ハイゴケ
Hypnum Hypnum moss
ハイゴケは、地面や石の上を、はうように横へ横へと広がって育つ、もっとも身近で丈夫なコケのひとつです。名前のとおり「這う(はう)」性質をもち、...
かんたんに言うと
ハイゴケは、はうように広がる丈夫で扱いやすいコケ。苔庭・苔玉・テラリウムの定番です。根がなく体全体で水を吸うので、直射を避けた明るい日陰で、霧吹きで湿り気を保ちます。乾燥に比較的強いですが、蒸れとカビを防ぐ風通しが美しく育てるコツ。
Profile
基本情報
ハイゴケは、地面や石の上を、はうように横へ横へと広がって育つ、もっとも身近で丈夫なコケのひとつです。名前のとおり「這う(はう)」性質をもち、マット状にびっしりと広がるので、苔庭や、鉢の表面を覆うグランドカバー、苔玉、テラリウムなど、幅広い用途で使われる、コケ栽培の定番です。
明るい黄緑色のやわらかな葉が、絨毯のように一面に広がる姿は、見ているだけで心が落ち着きます。コケは、私たちがよく知る、花を咲かせる植物とはまったく違う「コケ植物」の仲間。根がなく、かわりに「仮根(かこん)」という細い毛で、地面や石に体を固定し、水分や養分は、根からではなく、葉や茎の表面全体から、直接吸収します。
そのため、育て方も、ふつうの植物とは大きく異なります。ハイゴケは、コケのなかでも、とくに環境への適応力が高く、日なたから半日陰まで、ある程度の乾燥にも耐える、丈夫さが魅力。これから苔づくりを始める人の、最初の一種として最適です。育て方の基本は、直射日光を避けた明るい場所に置き、霧吹きで適度に湿り気を保つこと。
乾燥にも比較的強いですが、乾湿のメリハリと、蒸れ・カビを防ぐ風通しが、美しく育てるコツです。丈夫で広がりやすく、扱いやすいハイゴケは、苔庭から小さなテラリウムまで、コケのある暮らしへの、心強い入門種です。
💡豆知識
コケは、植物の進化のうえで、とても古い時代に現れた、原始的な陸上植物の仲間です。約4億年以上前、植物が初めて水中から陸へ上がったころの姿を、いまに伝える生き証人ともいわれます。根や、水を運ぶ管(維管束)が発達していないため、体を大きくできず、低く小さく育ちますが、その分、体全体で水分を吸い、乾燥すると活動を止めて休み、水を得ると再び生き返る、という、たくましい生き方を身につけました。
ハイゴケのようなコケが乾いてちりちりになっても、水をかけると、見る間に緑がよみがえるのは、このためです。日本は、雨が多く湿度が高い気候から、世界でも有数の「コケ大国」で、1700種以上ものコケが知られ、古くから、苔むした庭や石に「わびさび」の美を見いだし、愛でてきました。
京都の苔寺(西芳寺)をはじめ、苔庭は日本文化の象徴のひとつ。近年は、ガラス容器でコケを育てる「苔テラリウム」が、手軽な癒やしとして人気を集め、ハイゴケは、その扱いやすさから、テラリウムでもよく使われています。
Calendar
育成カレンダー
| 作業 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 植え付け | 4月は植え付け | |||||||||||
| 植え替え | 9月は植え替え | |||||||||||
| 病害虫注意 | 6月は病害虫注意 | 8月は病害虫注意 |
| 作業 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
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| 植え付け | 4月は植え付け | |||||||||||
| 植え替え | 9月は植え替え | |||||||||||
| 病害虫注意 | 6月は病害虫注意 | 8月は病害虫注意 |
| 作業 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
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| 植え付け | 4月は植え付け | |||||||||||
| 植え替え | 9月は植え替え | |||||||||||
| 病害虫注意 | 6月は病害虫注意 | 8月は病害虫注意 |
数字は月を表します。色帯のある月がその作業の適期です。上のタブで地域を切り替えられます。
At a glance
ひと目でわかる特徴
Specs
形態と環境条件
形態
- 草丈
- 1〜5cm
- 株張り
- 10〜100cm
環境条件
- 日照
- 日陰
- 耐寒温度
- -10℃
- 耐暑温度
- 35℃
- 土壌pH
- 5.0〜6.5
- 水やり
- 霧吹きで湿り気を保つ。乾湿のメリハリをつけ、常時濡れにしない。
- 肥料
- 基本不要(コケは肥料をほとんど必要としない)
How to grow
育て方ステップ
-
1
置き場所を決める(明るい日陰)
約7日ハイゴケを育てる置き場所の基本は、「直射日光の当たらない、明るい日陰」です。コケは、強い直射日光に当たると、葉が焼けて茶色く傷んだり、すぐに乾燥して傷んだりするので、真夏の直射は禁物。かといって、暗すぎる場所では、光合成ができずに弱り、間延びしたり、色が悪くなったりします。
