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植物図鑑
🍃
緑のクッションから丸い玉状の胞子体を立ち上げたタマゴケ
🍃 苔・テラリウム

タマゴケ

Bartramia pomiformis Apple moss

普通 難易度3(5段階中): 普通 💰 鉢植えは500〜2500円

タマゴケは、細い葉が密に集まって、こんもりとした明るい緑のクッションをつくり、春になると、丸い玉のような「胞子体(ほうしたい)」を、たくさん...

かんたんに言うと

タマゴケ(アップルモス)は、春に丸い玉のような胞子体を立ち上げる愛らしいコケ。明るい日陰と湿り気を好み、苔テラリウム向き。乾燥と強い直射に弱めで、霧吹きで湿り気を保ちつつ、密閉しすぎず換気して蒸れを防ぎます。春の丸い玉が見どころ。

Profile

基本情報

タマゴケは、細い葉が密に集まって、こんもりとした明るい緑のクッションをつくり、春になると、丸い玉のような「胞子体(ほうしたい)」を、たくさん立ち上げる、とびきり愛らしいコケです。英名を「アップルモス(りんごの苔)」といい、その名のとおり、長い柄の先につく、まんまるな胞子のうが、まるで、小さな青りんごが、緑のクッションから無数に顔を出しているようで、この、つぶらな玉の連なりが、タマゴケ最大のチャームポイント。

苔テラリウムの愛好家のあいだで、この春の「玉」を楽しみに育てる人も多い、人気のコケです。タマゴケは、コケ植物の仲間で、根をもたず、体全体で水分を吸収します。ふだんは、明るい緑色の、ふっくらとした葉の塊として育ち、湿り気のある、明るい日陰を好みます。

乾燥や強い直射には弱めで、ホソバオキナゴケと同じく、湿度を保ちやすい、ガラス容器の苔テラリウムが、育てやすい環境です。可憐な見た目どおり、やや繊細な面もあり、蒸れと乾燥の両方に気を配る必要がありますが、その分、春に、丸い胞子体がいっせいに立ち上がったときの愛らしさは格別。

新緑の季節に、緑のクッションから、つぶらな玉が顔を出す姿は、見る人を笑顔にします。コケの繊細な美しさと、季節の変化を楽しめる、苔テラリウムの人気者です。

分類
苔・テラリウム / テラリウム向き
原産地
日本、世界各地
別名
タマゴケ、玉苔、アップルモス、たまごけ
適期
植え付けは4月
価格目安
鉢植えは500〜2500円

💡豆知識

タマゴケの「玉」の正体は、コケがふやえるための「胞子(ほうし)」を、たくさんつめた袋「胞子のう(さくともいう)」です。コケは、花を咲かせず、種もつくらず、かわりに、この胞子をまき散らして、ふえます。タマゴケの胞子のうは、ほかのコケのものより、まんまるで大きく、若いうちは鮮やかな緑色をしているため、ひときわ愛らしく目立ちます。

これが、たくさん集まって、長い柄の先で、ゆらゆらと揺れる姿が、「りんご」や「たまご」を思わせ、名前の由来になっています。胞子のうは、熟すと、茶色っぽくなり、やがて先が開いて、中の胞子を風に乗せて飛ばします。この「玉」が見られるのは、おもに春から初夏。

タマゴケを育てる人は、この季節の、つかの間の愛らしい姿を、毎年の楽しみにしています。コケが、根も花もないのに、4億年以上、地球で生き続けてきたのは、この胞子による、たくましい繁殖のしくみがあるから。タマゴケの、まんまるな玉を眺めていると、小さなコケの世界に秘められた、生命のたくましさと、自然の造形の妙を感じられます。

Calendar

育成カレンダー

全国の月別育成カレンダー
作業 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
植え付け
4月は植え付け
植え替え
5月は植え替え
病害虫注意
6月は病害虫注意
8月は病害虫注意
関東の月別育成カレンダー
作業 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
植え付け
4月は植え付け
植え替え
5月は植え替え
病害虫注意
6月は病害虫注意
8月は病害虫注意
近畿の月別育成カレンダー
作業 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
植え付け
4月は植え付け
植え替え
5月は植え替え
病害虫注意
6月は病害虫注意
8月は病害虫注意

