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植物図鑑
💮
花茎に蝶形の大輪を連ねて咲くコチョウラン(胡蝶蘭)
💮 洋ラン

コチョウラン

Phalaenopsis Moth orchid

やさしい 難易度2(5段階中): やさしい 💰 鉢植えは2000〜30000円

コチョウラン(胡蝶蘭)は、蝶が舞うような優雅な花を、長い花茎に連ねて咲かせる、洋ランの代表格です。開店祝いや就任祝い、お祝いごとの贈り物とし...

かんたんに言うと

コチョウラン(胡蝶蘭)は、長く咲く優雅な花が魅力の洋ランの代表格。熱帯の着生ランで、土でなく水苔やバークに植え、明るい半日陰・暖かい室内で育てます。水やりは植え込み材が乾いてからたっぷり、過湿の根腐れに注意。花後の切り方で二度咲きも。

Profile

基本情報

コチョウラン(胡蝶蘭)は、蝶が舞うような優雅な花を、長い花茎に連ねて咲かせる、洋ランの代表格です。開店祝いや就任祝い、お祝いごとの贈り物として、白や濃いピンクの大輪が定番として親しまれ、「幸福が飛んでくる」という花言葉とともに、もっとも格式の高い贈答花のひとつとされています。

花もちが非常によく、ひとたび咲くと、環境がよければ1〜3か月もの長いあいだ、咲き続けるのが大きな魅力です。コチョウランは、東南アジアの熱帯雨林などで、木の幹に着生して育つ「着生ラン」。地面の土に根を張るのではなく、空気中に根(気根)を伸ばして、樹皮や空気中の水分を吸って暮らします。

そのため、育て方も、ふつうの草花とは大きく異なり、土ではなく、水苔やバークに植え、根が呼吸できるようにします。熱帯生まれで寒さに弱く、冬も暖かい室内で管理するのが基本。明るい半日陰を好み、強い直射日光は葉焼けのもとになります。水やりは、植え込み材が乾いてからたっぷりと与え、いつも湿った状態にしないのがコツで、過湿による根腐れが、枯らす最大の原因です。

贈り物でもらった鉢を、上手に管理すれば、翌年以降も花を楽しめます。花が終わったあとの花茎の切り方しだいで、二度咲きも狙える、長く付き合える優雅なランです。

ラン科
分類
洋ラン / 着生ラン(胡蝶蘭・カトレアなど)
原産地
東南アジア、フィリピン、台湾
別名
胡蝶蘭、コチョウラン、ファレノプシス、モスオーキッド
価格目安
鉢植えは2000〜30000円

💡豆知識

コチョウランが、お祝いの贈り物の定番になっているのには、いくつかの理由があります。ひとつは、花もちがよく、長く咲き続けて見栄えがすること。もうひとつは、鉢植えで根が張っていることから「根づく=商売や物事が根づく」と縁起をかつげること。さらに、香りがほとんどなく、花粉も飛びにくいため、お店や病室など、人の集まる場所に置いても気をつかわせない、という実用面もあります。

胡蝶蘭の「胡蝶」は、ちょうちょのこと。花の姿が、蝶が群れて舞っているように見えることに由来します。野生のコチョウランは、東南アジアの森で、木の高いところに着生し、雨や霧、空気中の水分で生きています。根が緑色をしているのは、根にも葉緑素があって、光合成を行うため。

水を吸うと根が緑に、乾くと白っぽくなるので、根の色は水やりのタイミングの目安にもなります。最近は、小型で育てやすい「ミディ」「ミニ」胡蝶蘭も人気で、贈答用の大鉢だけでなく、自分で育てて楽しむ鉢花としても、親しまれるようになっています。