屋外なら、建物の北側や、木もれ日の差す半日陰、軒下など、やわらかい光が届く明るい日陰が理想的。ハイゴケは、コケのなかでは比較的、明るさや乾燥に耐えるので、ある程度日の当たる場所でも育ちますが、それでも、強い直射は避けます。室内のテラリウムで育てる場合は、レースカーテン越しの明るい窓辺や、植物育成ライトの光を当てます。
コケにとって、もうひとつ大切なのが「風通し」。空気がよどんで蒸れると、カビが発生しやすくなるので、屋外でもテラリウムでも、適度に空気が動く環境を心がけます。明るい日陰と、ほどよい風通し。この二つが、ハイゴケを美しく保つ、置き場所の基本です。
💡直射は避け、明るい日陰へ。暗すぎても弱る。蒸れ・カビ防止に風通しも大切。
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2
水やり(霧吹きでメリハリ)
約30日コケには根がなく、葉や茎の表面全体から水分を吸収するので、水やりは、霧吹き(ミスティング)で、コケの表面を、まんべんなく湿らせるのが基本です。ハイゴケは、乾燥に比較的強いとはいえ、生き生きと育てるには、適度な湿り気が必要。表面が乾いてきたら、霧吹きで、コケ全体がしっとり濡れるまで、たっぷりと水を与えます。
ここで大切なのが、「乾湿のメリハリ」です。コケは、常にびしょびしょに濡れた状態が続くと、かえって蒸れて、カビが生えたり、傷んだりします。「湿らせたら、いったん表面が乾くまで待ち、また湿らせる」という、乾と湿のリズムをつくることが、健康に育てるコツ。
とくに、ハイゴケのような丈夫なコケは、少し乾かし気味のほうが、蒸れを防げます。屋外では、雨や朝露で自然に湿るので、乾燥が続くときに補う程度でよく、乾いてちりちりになっても、水をかければ緑がよみがえります。テラリウムなどの密閉ぎみの容器では、湿度がこもりやすいので、水のやりすぎに注意し、ときどき換気して、過湿と蒸れを防ぎます。水は、できれば、ミネラルの少ない雨水や軟水が向きます。
💡霧吹きで表面を湿らせる。常時濡れにせず、乾いたら湿らせる乾湿のメリハリが大切。テラリウムは過湿注意。
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3
植える・活着させる
約21日ハイゴケを庭や鉢、テラリウムに定着させるには、いくつかの方法があります。いちばん手軽なのは、マット状のハイゴケを、そのまま、湿らせた土(赤玉土や、市販の苔・テラリウム用の土など、水もちと水はけのよいもの)の上に、ぴったりと押しつけるように置く「貼り苔(はりごけ)」。
すき間ができないよう密着させ、上から霧吹きで湿らせて、しばらく乾かさないように管理すると、仮根が土に張りついて、活着します。広い面積を覆いたいときや、コケをふやしたいときは、ハイゴケを細かくちぎって、土の上にぱらぱらとまく「まき苔(まきごけ)」という方法も。
まいたコケの上に、薄く土をかけて、乾かさないように管理すると、やがて、まいた断片から新しいコケが育って、一面に広がります。テラリウムの場合は、容器の底に、軽石や土の層をつくり、その上に、湿らせたコケを配置して、レイアウトを楽しみます。いずれの方法でも、活着するまでの最初の数週間は、とくに乾かさないよう、湿り気を保つことが大切。根づいて広がり始めれば、あとは丈夫に育ちます。
💡マットを密着させる貼り苔か、ちぎってまくまき苔で定着。活着まで乾かさないのがコツ。
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4
蒸れ・カビを防いで美しく保つ
約30日コケを美しく保つうえで、最大の敵が「蒸れ」と「カビ」です。とくに、湿度が高く気温も高い梅雨や夏は、コケが蒸れて、茶色く傷んだり、白や灰色のカビが生えたりしやすい時期。これを防ぐ、いちばんの対策が「風通し」です。屋外では、空気がよどまない、風の通る場所に置き、テラリウムでは、密閉しすぎず、ときどきふたを開けて換気をします。
前述の「乾湿のメリハリ」も、蒸れ防止に効果的で、常に濡らしっぱなしにせず、表面が乾く時間をつくります。もし、白や灰色のカビが生えてしまったら、早めに、その部分のコケを取り除くか、カビをやさしく拭き取って、換気を強め、水やりを控えめにします。
落ち葉やゴミがコケの上にたまると、その下が蒸れて傷むので、こまめに取り除きます。また、夏の高温で弱りやすいので、夏は、より涼しく風通しのよい場所に移すと安心です。コケは、適切な環境では、ほとんど手間がかからず、長く美しさを保ちますが、「蒸れとカビをいかに防ぐか」が、上手に育てる、いちばんのポイントになります。
💡蒸れとカビが最大の敵。風通しを確保し、テラリウムは換気、乾湿のメリハリを。カビは早めに除く。
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5
ふやし方と一年の管理
