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植物図鑑
🍃
マット状に広がる黄緑色のハイゴケ
🍃 苔・テラリウム

ハイゴケ

Hypnum Hypnum moss

やさしい 難易度2(5段階中): やさしい 💰 鉢植えは400〜2000円

ハイゴケは、地面や石の上を、はうように横へ横へと広がって育つ、もっとも身近で丈夫なコケのひとつです。名前のとおり「這う(はう)」性質をもち、...

かんたんに言うと

ハイゴケは、はうように広がる丈夫で扱いやすいコケ。苔庭・苔玉・テラリウムの定番です。根がなく体全体で水を吸うので、直射を避けた明るい日陰で、霧吹きで湿り気を保ちます。乾燥に比較的強いですが、蒸れとカビを防ぐ風通しが美しく育てるコツ。

Profile

基本情報

ハイゴケは、地面や石の上を、はうように横へ横へと広がって育つ、もっとも身近で丈夫なコケのひとつです。名前のとおり「這う(はう)」性質をもち、マット状にびっしりと広がるので、苔庭や、鉢の表面を覆うグランドカバー、苔玉、テラリウムなど、幅広い用途で使われる、コケ栽培の定番です。

明るい黄緑色のやわらかな葉が、絨毯のように一面に広がる姿は、見ているだけで心が落ち着きます。コケは、私たちがよく知る、花を咲かせる植物とはまったく違う「コケ植物」の仲間。根がなく、かわりに「仮根(かこん)」という細い毛で、地面や石に体を固定し、水分や養分は、根からではなく、葉や茎の表面全体から、直接吸収します。

そのため、育て方も、ふつうの植物とは大きく異なります。ハイゴケは、コケのなかでも、とくに環境への適応力が高く、日なたから半日陰まで、ある程度の乾燥にも耐える、丈夫さが魅力。これから苔づくりを始める人の、最初の一種として最適です。育て方の基本は、直射日光を避けた明るい場所に置き、霧吹きで適度に湿り気を保つこと。

乾燥にも比較的強いですが、乾湿のメリハリと、蒸れ・カビを防ぐ風通しが、美しく育てるコツです。丈夫で広がりやすく、扱いやすいハイゴケは、苔庭から小さなテラリウムまで、コケのある暮らしへの、心強い入門種です。

分類
苔・テラリウム / 苔庭・屋外向き
原産地
日本、世界各地
別名
ハイゴケ、這苔、ハイゴケ類、シートモス
適期
植え付けは4月
価格目安
鉢植えは400〜2000円

💡豆知識

コケは、植物の進化のうえで、とても古い時代に現れた、原始的な陸上植物の仲間です。約4億年以上前、植物が初めて水中から陸へ上がったころの姿を、いまに伝える生き証人ともいわれます。根や、水を運ぶ管(維管束)が発達していないため、体を大きくできず、低く小さく育ちますが、その分、体全体で水分を吸い、乾燥すると活動を止めて休み、水を得ると再び生き返る、という、たくましい生き方を身につけました。

ハイゴケのようなコケが乾いてちりちりになっても、水をかけると、見る間に緑がよみがえるのは、このためです。日本は、雨が多く湿度が高い気候から、世界でも有数の「コケ大国」で、1700種以上ものコケが知られ、古くから、苔むした庭や石に「わびさび」の美を見いだし、愛でてきました。

京都の苔寺(西芳寺)をはじめ、苔庭は日本文化の象徴のひとつ。近年は、ガラス容器でコケを育てる「苔テラリウム」が、手軽な癒やしとして人気を集め、ハイゴケは、その扱いやすさから、テラリウムでもよく使われています。

Calendar

育成カレンダー

全国の月別育成カレンダー
作業 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
植え付け
4月は植え付け
植え替え
9月は植え替え
病害虫注意
6月は病害虫注意
8月は病害虫注意
関東の月別育成カレンダー
作業 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
植え付け
4月は植え付け
植え替え
9月は植え替え
病害虫注意
6月は病害虫注意
8月は病害虫注意
近畿の月別育成カレンダー
作業 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
植え付け
4月は植え付け
植え替え
9月は植え替え
病害虫注意
6月は病害虫注意
8月は病害虫注意