Calendar

育成カレンダー

全国の月別育成カレンダー
作業 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
植え替え
5月は植え替え
開花
3月は開花
追肥
6月は追肥
病害虫注意
8月は病害虫注意
関東の月別育成カレンダー
作業 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
植え替え
5月は植え替え
開花
3月は開花
追肥
6月は追肥
病害虫注意
8月は病害虫注意
近畿の月別育成カレンダー
作業 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
植え替え
5月は植え替え
開花
3月は開花
追肥
6月は追肥
病害虫注意
8月は病害虫注意

数字は月を表します。色帯のある月がその作業の適期です。上のタブで地域を切り替えられます。

At a glance

ひと目でわかる特徴

育てやすさ やさしい
収穫・開花の早さ
手軽さ(コスト) 高め

Specs

形態と環境条件

形態

草丈
30〜90cm
株張り
20〜50cm
花のサイズ
蝶形の大輪が花茎に連なって咲く(白・ピンクなど)

環境条件

日照
半日陰
耐寒温度
10℃
耐暑温度
33℃
土壌pH
5.0〜6.5
水やり
植え込み材(水苔・バーク)が乾いてからたっぷり。過湿は厳禁。
肥料
洋ラン用の液体肥料・置き肥

How to grow

育て方ステップ

  1. 1

    置き場所を決める(明るい半日陰・暖かく)

    約7日

    コチョウランは、熱帯の森で木に着生して育つランなので、強い直射日光が苦手です。直射に当てると、葉が黄色く焼けてしまうので、明るい半日陰、室内ならレースカーテン越しのやわらかい光が入る窓辺が理想的です。暗すぎる場所では、株が弱り、花も咲きにくくなるので、「直射は避けつつ、できるだけ明るく」を意識します。

    そして、コチョウランでとくに大切なのが暖かさ。熱帯生まれで寒さに弱く、生育に適した温度は18〜25度ほど。最低でも10度を下回らないようにし、冬も暖かい室内で管理します。気温が10度を下回ると、株が弱ったり、根腐れを起こしやすくなったりします。

    冬は、夜間に冷え込む窓ぎわを避け、暖房の風が直接当たる乾燥した場所も避けます。また、エアコンの冷気・暖気が直接当たる場所は、株を傷めるので注意。一年を通して、明るく、暖かく、風通しのよい室内が、コチョウランの好む環境です。贈り物でもらった鉢も、まずこうした場所に置くことが、長く楽しむ第一歩です。

    💡直射は葉焼け、暗所は花が減る。レース越しの明るい半日陰で、冬も10度以上の暖かい室内に。

  2. 2

    水やり(乾いてからたっぷり)

    約30日

    コチョウランの水やりは、「植え込み材が乾いてから、たっぷり与える」のが基本で、いつも湿った状態にしないことが、何より大切です。コチョウランは着生ランで、根が空気を好むため、植え込み材(水苔やバーク)が常に湿っていると、根が呼吸できずに腐ってしまいます。

    この「根腐れ」が、コチョウランを枯らす、最大の原因です。水やりの目安は、水苔植えなら、表面が乾いて白っぽくなり、軽くなったら。バーク植えなら、さらに乾きやすいので、乾いたのを確認してから。鉢の中まで乾いてから、鉢底から流れ出るまで、たっぷりと与えます。

    受け皿にたまった水は、必ず捨てます。頻度は、季節や植え込み材、置き場所で変わりますが、生育期の春〜秋で、おおむね週1回程度、冬は生育がゆるやかになるので、さらに控えめにします。コチョウランの根は、水を含むと緑色に、乾くと白っぽくなるので、根の色も水やりの目安になります。「乾かしてから、たっぷり」のメリハリを守れば、根腐れを防いで健康に育てられます。

    💡植え込み材が乾いてからたっぷり。常に湿らせない(根腐れの原因)。受け皿の水は捨てる。冬は控えめ。

  3. 3

    植え込み材と植え替え

    約14日

    コチョウランは、土ではなく、根が呼吸できる「水苔」か「バーク(樹皮のチップ)」に植えます。贈答用の鉢は、ラッピングされ、複数株が一つの鉢にまとめて入っていることが多いので、花が終わったら、株を分けて、それぞれ一株ずつ、適した鉢に植え替えると、長く健康に育てられます。