数字は月を表します。色帯のある月がその作業の適期です。上のタブで地域を切り替えられます。

At a glance

ひと目でわかる特徴

育てやすさ 普通
収穫・開花の早さ
手軽さ(コスト) やや高め

Specs

形態と環境条件

形態

草丈
1〜5cm
株張り
3〜20cm
実のサイズ
春に丸い玉状の胞子体を立ち上げる

環境条件

日照
日陰
耐寒温度
-5℃
耐暑温度
30℃
土壌pH
5.0〜6.0
水やり
霧吹きで湿り気を保つ。乾燥に弱め。テラリウムは過湿に注意し換気。
肥料
基本不要(コケは肥料をほとんど必要としない)

How to grow

育て方ステップ

  1. 1

    置き場所を決める(明るい日陰・湿度)

    約7日

    タマゴケは、湿り気のある森や、岩のすき間などに育つコケで、「直射日光の当たらない、明るい日陰」で、ある程度の湿度のある環境を好みます。ホソバオキナゴケと同じく、乾燥と強い直射に弱めなので、しっとりとした明るい日陰を選びます。屋外なら、建物の北側や、木もれ日の差す湿った半日陰が向きます。

    強い直射は、葉が焼けたり乾いたりして傷むので避け、暗すぎる場所も弱るので避けます。タマゴケが、もっとも育てやすく、また、その愛らしい姿を楽しみやすいのは、ガラス容器でつくる「苔テラリウム」です。容器の中は湿度が保たれやすいので、湿り気を好み、やや繊細なタマゴケに、適した環境をつくれます。

    室内の、レースカーテン越しの明るい窓辺や、植物育成ライトの下にテラリウムを置けば、安定した環境で、緑のクッションと、春の丸い胞子体を楽しめます。ただし、直射日光がガラス容器に当たると、中が高温になって蒸れ、繊細なタマゴケはとくに傷みやすいので、テラリウムは、直射の当たらない明るい場所に置くことが大切です。

    💡明るい日陰と適度な湿度を好む。乾燥と直射に弱め。テラリウム向きだが直射で容器内が高温になり厳禁。

  2. 2

    水やり(湿り気を保つ・繊細)

    約30日

    タマゴケは、乾燥に弱く、やや繊細なコケなので、水やりは、乾かしすぎないことを意識します。霧吹き(ミスティング)で、コケの表面を、まんべんなく、しっとり濡れるまで湿らせ、適度な湿り気を保ちます。乾燥が続いて、緑のクッションが、白っぽくぱさついてきたら、湿り気が足りないサインなので、早めに湿らせます。

    一方で、コケ全般に共通する「蒸れの防止」も、タマゴケでは、とくに大切。やや繊細なので、乾燥にも、過湿による蒸れにも、両方に弱い面があり、「乾かしすぎず、でも蒸らさない」という、絶妙なバランスが求められます。常にびしょびしょに濡らし続けると、クッションの内部が蒸れて、茶色く傷んだり、カビが生えたりします。

    「表面が乾きかけたら、また湿らせる」という、適度な湿り気を保つ管理を心がけます。テラリウムでは、湿度がこもりやすいので、水のやりすぎに注意し、容器の内側が、常に水滴でびっしり曇るほどなら、過湿のサインなので、ふたを開けて換気します。とくに、春に、丸い胞子体が立ち上がっているときは、湿り気を保ちつつ、蒸れないように、ていねいに管理して、愛らしい玉を長く楽しみましょう。水は、ミネラルの少ない雨水や軟水が向きます。

    💡乾燥にも蒸れにも弱め。湿り気を保ちつつ常時濡れは避ける繊細なバランスを。テラリウムは過湿に注意。

  3. 3

    テラリウム・苔玉に植える

    約21日

    タマゴケは、その、こんもりとした緑のクッションと、春の丸い胞子体の愛らしさを生かして、苔テラリウムや、苔玉、鉢の景色づくりに使われます。苔テラリウムをつくるなら、ガラス容器の底に、根腐れを防ぐための軽石やゼオライトの層を敷き、その上に、苔・テラリウム用の土を入れて湿らせ、そこへ、タマゴケの塊を、底をしっかり押しつけるように配置して、土に密着させます。