数字は月を表します。色帯のある月がその作業の適期です。上のタブで地域を切り替えられます。

At a glance

ひと目でわかる特徴

育てやすさ やさしい
収穫・開花の早さ
手軽さ(コスト) ほどほど

Specs

形態と環境条件

形態

草丈
1〜5cm
株張り
10〜100cm

環境条件

日照
日陰
耐寒温度
-10℃
耐暑温度
35℃
土壌pH
5.0〜6.5
水やり
霧吹きで湿り気を保つ。乾湿のメリハリをつけ、常時濡れにしない。
肥料
基本不要(コケは肥料をほとんど必要としない)

How to grow

育て方ステップ

  1. 1

    置き場所を決める(明るい日陰)

    約7日

    ハイゴケを育てる置き場所の基本は、「直射日光の当たらない、明るい日陰」です。コケは、強い直射日光に当たると、葉が焼けて茶色く傷んだり、すぐに乾燥して傷んだりするので、真夏の直射は禁物。かといって、暗すぎる場所では、光合成ができずに弱り、間延びしたり、色が悪くなったりします。

    屋外なら、建物の北側や、木もれ日の差す半日陰、軒下など、やわらかい光が届く明るい日陰が理想的。ハイゴケは、コケのなかでは比較的、明るさや乾燥に耐えるので、ある程度日の当たる場所でも育ちますが、それでも、強い直射は避けます。室内のテラリウムで育てる場合は、レースカーテン越しの明るい窓辺や、植物育成ライトの光を当てます。

    コケにとって、もうひとつ大切なのが「風通し」。空気がよどんで蒸れると、カビが発生しやすくなるので、屋外でもテラリウムでも、適度に空気が動く環境を心がけます。明るい日陰と、ほどよい風通し。この二つが、ハイゴケを美しく保つ、置き場所の基本です。

    💡直射は避け、明るい日陰へ。暗すぎても弱る。蒸れ・カビ防止に風通しも大切。

  2. 2

    水やり(霧吹きでメリハリ)

    約30日

    コケには根がなく、葉や茎の表面全体から水分を吸収するので、水やりは、霧吹き(ミスティング)で、コケの表面を、まんべんなく湿らせるのが基本です。ハイゴケは、乾燥に比較的強いとはいえ、生き生きと育てるには、適度な湿り気が必要。表面が乾いてきたら、霧吹きで、コケ全体がしっとり濡れるまで、たっぷりと水を与えます。

    ここで大切なのが、「乾湿のメリハリ」です。コケは、常にびしょびしょに濡れた状態が続くと、かえって蒸れて、カビが生えたり、傷んだりします。「湿らせたら、いったん表面が乾くまで待ち、また湿らせる」という、乾と湿のリズムをつくることが、健康に育てるコツ。

    とくに、ハイゴケのような丈夫なコケは、少し乾かし気味のほうが、蒸れを防げます。屋外では、雨や朝露で自然に湿るので、乾燥が続くときに補う程度でよく、乾いてちりちりになっても、水をかければ緑がよみがえります。テラリウムなどの密閉ぎみの容器では、湿度がこもりやすいので、水のやりすぎに注意し、ときどき換気して、過湿と蒸れを防ぎます。水は、できれば、ミネラルの少ない雨水や軟水が向きます。

    💡霧吹きで表面を湿らせる。常時濡れにせず、乾いたら湿らせる乾湿のメリハリが大切。テラリウムは過湿注意。

  3. 3

    植える・活着させる

    約21日

    ハイゴケを庭や鉢、テラリウムに定着させるには、いくつかの方法があります。いちばん手軽なのは、マット状のハイゴケを、そのまま、湿らせた土(赤玉土や、市販の苔・テラリウム用の土など、水もちと水はけのよいもの)の上に、ぴったりと押しつけるように置く「貼り苔(はりごけ)」。