    植え替えの適期は、花が終わり、新しい根が動き出す、暖かくなった春(5〜6月)。古い植え込み材を、根を傷めないようにやさしく取り除き、黒く傷んだ根や枯れた根を整理して、新しい水苔やバークで植え直します。水苔植えは保水性が高く乾きにくいので、やや控えめの水やりに、バーク植えは乾きやすく根が呼吸しやすいので、慣れた人向き、という違いがあります。

    鉢は、根の量に合った、大きすぎないものを選ぶのがコツ。大きすぎる鉢は、植え込み材が乾きにくく、根腐れの原因になります。1〜2年に一度を目安に、植え込み材が古くなって傷む前に植え替えると、根の健康が保たれます。植え替え後は、しばらく直射と過湿を避けて管理します。

    💡土でなく水苔かバークに。贈答鉢は花後に一株ずつ植え替え。大きすぎる鉢は乾かず根腐れのもと。

  4. 4

    花を長く楽しむ・二度咲き

    約60日

    コチョウランの大きな魅力は、花もちのよさ。環境がよければ、1〜3か月もの長いあいだ、花を楽しめます。花を長くもたせるには、直射を避けた明るい場所で、暖かく、水のやりすぎに注意して管理するのが基本。花が咲いているあいだは、肥料は控えます。さらに、コチョウランの楽しみが「二度咲き」です。

    花が一通り咲き終わったあと、花茎(花のついていた茎)を、根元から切らずに、下のほうの「節」を2〜3個残して切ると、その節から、新しい花芽が伸びて、もう一度花を咲かせることがあります。株に体力があり、暖かく管理できる場合に向く方法です。一方、株を翌年に向けてしっかり充実させたい場合や、株が小さい場合は、花茎を根元近くで切って、株を休ませ、体力を回復させるほうがよいこともあります。

    花後の切り方は、株の状態と、二度咲きを狙うか、来年に力をためるか、目的に合わせて選びましょう。花が終わったあとも、葉と根を健康に保って育てれば、毎年のように花を楽しめます。

    💡花は1〜3か月と長もち。花後、花茎を節を2〜3残して切ると二度咲きを狙える。株が小さいなら根元で切り休ませる。

  5. 5

    冬越しと一年の管理・花を咲かせる

    約120日

    コチョウランは熱帯生まれで寒さに弱いので、冬越しが、毎年花を咲かせるうえで重要です。冬は、最低でも10度、できれば15度以上を保てる、暖かく明るい室内で管理します。10度を下回る寒さに当てると、株が弱り、根腐れや、葉の傷みを起こします。冬の水やりは、生育がゆるやかになるので、ぐっと控えめにし、乾かし気味に管理して、過湿による根腐れを防ぎます。

    暖房の乾燥には、葉に霧吹きをするなどして対応しますが、夜間の冷え込みには注意します。一年を通して見ると、よく生育する春から秋は、明るい半日陰で、植え込み材が乾いたらたっぷり水を与え、薄い液肥を時々施して、株を充実させます。じつは、コチョウランの花芽は、秋に、昼夜の温度差や、やや涼しい刺激を受けることで分化するといわれ、秋に最低気温が15〜18度ほどの、少し涼しい時期をしっかり経験させると、花芽がつきやすくなります。

    ただし寒さに当てすぎないよう、涼しくなったら、適切なタイミングで暖かい室内に取り込むのがポイント。この一年のリズムを整えれば、贈り物の鉢からも、毎年花を楽しめます。

    💡冬は10度以上(できれば15度)の暖かい室内で乾かし気味に。秋のやや涼しい刺激が花芽を促す(当てすぎ注意)。

Checklist

育てる前のチェックリスト

  • コチョウランの鉢

    株数・大きさ・品種で価格幅が大きい。

    2,000〜30,000円
  • 水苔またはバーク(植え込み材)

