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植物図鑑
枝葉を整えられた黒松(くろまつ)の盆栽
📷 Sage Ross / CC BY-SA
🌲 盆栽編・木を小さく仕立てる

盆栽の剪定・芽摘み・葉刈り|樹形を保つ切り方

⏱ 約7分で読めます 📅 2026-06-19 更新

盆栽の美しい姿は、こまめな手入れで保たれます。枝を整える「剪定」、伸びる芽を摘む「芽摘み」、葉を切る「葉刈り」——それぞれの目的と時期、基本のやり方を解説します。

盆栽の美しい姿は、自然にできあがるものではなく、こまめな手入れによって保たれています。なかでも欠かせないのが「剪定」「芽摘み」「葉刈り」の三つ。どれも枝葉を切る作業ですが、目的も時期も少しずつ違います。ここでは三つを目的別に整理し、樹形をくずさずに小さな木へ大樹の風格を宿らせる切り方を解説します。

なぜ手入れが必要なのか

盆栽を放任すると、枝は伸びたいだけ伸び、節と節の間が長い「間のび」した枝になります。すると葉が先端にばかり集まり、せっかくの樹形がだらしなくくずれてしまいます。鉢という限られた世界で大樹の趣を表現するには、人の手で枝の伸びを抑え、形を整えてやる必要があるのです。

✂️

剪定(せんてい)

不要な枝や伸びすぎた枝を、付け根や節で切り落とす作業。樹形そのものを整え、忌み枝を取り除いて骨格を決めます。

骨格を整える
🌱

芽摘み(めつみ)

伸び始めたばかりのやわらかい新芽を、指で摘み取る作業。間のびを防ぎ、枝を細かく分けて枝数を増やします。

枝を細かく
🍃

葉刈り(はがり)

初夏に葉を切り取り、新たに出る二番芽の小さな葉に更新する作業。葉を小さくそろえ、紅葉も美しくします。

葉を小さく

枝先を切ると、その手前の芽が刺激されて新しい枝を吹きます。これを毎年くり返すことで、一本の枝が二本、四本と細かく分かれていき、やがて手のひらほどの木に老樹のような枝ぶりが生まれます。「切ること」は、盆栽づくりそのものなのです。盆栽そのものの考え方は「盆栽とは」でくわしく解説しています。

剪定の基本と「忌み枝」

剪定でまず取り除きたいのが、樹形を乱す不要な枝=「忌み枝(いみえだ)」です。これらは見た目をくずすだけでなく、ふところ(木の内側)の風通しや日当たりを悪くし、木を弱らせる原因にもなります。代表的なものを覚えておきましょう。

忌み枝の名前どんな枝か
かんぬき枝幹の左右同じ高さから水平に出て、一直線にそろってしまった枝。
車枝(くるまえだ)一か所から放射状に何本も出ている枝。多すぎると不自然になる。
逆さ枝(さかさえだ)幹に向かって内向き・後ろ向きに伸びる枝。流れに逆らって見える。
ふところ枝木の内側にこもって伸び、日が当たらず混み合う細い枝。
立ち枝・下がり枝真上や真下へ極端に伸び、横への広がりをじゃまする枝。
切り方のコツ:枝を元から落とすときは、こぶが残らないよう付け根ぎりぎりで切ります。枝先を切り詰めるときは、外側を向いた芽(外芽)の少し上で切ると、新しい枝が外へ広がり、樹形がのびやかに整います。
白い背景の前に置かれた、枝葉が整えられた黒松の盆栽
枝葉をていねいに整えた黒松(くろまつ)の盆栽。忌み枝を取り除き、外芽を残して切り進めることで、すっきりとした骨格と細かな枝ぶりが生まれます。

太い枝を切るかどうかは、木全体の流れを見ながら慎重に。一度切った枝は元に戻りません。迷ったら、枝に針金をかけて向きを変える方法もあります。曲げて整える手法は「針金かけ」でくわしく紹介しています。

芽摘みで枝を細かくする

芽摘みは、春から夏にかけて次々と伸び出す新芽を、やわらかいうちに指で摘み取る作業です。新芽が固まる前に先端を摘むと、その節からわき芽が二つに分かれて伸び、枝数がふえていきます。伸びきってから切るのとちがい、傷あとが目立たず、自然な枝分かれをつくれるのが芽摘みの利点です。

放っておくと一本の長い枝になってしまうところを、こまめに摘んで枝を短く保つことで、間のびを防げます。ハサミを使わず指先でつまめるくらい、芽がやわらかい時期を逃さないことが何より大切です。生育期のあいだは、伸びてくるそばから少しずつ続けましょう。

松の手入れ(みどり摘み・芽切り)