    タマゴケは、明るい緑色が美しいので、ホソバオキナゴケなど、ほかのコケと組み合わせると、色や姿の違いで、景色に変化が生まれます。とくに、春に丸い胞子体が立ち上がると、テラリウムの中に、小さな「玉の草原」が広がって、見ごたえが増します。苔玉や鉢でも、表面に貼り付けて、活着させて楽しめます。

    いずれの場合も、植えたあと、最初の数週間は、やや繊細なので、乾かしすぎず、かつ蒸らさないよう、湿り気と換気のバランスに気を配って、活着を待ちます。タマゴケは、環境が合えば、緑のクッションを保ちながら、毎春、丸い胞子体で、季節の訪れを知らせてくれます。

    💡テラリウム・苔玉に。底を土に密着させて活着。明るい緑が映え、ほかのコケと組むと景色に変化が出る。

  4. 4

    蒸れ・乾燥を防いで玉を楽しむ

    約30日

    タマゴケを美しく保ち、春の丸い胞子体を楽しむには、「蒸れ」と「乾燥」の、両方を防ぐことが大切です。やや繊細なタマゴケは、乾かしすぎると、白っぽくぱさついて傷み、逆に、過湿で蒸れると、内部が茶色く枯れたり、カビが生えたりします。この、相反する二つを、どちらも避ける、バランスのよい管理が、タマゴケ栽培のコツ。

    テラリウムなら、湿度を保ちつつ、密閉しすぎず、ときどき、ふたを開けて換気をします。容器の内側が、常に水滴でびっしり曇るのは過湿のサインなので、換気を強めます。逆に、容器の中が、すぐに乾いてしまうようなら、霧吹きの頻度を増やします。屋外や開放的な容器では、湿り気のある、風通しのよい明るい日陰に置きます。

    とくに、湿度・気温ともに高い梅雨〜夏は、蒸れて傷みやすい、いちばんの難所。この時期は、換気を強め、涼しく風通しのよい場所に移して、蒸れを防ぎます。もし、傷んだ部分やカビが出たら、早めに取り除き、換気を強めて、やや乾き気味に切り替えます。繊細な分、手をかける必要はありますが、丁寧に育てれば、春に、つぶらな玉が、いっせいに立ち上がる、感動の景色に出会えます。

    💡乾燥と蒸れの両方を防ぐ繊細なバランスが要。テラリウムは換気を。梅雨〜夏の蒸れがいちばんの難所。

  5. 5

    ふやし方と一年の管理

    約120日

    タマゴケは、元気な塊を、小さく分けて、湿らせた土の上に、底を密着させて植えると、それぞれが育って、緑のクッションになります。細かくちぎってまく「まき苔」もできます。また、春に立ち上がる胞子体が熟して、胞子を飛ばすと、条件が合えば、その胞子から、自然に新しいタマゴケが育つこともあります。

    広がった塊は、分けて、新しいテラリウムや苔玉に使えます。一年を通して見ると、タマゴケが、もっとも美しく、生き生きとするのは、気温が穏やかで湿度の保たれる、春。とくに、春から初夏にかけて、丸い胞子体が立ち上がる時期が、一年の見どころです。この季節は、湿り気を保ちつつ、蒸れないように、ていねいに管理して、玉の姿を楽しみます。

    注意が必要なのは、蒸れやすい梅雨〜夏で、この時期は、換気を強め、涼しく風通しのよい場所で、蒸れを防ぐのが、夏越しの最大のポイント。やや繊細なので、暑さで弱りやすく、夏の管理が、タマゴケを長く育てる鍵になります。冬は、寒さには比較的強いですが、空気の乾燥に弱いので、乾燥が続くと傷むことがあり、湿り気を補います。

    テラリウムなら、室内で、一年を通して安定した環境を保ちやすく、繊細なタマゴケも、育てやすくなります。肥料は不要で、湿り気と、明るい日陰、そして蒸れさせない換気。この三つのバランスを保てば、毎春の愛らしい玉を、楽しめます。