    すき間ができないよう密着させ、上から霧吹きで湿らせて、しばらく乾かさないように管理すると、仮根が土に張りついて、活着します。広い面積を覆いたいときや、コケをふやしたいときは、ハイゴケを細かくちぎって、土の上にぱらぱらとまく「まき苔(まきごけ)」という方法も。

    まいたコケの上に、薄く土をかけて、乾かさないように管理すると、やがて、まいた断片から新しいコケが育って、一面に広がります。テラリウムの場合は、容器の底に、軽石や土の層をつくり、その上に、湿らせたコケを配置して、レイアウトを楽しみます。いずれの方法でも、活着するまでの最初の数週間は、とくに乾かさないよう、湿り気を保つことが大切。根づいて広がり始めれば、あとは丈夫に育ちます。

    💡マットを密着させる貼り苔か、ちぎってまくまき苔で定着。活着まで乾かさないのがコツ。

  4. 4

    蒸れ・カビを防いで美しく保つ

    約30日

    コケを美しく保つうえで、最大の敵が「蒸れ」と「カビ」です。とくに、湿度が高く気温も高い梅雨や夏は、コケが蒸れて、茶色く傷んだり、白や灰色のカビが生えたりしやすい時期。これを防ぐ、いちばんの対策が「風通し」です。屋外では、空気がよどまない、風の通る場所に置き、テラリウムでは、密閉しすぎず、ときどきふたを開けて換気をします。

    前述の「乾湿のメリハリ」も、蒸れ防止に効果的で、常に濡らしっぱなしにせず、表面が乾く時間をつくります。もし、白や灰色のカビが生えてしまったら、早めに、その部分のコケを取り除くか、カビをやさしく拭き取って、換気を強め、水やりを控えめにします。

    落ち葉やゴミがコケの上にたまると、その下が蒸れて傷むので、こまめに取り除きます。また、夏の高温で弱りやすいので、夏は、より涼しく風通しのよい場所に移すと安心です。コケは、適切な環境では、ほとんど手間がかからず、長く美しさを保ちますが、「蒸れとカビをいかに防ぐか」が、上手に育てる、いちばんのポイントになります。

    💡蒸れとカビが最大の敵。風通しを確保し、テラリウムは換気、乾湿のメリハリを。カビは早めに除く。

  5. 5

    ふやし方と一年の管理

    約120日

    ハイゴケは、丈夫で広がりやすいので、ふやすのも簡単です。前述の「まき苔」のように、元気なコケを細かくちぎって、湿らせた土の上にまき、乾かさないように管理すれば、断片から新しいコケが育って、どんどん広がります。広がったコケは、はがして、別の場所に貼ったり、まいたりして、苔庭を広げたり、新しいテラリウムをつくったりできます。

    一年を通して見ると、ハイゴケは、コケのなかでは丈夫で、屋外なら、冬の寒さにも、夏の暑さにも、比較的よく耐えます。よく育つのは、気温が穏やかで、湿度も保たれる、春と秋。この時期は、生き生きと緑が濃くなり、貼り苔やまき苔で広げるのにも適しています。

    注意が必要なのは、前述の、蒸れやすい梅雨〜夏と、空気が乾燥する冬。夏は、涼しく風通しのよい場所で蒸れを防ぎ、冬は、屋外では乾燥や霜で傷むことがあるので、乾燥が続くときは霧吹きで湿り気を補います。テラリウムなら、室内で、一年を通して、安定した環境を保ちやすいので、季節を問わず楽しめます。肥料は基本的に不要で、与えると、コケより藻やカビが増えることがあるので、水と光、風通しの管理だけで、じゅうぶん美しく育ちます。