約120日ハイゴケは、丈夫で広がりやすいので、ふやすのも簡単です。前述の「まき苔」のように、元気なコケを細かくちぎって、湿らせた土の上にまき、乾かさないように管理すれば、断片から新しいコケが育って、どんどん広がります。広がったコケは、はがして、別の場所に貼ったり、まいたりして、苔庭を広げたり、新しいテラリウムをつくったりできます。
一年を通して見ると、ハイゴケは、コケのなかでは丈夫で、屋外なら、冬の寒さにも、夏の暑さにも、比較的よく耐えます。よく育つのは、気温が穏やかで、湿度も保たれる、春と秋。この時期は、生き生きと緑が濃くなり、貼り苔やまき苔で広げるのにも適しています。
注意が必要なのは、前述の、蒸れやすい梅雨〜夏と、空気が乾燥する冬。夏は、涼しく風通しのよい場所で蒸れを防ぎ、冬は、屋外では乾燥や霜で傷むことがあるので、乾燥が続くときは霧吹きで湿り気を補います。テラリウムなら、室内で、一年を通して、安定した環境を保ちやすいので、季節を問わず楽しめます。肥料は基本的に不要で、与えると、コケより藻やカビが増えることがあるので、水と光、風通しの管理だけで、じゅうぶん美しく育ちます。
💡ちぎってまくだけで簡単にふえる。春と秋によく育つ。夏の蒸れと冬の乾燥に注意。肥料は基本不要。
Checklist
育てる前のチェックリスト
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✓400〜2,000円
ハイゴケ(マット・パック)
園芸店・通販で手頃に入手できる。
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○300〜1,000円
苔・テラリウム用の土(赤玉土など) (任意)
水もちと水はけのよい用土。
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✓200〜800円
霧吹き
水やりに必須。
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○500〜3,000円
ガラス容器(テラリウム用) (任意)
テラリウムで楽しむ場合に。
Pests & Diseases
かかりやすい病害虫
灰色かび病
時々症状: 花弁や果実が褐変し灰色のカビに覆われる。
予防: 枯れ花をこまめに除去、密植を避ける。
対処: 罹病部を処分し殺菌剤を散布。
ナメクジ
時々症状: 不規則な食害痕とテカった粘液の跡。
予防: 鉢の下など隠れ家を減らし乾燥を保つ。
対処: 夜間に捕殺、誘殺剤を設置。
Common mistakes
失敗あるある TOP3
⚠ 蒸れ・過湿でカビが生え傷む
白や灰色のカビが生え、コケが茶色く傷みます。
原因: 常に濡れた状態、風通し不足、梅雨〜夏の高温多湿。
対策: 風通しを確保し乾湿のメリハリをつけ、カビは早めに除き換気します。
⚠ 直射日光で葉焼け・乾燥
コケが茶色く焼けて、ぱさぱさに乾いて傷みます。
原因: 強い直射日光、急な乾燥。
対策: 直射を避けた明るい日陰に移し、霧吹きで湿り気を補います。
⚠ 暗すぎて弱る・間延びする
色が悪くなり、ひょろひょろと間延びします。
原因: 光不足。
対策: 直射は避けつつ、明るい日陰や窓辺、ライトの光を当てます。
FAQ
よくある質問
はい、ハイゴケはコケのなかでもとくに丈夫で、乾燥や環境の変化に比較的強く、扱いやすいので、苔づくりの入門に最適です。直射を避けた明るい日陰に置き、霧吹きで湿り気を保ち、蒸れとカビを防ぐ風通しを確保する、という基本を守れば、苔庭でもテラリウムでも、初めてでも育てられます。
コケには根がなく体全体で水を吸うので、霧吹きで表面をまんべんなく湿らせます。大切なのは乾湿のメリハリで、常にびしょびしょだと蒸れてカビるので、湿らせたら一度表面が乾くまで待ち、また湿らせます。ハイゴケは乾燥に比較的強く、乾いてちりちりでも水をかければ緑がよみがえります。テラリウムは過湿に注意します。
光合成をするので、ある程度の明るさは必要ですが、強い直射日光は葉焼けや乾燥で傷むので避けます。建物の北側や木もれ日の半日陰など、直射の当たらない明るい日陰が理想です。暗すぎても弱るので、室内なら明るい窓辺やライトの光を当てます。
蒸れが原因です。とくに梅雨〜夏は蒸れやすく、白や灰色のカビが出ます。カビた部分のコケを取り除くか、やさしく拭き取り、風通しを強め、水やりを控えめにします。予防には、風通しの確保、テラリウムの換気、乾湿のメリハリ、落ち葉やゴミの除去が効果的です。
元気なコケを細かくちぎって、湿らせた土の上にぱらぱらとまく「まき苔」で、簡単にふえます。乾かさないように管理すると、断片から新しいコケが育って広がります。マットのまま土に密着させる「貼り苔」でも定着します。広がったら、はがして別の場所に使えます。
コケは肥料をほとんど必要としないので、基本的に与えません。むしろ肥料を与えると、その養分でコケより藻やカビが増えて、コケが負けてしまうことがあります。水と光、風通しの管理だけで、じゅうぶん美しく育つのが、コケのよいところです。
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