

対処: 罹病部を処分し殺菌剤を散布。

Common mistakes

失敗あるある TOP3

⚠ 水道水・肥料で弱って枯れる

葉が黒ずみ、株全体が弱って枯れます。

原因: 水道水のミネラルの蓄積、または肥料を与えた。

対策: 雨水・精製水で腰水管理し、肥料は一切与えません。

⚠ 冬に休眠できず弱る

翌春の生育が悪く、株が小さくなって枯れます。

原因: 暖かい室内で越冬させ、寒さによる休眠ができなかった。

対策: 冬は屋外で寒さに当てて休眠させます(霜よけ程度はする)。

⚠ 徒長・わなが赤くならない

葉が間延びして緑のまま、わなも小さく元気がありません。

原因: 日照不足。

対策: できるだけよく日の当たる屋外に移し、しっかり日に当てます。

FAQ

よくある質問

動きが楽しく人気ですが、腰水での水やり、肥料を与えないこと、冬に寒さで休眠させること、といった独特の管理を覚える必要があります。逆に言えば、これらのポイントさえ押さえれば丈夫で、初めての食虫植物としても楽しめます。とくに「水道水のミネラルを避ける」「肥料は厳禁」「冬は寒さに当てる」の3つが大切です。

鉢を水を張った受け皿に浸ける「腰水」で、用土を常に湿らせます。受け皿の水は深さ1〜3cmほどを保ち、なくなったら足します。水は、ミネラルの少ない雨水や精製水が理想で、水道水のカルシウムなどがたまると弱ります。乾かすと傷むので、生育期は水を切らさないようにします。

基本的に不要です。日光と水の管理が正しければ、光合成と、屋外で自然にとらえる虫で十分に育ちます。指でわなを何度も閉じさせると葉が早く枯れるので厳禁。どうしても与えるなら、生きた小さな虫をごくたまに程度にし、肉や大きな虫は消化できず葉を腐らせるので与えません。

いいえ、絶対に与えません。ハエトリソウは栄養の乏しい湿地に適応した植物で、根から肥料を吸うと傷んで枯れてしまいます。栄養は、とらえた虫と光合成でまかなうので、用土も肥料分のない酸性のもの(水苔やピートモス系)を使います。

温帯性の植物なので、冬は屋外で寒さに当てて休眠させます。秋に生育を止め、地面に張りつくような姿で休眠するのは自然なこと。暖かい室内に取り込むと休眠できず弱るので、霜よけ程度はしつつ屋外で越させます。この毎年の冬の休眠が、長生きの最大のコツです。

多くは寿命なので心配いりません。ひとつのわなには開閉できる回数の限りがあり、虫をとらえたり、何度も閉じたりすると、やがて黒くなって枯れます。これは自然なことで、株が元気なら新しい葉が次々と出てきます。むだに閉じさせると早く黒くなるので、わなはいたわって扱いましょう。

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