    💡ちぎってまくだけで簡単にふえる。春と秋によく育つ。夏の蒸れと冬の乾燥に注意。肥料は基本不要。

Checklist

育てる前のチェックリスト

  • ハイゴケ(マット・パック)

    園芸店・通販で手頃に入手できる。

    400〜2,000円
  • 苔・テラリウム用の土(赤玉土など) (任意)

    水もちと水はけのよい用土。

    300〜1,000円
  • 霧吹き

    水やりに必須。

    200〜800円
  • ガラス容器(テラリウム用) (任意)

    テラリウムで楽しむ場合に。

    500〜3,000円
初期費用の目安(必須のみ) 600〜2,800円

Pests & Diseases

かかりやすい病害虫

病気

灰色かび病

時々

症状: 花弁や果実が褐変し灰色のカビに覆われる。

予防: 枯れ花をこまめに除去、密植を避ける。

対処: 罹病部を処分し殺菌剤を散布。

害虫

ナメクジ

時々

症状: 不規則な食害痕とテカった粘液の跡。

予防: 鉢の下など隠れ家を減らし乾燥を保つ。

対処: 夜間に捕殺、誘殺剤を設置。

Common mistakes

失敗あるある TOP3

⚠ 蒸れ・過湿でカビが生え傷む

白や灰色のカビが生え、コケが茶色く傷みます。

原因: 常に濡れた状態、風通し不足、梅雨〜夏の高温多湿。

対策: 風通しを確保し乾湿のメリハリをつけ、カビは早めに除き換気します。

⚠ 直射日光で葉焼け・乾燥

コケが茶色く焼けて、ぱさぱさに乾いて傷みます。

原因: 強い直射日光、急な乾燥。

対策: 直射を避けた明るい日陰に移し、霧吹きで湿り気を補います。

⚠ 暗すぎて弱る・間延びする

色が悪くなり、ひょろひょろと間延びします。

原因: 光不足。

対策: 直射は避けつつ、明るい日陰や窓辺、ライトの光を当てます。

FAQ

よくある質問

はい、ハイゴケはコケのなかでもとくに丈夫で、乾燥や環境の変化に比較的強く、扱いやすいので、苔づくりの入門に最適です。直射を避けた明るい日陰に置き、霧吹きで湿り気を保ち、蒸れとカビを防ぐ風通しを確保する、という基本を守れば、苔庭でもテラリウムでも、初めてでも育てられます。

コケには根がなく体全体で水を吸うので、霧吹きで表面をまんべんなく湿らせます。大切なのは乾湿のメリハリで、常にびしょびしょだと蒸れてカビるので、湿らせたら一度表面が乾くまで待ち、また湿らせます。ハイゴケは乾燥に比較的強く、乾いてちりちりでも水をかければ緑がよみがえります。テラリウムは過湿に注意します。

光合成をするので、ある程度の明るさは必要ですが、強い直射日光は葉焼けや乾燥で傷むので避けます。建物の北側や木もれ日の半日陰など、直射の当たらない明るい日陰が理想です。暗すぎても弱るので、室内なら明るい窓辺やライトの光を当てます。

蒸れが原因です。とくに梅雨〜夏は蒸れやすく、白や灰色のカビが出ます。カビた部分のコケを取り除くか、やさしく拭き取り、風通しを強め、水やりを控えめにします。予防には、風通しの確保、テラリウムの換気、乾湿のメリハリ、落ち葉やゴミの除去が効果的です。

元気なコケを細かくちぎって、湿らせた土の上にぱらぱらとまく「まき苔」で、簡単にふえます。乾かさないように管理すると、断片から新しいコケが育って広がります。マットのまま土に密着させる「貼り苔」でも定着します。広がったら、はがして別の場所に使えます。

コケは肥料をほとんど必要としないので、基本的に与えません。むしろ肥料を与えると、その養分でコケより藻やカビが増えて、コケが負けてしまうことがあります。水と光、風通しの管理だけで、じゅうぶん美しく育つのが、コケのよいところです。

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