黒松・赤松などの松類は、新芽の出方が独特で、専用の手入れがあります。盆栽の代表選手である松を美しく仕立てるための、二つの作業を覚えておきましょう。

🌲

みどり摘み(春)

春に出るろうそく状の新芽を「みどり」と呼びます。これが伸びきる前に、強い芽は摘んだり折ったりして勢いをそろえます。芽の勢いの強弱を均一にし、樹形のバランスを整える作業です。

✂️

芽切り(初夏)

黒松・赤松で初夏に行う手法。いったん伸びた新芽を元から切り落とすと、その切り口から短い二番芽がいくつも吹きます。これにより葉が短くそろい、枝が細かくなって締まった姿になります。

あわせて、秋から春先には古い葉を手で取り除く「もみあげ(古葉取り)」を行います。前年の古葉を抜くと、ふところまで日が入り、内側の芽が動きやすくなって、葉の混み具合も美しく整います。芽切りは木の力を大きく使う作業なので、樹勢の弱った松には行わないのが鉄則です。

雑木の葉刈り

モミジ・ケヤキ・ニレといった雑木(落葉樹)では、初夏にすべての葉を切り取る「葉刈り」を行うことがあります。葉を取り除くと、木は新たに二番芽を吹き、前より小さな葉に更新されます。これによって葉の大きさが鉢とつり合い、秋の紅葉も鮮やかにそろうのです。

ただし葉刈りは、木にとって大きな負担となる作業です。葉をすべて失った木は、たくわえた力で芽を吹き直さなければなりません。そのため樹勢の充実した健康な木だけに行い、植え替え直後や弱った木には決して行わないようにします。葉を切るときは葉柄(ようへい=葉の柄)を少し残して切ると、そこから新芽が動きやすくなります。

注意:芽摘み・芽切り・葉刈りは、いずれも木に「もう一度芽を吹く力」を求める作業です。元気な木だからこそ二番芽が出ます。木の調子をよく見て、無理をさせないことが上達への近道です。木が弱っているか判断に迷うときは、AI植物診断で状態を確かめてみましょう。

手入れの適期カレンダー

同じ「切る」作業でも、樹種と作業によって適した時期はまったく違います。時期を誤ると木を弱らせてしまうので、年間の流れをつかんでおきましょう。

作業適した時期対象・ねらい
✂️ 強剪定冬〜早春(落葉期)落葉樹の太枝の整理。葉のない時期に骨格を見て切る。
🌱 芽摘み春の生育期新芽がやわらかいうちに摘み、枝を細かくする。
🌲 みどり摘み松類の新芽の勢いをそろえる。
✂️ 芽切り初夏黒松・赤松の新芽を切り、短い二番芽を出させる。
🍃 葉刈り初夏樹勢のあるモミジ・ケヤキなどで葉を小さくする。
🌸 花もの花の終わった直後梅・サツキなど。翌年の花芽を切らないよう花後に剪定。
🍎 実もの実が終わったあとカキ・ピラカンサなど。観賞を楽しんでから整える。

梅やサツキのような花もの、カキのような実ものは、剪定の時期を誤ると翌年の花や実がつかなくなります。花もの・実ものの楽しみ方は果樹のページもあわせてご覧ください。仕立てた木を最後にどこへ置いて鑑賞するかは、「飾り方・置き場所」で解説しています。

🌟 この章のまとめ

盆栽の樹形は「剪定(骨格を整える)」「芽摘み(枝を細かくする)」「葉刈り(葉を小さくする)」の三つで保たれます。剪定ではかんぬき枝・車枝・逆さ枝・ふところ枝といった忌み枝を整理し、外芽を残して切るのが基本。松はみどり摘みと芽切り、雑木は初夏の葉刈りと、樹種に応じた手入れがあります。どれも木に二番芽を吹かせる作業なので、樹勢のある元気な木に、適期を守って行うことが上達のコツです。

よくある質問

樹種で異なりますが、大きく整える「強剪定」は休眠期〜芽吹き前(落葉樹は冬〜早春)に、伸びすぎた枝を整える「軽い剪定」は生育期に随時行います。花ものは花後すぐ、実ものは実を楽しんだ後が基本。樹種ごとの適期を確認してから切りましょう。

剪定はハサミで枝を切って樹形を整える作業、芽摘みは指で伸び始めた新芽の先を摘み取る作業です。芽摘みは枝が間のびするのを防ぎ、枝数を増やして細かい枝づくり(枝棚)をするために行います。やわらかい新芽のうちに摘むのがコツです。

春に松がろうそく状に伸ばす新芽(みどり)を摘み取る作業です。これにより枝の間のびを抑え、葉を短く揃え、樹形をコンパクトに保ちます。黒松・赤松では初夏に新芽を一度切る「芽切り」を行い、短い二番芽を出させて葉を小さくする方法もあります。

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