    植え替え用。根が呼吸できる素材。

    400〜1,500円
  • 素焼き鉢・プラ鉢 (任意)

    根の量に合った大きすぎないもの。

    300〜2,000円
  • 洋ラン用液体肥料 (任意)

    生育期に薄めて時々。

    500〜1,500円
初期費用の目安(必須のみ) 2,400〜31,500円

Pests & Diseases

かかりやすい病害虫

害虫

アブラムシ

まれ

症状: 新芽が縮れる、葉がべたつく、すす病を誘発。

予防: 風通しを良くし、窒素過多を避ける。シルバーマルチで忌避。

対処: 見つけ次第捕殺、牛乳スプレーや薬剤で防除。

害虫

ハダニ

時々

症状: 葉に白いかすり状の斑点、ひどいと葉が枯れる。

予防: 葉裏への葉水で乾燥を防ぐ。

対処: 葉裏への葉水を継続し、専用の殺ダニ剤を使用する。

Common mistakes

失敗あるある TOP3

⚠ 過湿・土植えで根腐れ

根が黒く軟らかくなり、葉がしわしわ・黄色くなります。

原因: 水のやりすぎ、常に湿った状態、土植えや大きすぎる鉢。

対策: 水苔・バークに植え、乾いてからたっぷり水やり。受け皿の水は捨てます。

⚠ 冬の寒さで株が弱る

葉が傷み、株全体が弱って枯れます。

原因: 10度を下回る寒さに当てた。

対策: 冬は10度以上(できれば15度)の暖かい室内で管理します。

⚠ 葉焼け

葉が黄色や茶色に焼けて傷みます。

原因: 強い直射日光に当てた。

対策: レースカーテン越しなど、明るい半日陰に移します。

FAQ

よくある質問

まず、直射日光を避けた明るい半日陰の、暖かい室内に置きます。贈答用は複数株が一鉢にまとめられ、水苔で根元が包まれていることが多いので、花が終わったら、株を分けて一株ずつ植え替えると長持ちします。水やりは植え込み材が乾いてからたっぷり、受け皿の水は捨てます。過湿の根腐れに注意すれば、翌年も花を楽しめます。

植え込み材(水苔・バーク)が乾いてから、鉢底から流れ出るまでたっぷり与えます。常に湿った状態は根腐れのもとなので避けます。目安は生育期で週1回程度、冬はさらに控えめに。根が緑なら水分あり、白っぽければ乾いたサインで、根の色も目安になります。受け皿の水は必ず捨てます。

もっとも多いのが、水のやりすぎや、土植え・大きすぎる鉢による「根腐れ」です。着生ランなので根が呼吸できないと腐ります。植え込み材が乾いてから水を与え、受け皿の水は捨てましょう。次に多いのが、冬の寒さ(10度以下)と、強い直射による葉焼けです。

目的によります。二度咲きを狙うなら、花茎の下のほうの節を2〜3個残して切ると、その節から新しい花芽が伸びることがあります(株に体力があり暖かい場合)。株を翌年に向けて充実させたい、株が小さい場合は、花茎を根元近くで切って株を休ませます。いずれも、葉と根を健康に保つことが、翌年の開花につながります。

春から秋に明るい半日陰でよく育てて株を充実させ、秋に最低気温15〜18度ほどの、少し涼しい刺激を経験させると、花芽がつきやすくなります。ただし寒さに当てすぎないよう、涼しくなったら暖かい室内に取り込みます。冬は10度以上を保ち乾かし気味に管理。この一年のリズムが毎年の開花のコツです。

いいえ、ふつうの土には植えません。コチョウランは木に着生するランで、根が呼吸を必要とするため、土に植えると過湿で根腐れします。根が呼吸できる「水苔」か「バーク(樹皮チップ)」に植えます。鉢も、根の量に合った大きすぎないものを選ぶのが、根腐れを防ぐコツです。

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