    💡塊を分けるかちぎってまいてふやす。春の胞子体が見どころ。蒸れやすい夏越しが最大の難所。

Checklist

育てる前のチェックリスト

  • タマゴケ(パック・マット)

    園芸店・通販で入手できる。テラリウム用に人気。

    500〜2,500円
  • 苔・テラリウム用の土 (任意)

    黒土・ケト土・専用ソイルなど。

    300〜1,200円
  • 霧吹き

    水やりに必須。

    200〜800円
  • ガラス容器(テラリウム用) (任意)

    湿度を保てる容器。繊細なタマゴケに向く。

    500〜3,000円
初期費用の目安(必須のみ) 700〜3,300円

Pests & Diseases

かかりやすい病害虫

病気

灰色かび病

時々

症状: 花弁や果実が褐変し灰色のカビに覆われる。

予防: 枯れ花をこまめに除去、密植を避ける。

対処: 罹病部を処分し殺菌剤を散布。

害虫

ナメクジ

時々

症状: 不規則な食害痕とテカった粘液の跡。

予防: 鉢の下など隠れ家を減らし乾燥を保つ。

対処: 夜間に捕殺、誘殺剤を設置。

Common mistakes

失敗あるある TOP3

⚠ 蒸れて内部が茶色く傷む・カビる

クッションの内部が茶色く枯れ、カビが出ます。

原因: 過湿、密閉しすぎ、高温多湿の夏の蒸れ。

対策: 換気を強め、やや乾き気味にし、夏は涼しく風通しのよい場所へ移します。

⚠ 乾燥で白っぽくぱさつく

コケが白っぽく乾いて傷みます。

原因: 乾燥のしすぎ、湿度不足。

対策: 霧吹きで湿り気を保ち、湿度の保てる環境(テラリウム)で育てます。

⚠ 直射日光で傷む

コケが茶色く焼けて傷みます。

原因: 強い直射日光、テラリウム内の高温。

対策: 直射を避けた明るい日陰に置き、テラリウムも直射を避けます。

FAQ

よくある質問

丸い胞子体が愛らしく人気ですが、タマゴケはやや繊細で、乾燥にも蒸れにも弱めなので、コケのなかでは少し難しい部類です。湿度を保てるガラス容器のテラリウムで、明るい日陰に置き、湿り気を保ちつつ換気で蒸れを防ぐ、というバランスを意識すれば、初心者でも楽しめます。とくに夏の蒸れ対策がポイントです。

花ではなく、コケがふえるための「胞子」をつめた袋「胞子のう(胞子体)」です。コケは花も種もつくらず、胞子でふえます。タマゴケの胞子のうは、まんまるで大きく、若いうちは緑色で愛らしいため、りんごやたまごにたとえられ、名前の由来になっています。おもに春から初夏に見られる、季節の見どころです。

乾燥に弱いので、霧吹きで湿り気を保ちます。白っぽくぱさつくのは乾燥のサイン。ただし蒸れにも弱いので、常にびしょびしょにせず、表面が乾きかけたら湿らせるバランスで管理します。テラリウムは過湿になりやすく、容器が曇りすぎたら換気します。乾かしすぎず蒸らさず、が繊細なコツです。

タマゴケはやや繊細で、高温多湿の梅雨〜夏に蒸れて傷みやすいです。夏は、換気を強め、涼しく風通しのよい場所に移して、蒸れを防ぐのが夏越しのポイント。テラリウムなら、なるべく涼しい室内で、ふたを開けて換気し、水のやりすぎを避けます。夏の管理が、タマゴケを長く育てる鍵です。

明るい緑色のクッションが美しく、ホソバオキナゴケなどほかのコケと組み合わせると、色や姿の違いで景色に変化が出ます。とくに春に丸い胞子体が立ち上がると、容器の中に小さな玉の草原が広がり、見ごたえが増します。明るい日陰に置き、湿り気と換気のバランスを保って楽しみます。

元気な塊を小さく分けて湿らせた土に密着させて植えるか、細かくちぎってまいてふやせます。また、春の胞子体が熟して胞子を飛ばすと、条件が合えば、その胞子から自然に新しいタマゴケが育つこともあります。広がったら、新しいテラリウムや苔玉に使えます。

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